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ヨン・イサギレが30km独走、マチューらの攻撃に打ち勝つ|ツール・ド・フランス

ツール・ド・フランスは現地7月13日に第12ステージを実施。逃げメンバーによるステージ優勝争いになり、フィニッシュ前30kmで独走に持ち込んだヨン・イサギレ(コフィディス、スペイン)が逃げ切り勝利。ツール通算では2勝目を挙げた。メイン集団は4分14秒差でレースを終え、個人総合上位陣はいずれもこの中でフィニッシュ。ヨナス・ヴィンゲゴー(ユンボ・ヴィスマ、デンマーク)が首位を守ってマイヨ・ジョーヌ着用を続ける。

好調コフィディスが今大会2勝目

第1週終盤から中央山塊を走ってきたプロトンは、次の戦いの場であるジュラ山脈に向かって進んでいく。第12ステージはボージョレ・ヌーヴォーの産地を行く168.8kmの丘陵コースが舞台。ツールでは2度目の頂上となるロワンヌを出発し、5つのカテゴリー山岳を越えてベルヴィル・アン・ボージョレに達する。フィニッシュ前約43kmの2級山岳コル・ド・ラ・クロワ・モンタン(登坂距離5.5km、平均勾配6.1%)と、同じく28km手前のコル・ド・ラ・クロワ・ロジエ(5.3km、7.6%)が勝負どころと目されているほか、最終局面も上り基調でステージ優勝争いにどう影響をもたらすかが注目された。

© A.S.O. / Charly Lopez

レーススタートを前に、ファビオ・ヤコブセン(スーダル・クイックステップ、オランダ)が出走しないことを発表。第4ステージの終盤でクラッシュした際の影響が残っており、パリまで走り切るのは難しいと判断。「気持ちを切り替えて、シーズン後半に調子を合わせていきたい」とのコメントを残し、大会を去った。

© A.S.O. / Charly Lopez

マッズ・ピーダスン(リドル・トレック、デンマーク)のスタートアタックでレースが始まると、ここから長くアタックとキャッチが繰り返される。この日最初のカテゴリー山岳である3級の上りでペテル・サガン(トタルエナジーズ、スロバキア)やカレブ・ユアン(ロット・デスティニー、オーストラリア)らが遅れたほか、25kmに差し掛かろうかというタイミングでは集団が割れて前線には40人程度しか残らない状況に。クラッシュも起こり、ダビ・デラクルス(アスタナ・カザクスタン チーム、スペイン)とカンタン・パシェ(グルパマ・エフデジ、フランス)が地面に激しく打ち付けられてしまう。デラクルスはすぐに起き上がることができず、そのままリタイアとなっている。

© A.S.O. / Charly Lopez

スタートから50kmを過ぎても逃げが決まらず、この前後で動いたワウト・ファンアールト(ユンボ・ヴィスマ、ベルギー)も8kmほど先行したのち集団へと引き戻される。この後に抜け出したマティアス・スケルモース(リドル・トレック、デンマーク)とウィルコ・ケルデルマン(ユンボ・ヴィスマ、オランダ)をきっかけに数選手が合流し、いくぶんのメンバーシャッフルを経て、11人の先頭グループが形成される。その後も数選手単位のパックが追走に成功し、先頭は最大15人に。この中に加わったピーダスンが93.3km地点に置かれた中間スプリントポイントを1位通過。ポイント賞争いで2位に浮上している。

© A.S.O. / Charly Lopez

フィニッシュまで65kmとなったところで、先頭15人とメイン集団との差は3分30秒。10kmほど進んだ先でメイン集団ではクラッシュが発生し、マイケル・ウッズ(イスラエル・プレミアテック、カナダ)やジュリオ・チッコーネ(リドル・トレック、イタリア)ら数人が巻き込まれたが、後にレースへと戻っている。

残り53kmで、先頭グループからマチュー・ファンデルプール(アルペシン・ドゥクーニンク、オランダ)とアンドレイ・アマドール(EFエデュケーション・イージーポスト、コスタリカ)が先行を開始。2級山岳コル・ド・ラ・クロワ・モンタンに入ってマチューが再度アタックし、アマドールを引き離す。その後ろでもたびたび攻撃に出る選手が現れ、逃げメンバーの構図が徐々に崩れていく。

約20秒差で逃げていたマチューだったが、最後の登坂区間であるコル・ド・ラ・クロワ・ロジエでマッテオ・ヨルゲンソン(モビスター チーム、アメリカ)とティボー・ピノ(グルパマ・エフデジ、フランス)が合流。さらにイサギレらも加わって先頭は9人に。

© A.S.O. / Charly Lopez

決定打はクロワ・ロジエの頂上まで2km、フィニッシュまで30kmのタイミングだった。イサギレがアタックすると、一瞬マチューが追随したが続けず、そのまま独走態勢へ。追走を強いられた他の逃げメンバーは、ピノやマチュー・ビュルゴドー(トタルエナジーズ、フランス)らが繰り返し追撃を図るが、コフィディスはここにギヨーム・マルタン(フランス)を残しており、すべての芽を摘み取っていく。クロワ・ロジエ頂上での28秒差は残り15kmで50秒差に。やがて1分以上に広がり、イサギレの逃げ切りは濃厚に。

フィニッシュ直前で勝利を確信したイサギレは、大観衆でにぎわう最後の直線で渾身のガッツポーズ。最後は大きく両腕を広げ、ツール通算2勝目の喜びを表した。

© A.S.O. / Charly Lopez

34歳のイサギレは、今大会の開幕地スペイン・バスクの出身。兄ゴルカもモビスター チームの一員としてツールに参戦中。チームは異なるものの、息の長い兄弟ライダーとして知られる。前回のツール勝利は2016年で、じつに7年ぶりのステージ優勝になった。

© A.S.O. / Pauline Ballet

逃げを容認したメイン集団は、レース前半の分断で個人総合10位でスタートしたセップ・クス(ユンボ・ヴィスマ、アメリカ)や同14位につけていたミケル・ランダ(バーレーン・ヴィクトリアス、スペイン)らが後方に取り残されたが、中盤過ぎに前線復帰。フェリックス・ガル(オーストリア)やベン・オコーナー(オーストラリア)の総合ジャンプアップを狙ったアージェードゥーゼール・シトロエンチームがしばし集団を率いたが、クスやランダの復帰を受けてそのアクションをやめている。

最終的に、イネオス・グレナディアーズやバーレーン・ヴィクトリアスがペースを作ってレースをクローズ。個人総合上位陣はいずれもこの中でレースを完了。これにより、ヴィンゲゴーがマイヨ・ジョーヌを引き続き着用する。

次の第13ステージからは本格山岳3連戦。フランス革命記念日の7月14日は、ジュラ山脈入りし、超級山岳グラン・コロンビエへ。登坂距離17.4km、平均勾配7.1%の上り一発勝負の色合いで、断続的に出てくる緩急の変化に耐え、10%超の急坂をこなしてフィニッシュへ。マイヨ・ジョーヌ争いにおいて重要度の高い1日を迎える。

ステージ優勝 ヨン・イサギレ コメント

© A.S.O. / Pauline Ballet

「信じられない。ツール開幕から逃げを試み続けてうまくいかずにいたけど、ようやく成功した。一緒に逃げたマルタンと順調にレースが進められていた。アタックは他選手の外側から仕掛けて、そのまま差を広げた。今日の走りには自信があったし、タイム差さえあればそのまま逃げ切れるとも思っていた。最後の最後まで力が残っていた。勝った瞬間はたくさんの思いがこみあげてきて、感情的になってしまった。地元バスクでツールが開幕し、チームとしても2勝目。同じバスク人のペリョ・ビルバオ(バーレーン・ヴィクトリアス、スペイン)が一昨日に勝って、彼が道筋をつくってくれたことにも感謝したい」

個人総合時間賞 ヨナス・ヴィンゲゴー コメント

© A.S.O. / Charly Lopez

「毎日全力で取り組んでいて、今日もしっかり走ることができた。誰が見ても素晴らしいツール・ド・フランスになっているのではないかと思う。今日はとてもハードで、その行方は第3週に分かるだろう。ツールをよりハードにするための準備はできている。ベストコンディションを最後まで維持していきたい」

ツール・ド・フランス2023 第12ステージ結果

ステージ結果

1 ヨン・イサギレ(コフィディス、スペイン) 3:51’42”
2 マチュー・ビュルゴドー(トタルエナジーズ、フランス)+0’58”
3 マッテオ・ヨルゲンソン(モビスター チーム、アメリカ)ST
4 ティシュ・ベノート(ユンボ・ヴィスマ、ベルギー)+1’06”
5 トビアス・ヨハンネセン(ウノエックス・プロサイクリングチーム、ノルウェー)+1’11”
6 ティボー・ピノ(グルパマ・エフデジ、フランス)+1’13”
7 ギヨーム・マルタン(コフィディス、フランス)ST
8 ディラン・トゥーンス(イスラエル・プレミアテック、ベルギー)+1’27”
9 ルーベン・ゲレイロ(モビスター チーム、ポルトガル)ST
10 ヴィクトル・カンペナールツ(ロット・デスティニー、ベルギー)+3’02”

個人総合時間賞(マイヨ・ジョーヌ)

1 ヨナス・ヴィンゲゴー(ユンボ・ヴィスマ、デンマーク) 50:30’23”
2 タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ、スロベニア)+0’17”
3 ジャイ・ヒンドレー(ボーラ・ハンスグローエ、オーストラリア)+2’40”
4 カルロス・ロドリゲス(イネオス・グレナディアーズ、スペイン)+4’22”
5 ペリョ・ビルバオ(バーレーン・ヴィクトリアス、スペイン) +4’34”
6 アダム・イェーツ(UAEチームエミレーツ、イギリス)+4’39”
7 サイモン・イェーツ(チーム ジェイコ・アルウラー、イギリス)+4’44”
8 トーマス・ピドコック(イネオス・グレナディアーズ、イギリス)+5’26”
9 ダヴィド・ゴデュ(グルパマ・エフデジ、フランス)+6’01”
10 ティボー・ピノ(グルパマ・エフデジ、フランス)+6’33”

ポイント賞(マイヨ・ヴェール)

ヤスペル・フィリプセン(アルペシン・ドゥクーニンク、ベルギー)

山岳賞(マイヨ・アポワ)

ニールソン・パウレス(EFエデュケーション・イージーポスト、アメリカ)

ヤングライダー賞(マイヨ・ブラン)

タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ、スロベニア)

チーム総合時間賞

バーレーン・ヴィクトリアス 151:46’08”

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PROFILE

福光俊介

福光俊介

サイクルジャーナリスト。サイクルロードレースの取材・執筆においては、ツール・ド・フランスをはじめ、本場ヨーロッパ、アジア、そして日本のレースまで網羅する稀有な存在。得意なのはレースレポートや戦評・分析。過去に育児情報誌の編集長を務めた経験から、「読み手に親切でいられるか」をテーマにライター活動を行う。国内プロチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。国際自転車ジャーナリスト協会会員。

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