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ビルバオが亡き友人メーダーに捧ぐ勝利|ツール・ド・フランス

ツール・ド・フランスの第2週がスタート。現地7月11日に第10ステージが行われ、序盤から激しいアタックの応酬。抜け出したメンバーがそのまま逃げ切る格好となり、最後は6人の争いをペリョ・ビルバオ(バーレーン・ヴィクトリアス、スペイン)が制し、ツールで初めてとなるステージ優勝を挙げた。これで、個人総合でも5位に浮上。個人総合首位のマイヨ・ジョーヌを着用のヨナス・ヴィンゲゴー(ユンボ・ヴィスマ、デンマーク)ら上位陣はメイン集団でレースを終了。ヴィンゲゴーがジャージをキープしている。

逃げメンバーによる激戦をビルバオが制する
ヴィンゲゴーは首位変わらず

スペイン・ビルバオでの開幕から激しいレースが展開された第1週。休息日前のレースとなった第9ステージでは、超級山岳ピュイ・ド・ドームで個人総合争いが展開。同2位につけるタデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ、スロベニア)がヴィンゲゴーに先着。マイヨ・ジョーヌのヴィンゲゴーとポガチャルの総合タイム差は17秒で第2週に入った。

© A.S.O. / Charly Lopez

その初日となる第10ステージは、火山のテーマパーク「ヴュルカニア」からイソワールまでの167.2km。レーススタート早々から1つ目のカテゴリー山岳が出てくるなど、行程を通じて5カ所の山岳ポイントが控える。無印の細かい上りも入れれば無数のアップダウンで、中央山塊らしいタフなコースといえる。主催者によれば「逃げのスペシャリスト向き」で、実際にどこで逃げが容認されるか、そして逃げ切りが決まるかが見ものとなった。

© A.S.O. / Charly Lopez

迎えたレースは、その見立てどおりにアタックの応酬。数人がパックを組んでリードしかける局面が多く見られたが、どれも完全に容認を得られるところまでは至らない。

そうこうしている間にヴィンゲゴーやポガチャルも自ら動いて、約20人の精鋭グループを形成。前を行く数人を追う一方で、このグループに乗り遅れたボーラ・ハンスグローエが大急ぎで追走する様子も。出入りの連続とハイペースに、ダヴィド・ゴデュ(グルパマ・エフデジ、フランス)やロマン・バルデ(チーム ディーエスエム・フェルメニッヒ、フランス)といった個人総合上位勢、ワウト・ファンアールト(ユンボ・ヴィスマ、ベルギー)といった注目選手が後方に取り残されて、前線復帰を急ぐ場面も見られた。

© A.S.O. / Charly Lopez

なおもアタックとキャッチが繰り返されたが、スタートから45kmほど進んだところでビルバオら8人が抜け出すことに成功。約30秒差でジュリアン・アラフィリップ(スーダル・クイックステップ、フランス)ら6人が追走。ヴィンゲゴーとポガチャルらの精鋭グループは後続を待つ判断をし、59.9km地点に置かれた中間スプリントポイントを前にレース全体がいったん落ち着くこととなった。

© A.S.O. / Charly Lopez

先頭グループに追走メンバーが追いつき、この日最大の14人がレースを先導。メイン集団ではリーダーチームのユンボ・ヴィスマがコントロールを担って、タイム差を3分台で調整。

フィニッシュまで45kmほどとなったところで、下りを利用してワウトとマチュー・ファンデルプール(アルペシン・ドゥクーニンク、オランダ)が集団から抜け出す。逃げというほどの動きではないものの、ユンボとしてはアシスト陣の脚を休められる効果的な動きに。代わってイネオス・グレナディアーズが集団牽引を行って、ワウトとマチューを追う。残り30kmを切ったところでワウトは集団に戻って、再びペーシングを担っている。

© A.S.O. / Charly Lopez

この間に、先頭グループではクリスツ・ニーランズ(イスラエル・プレミアテック、ラトビア)がアタック。逃げに入ってからたびたび動きを見せていたが、このステージ最後のカテゴリー山岳である3級のコート・ド・ラ・シャペル・マルクスで先頭グループを崩し、そのまま独走態勢とした。

© A.S.O. / Charly Lopez

ユンボ・ヴィスマがコントロールするメイン集団との差はほぼ変わらず、やがて前を走る選手たちからステージ優勝者が出るのは濃厚に。ニーランズを追って、ビルバオ、エステバン・チャベス(EFエデュケーション・イージーポスト、コロンビア)、ベン・オコーナー(アージェードゥーゼール・シトロエン チーム、オーストラリア)、ゲオルク・ツィマーマン(アンテルマルシェ・サーカス・ワンティ、ドイツ)、アントニオ・ペドレロ(モビスター チーム、スペイン)がパックを形成。一時は約30秒まで開いていた差は、残り10kmを切って約15秒まで縮まる。さらに30秒後ろでは、アラフィリップら4人が追いかけている。

懸命に逃げてきたニーランズだが、追走5人との差は徐々に縮まっていく。残り5kmで8秒差になると、残り3kmでついに合流。依然後方とは30秒の差で、6人がステージ優勝をかけて争うことに。

まず仕掛けたのはオコーナー。残り1.7kmでのアタックはすぐにビルバオがチェック。残る4人も追いつくと、今度はツィマーマンがカウンターアタック。ここもビルバオが反応すると、他の4人との差が発生。最後の1kmを迎えて、ツィマーマンとビルバオのマッチアップの様相になった。

両者が牽制する間に他の逃げメンバーが追いついたが、同時にツィマーマンがスプリントを開始。ピッタリとマークしていたビルバオは同時に加速すると、追いついた流れから腰を上げたオコーナーの追い込みをかわす。ツールでは初めてとなるステージ優勝を挙げた。

© A.S.O. / Charly Lopez

ビルバオはプロ13年目の33歳。エウスカルテル・エウスカディ、カハルラル・セグロスRGA、アスタナ プロチームと渡り歩き、2020年に現チーム入り。以来、チームの主力としてグランツールやステージレースでエースとして走り、ジロ・デ・イタリアでは過去3度個人総合トップ10入りしている。ツールでも2021年に個人総合9位を経験。今大会も少しずつ順位を上げて、第1週終了時には11位につけていた。この快走で5位に浮上。6月のツール・ド・スイスで事故死したジーノ・メーダー(スイス)とは仲が良かったこともあり、レース後のポディウムでは天を指して勝利をささげる姿も見せた。

© A.S.O. / Charly Lopez

最終的にステージ10までが逃げた選手たちで占められ、メイン集団はビルバオから2分53秒差でフィニッシュに到達。ビルバオの個人総合順位アップを阻止したいイネオス・グレナディアーズが最終盤を急ぎ、フィニッシュ前ではワウトが牽引役を担ってレースをクローズ。個人総合上位陣はいずれの選手もこの中で走り終えている。

これらの結果から、ヴィンゲゴーのトップは変わらず、2位ポガチャルは17秒差のまま。ステージ優勝のビルバオが5位に浮上している。

翌12日に実施の第11ステージは、クレルモン・フェランからムーランまでの179.8km。おおむね平坦基調で、スプリンターが主役となることが見込まれる。

 

ステージ優勝 ペリョ・ビルバオ コメント

© A.S.O. / Pauline Ballet

「今日の目標はステージ優勝だった。昨日(休息日)のライドでスタートからの40kmをチェックして集中力を高めていた。チームはとても積極的で、あるタイミングでは5人がアタックしていた。ユンボ・ヴィスマが逃げを容認する瞬間に動けばうまくいくと思っていた。

ニーランズのアタックは素晴らしかったが、ひとりになってから逆風を受けすぎたと思う。追走グループは協調が保たれていて、彼に追いつけると思っていた。最後の3kmは自分が一番だと確信していたけど、ツィマーマンのアタックはかなり強力だった。とにかく自分が持っているすべてのエネルギーをかけて勝利に向かっていった。

いつも走りながらジーノ(メーダー)のことを思い出している。ポジティブな気持ちでツールに臨むのは本当に大変で、目標だった最初の2ステージもうまく走れなかった。それからは、チャンスがめぐってくるのをひたすら待っていた」

個人総合時間賞 ヨナス・ヴィンゲゴー コメント

© A.S.O. / Charly Lopez

「コースプロフィールを見たときから、難しいステージになるであろうことは分かっていた。そこに暑さが加わって一層厳しいレースになった。タデイ(ポガチャル)はスタートからアタックしてきたので、当然ついていくよりほかなかった。逃げが大差にならないようにだけ注意して、他チームの助けも得ながらレースを進めることができた。暑さにはうまく対処できているので、今の調子を維持していきたい」

ツール・ド・フランス2023 第10ステージ結果

ステージ結果

1 ペリョ・ビルバオ(バーレーン・ヴィクトリアス、スペイン) 3:52’34”
2 ゲオルク・ツィマーマン(アンテルマルシェ・サーカス・ワンティ、ドイツ)ST
3 ベン・オコーナー(アージェードゥーゼール・シトロエン チーム、オーストラリア)
4 クリスツ・ニーランズ(イスラエル・プレミアテック、ラトビア)
5 エステバン・チャベス(EFエデュケーション・イージーポスト、コロンビア)
6 アントニオ・ペドレロ(モビスター チーム、スペイン)+0’03”
7 マティアス・スケルモース(リドル・トレック、デンマーク)+0’27”
8 ミハウ・クフィアトコフスキ(イネオス・グレナディアーズ、ポーランド)ST
9 ワレン・バルギル(チーム アルケア・サムシック、フランス)+0’30”
10 ジュリアン・アラフィリップ(スーダル・クイックステップ、フランス)+0’32”

個人総合時間賞(マイヨ・ジョーヌ)

1 ヨナス・ヴィンゲゴー(ユンボ・ヴィスマ、デンマーク) 42:33’13”
2 タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ、スロベニア)+0’17”
3 ジャイ・ヒンドレー(ボーラ・ハンスグローエ、オーストラリア)+2’40”
4 カルロス・ロドリゲス(イネオス・グレナディアーズ、スペイン)+4’22”
5 ペリョ・ビルバオ(バーレーン・ヴィクトリアス、スペイン) +4’34”
6 アダム・イェーツ(UAEチームエミレーツ、イギリス)+4’39”
7 サイモン・イェーツ(チーム ジェイコ・アルウラー、イギリス)+4’44”
8 トーマス・ピドコック(イネオス・グレナディアーズ、イギリス)+5’26”
9 ダヴィド・ゴデュ(グルパマ・エフデジ、フランス)+6’01”
10 セップ・クス(ユンボ・ヴィスマ、アメリカ)+6’45”

ポイント賞(マイヨ・ヴェール)

ヤスペル・フィリプセン(アルペシン・ドゥクーニンク、ベルギー)

山岳賞(マイヨ・アポワ)

ニールソン・パウレス(EFエデュケーション・イージーポスト、アメリカ)

ヤングライダー賞(マイヨ・ブラン)

タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ、スロベニア)

チーム総合時間賞

バーレーン・ヴィクトリアス 127:54’45”

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PROFILE

福光俊介

福光俊介

サイクルジャーナリスト。サイクルロードレースの取材・執筆においては、ツール・ド・フランスをはじめ、本場ヨーロッパ、アジア、そして日本のレースまで網羅する稀有な存在。得意なのはレースレポートや戦評・分析。過去に育児情報誌の編集長を務めた経験から、「読み手に親切でいられるか」をテーマにライター活動を行う。国内プロチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。国際自転車ジャーナリスト協会会員。

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