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Z世代を狙うツール・ド・フランス、配信フォームに変化|小玉 凌のツール取材記

気鋭の若手サイクルジャーナリスト、小玉 凌さんによるキャリア2回目のツール・ド・フランス取材。熱を帯びる日々のステージとともに進んでいく3週間の旅。レースそのものにとどまらず、その傍らで起こった出来事や、“ここだけの話題”なども日本のファンに向けてレポートする。

最終・第7回は、地域の威信をかけたツール誘致と戦いの終わりを見て。

ツール・ド・フランスはパリへ帰還

最終日はなじみのパリ・シャンゼリゼ周回コースを巡って110回目のツール・ド・フランスが終了しました。近頃はよりエンターテイメントとしての要素を強めつつあり、プロサイクリング最高峰の大会としてあり続けています。

-第19ステージ- 地域をPRする絶好の機会

第19ステージはスイスとの国境に位置するジュラ県内を周る172.8kmで、沿道では至るところに「Made in Jura(メイド・イン・ジュラ)」のバナーが見られました。

このメイド・イン・ジュラは地域、企業間で価値共有がされている証。「ジュラ地方=優れた企業のある地域」のイメージを作ります。レースで振る舞われるワインやチーズもこのライセンスを得ている品々で、イメージアップを図ります。ジュラの領域のみで構成されたコースや、さまざまなPRからもツール・ド・フランスを受け入れる熱意が感じられます。

Photo: Ryo KODAMA

周遊するどのステージでもこのようなアプローチがありますが、特にその意識を感じたステージでした。

そしてレースはツール史上5番目に速い平均時速49.13kmで終了。

写真判定にもつれ込む接戦を制したマテイ・モホリッチ(バーレーン・ヴィクトリアス、スロベニア)は勝利を知ると感涙。

モホリッチが2年ぶりステージ優勝。連勝狙ったアスグリーンと写真判定の激戦|ツール・ド・フランス

モホリッチが2年ぶりステージ優勝。連勝狙ったアスグリーンと写真判定の激戦|ツール・ド・フランス

2023年07月22日

「プロサイクリストは残酷。過酷なトレーニングに時間を費やし、家族との時間、自分の時間を捧げなければならない。でもそれらを乗り越えていくと、信じられないくらいの力が湧き上がってくる」とレース後に述べると、記者からも多数の共感を得ていました。

3度のステージ優勝経験を持つモホリッチでも勝つことの難しさが伝わります。

-第20ステージ- 勝っても負けてもたたえられる選手たち

6つの山岳を含んだ険しい第20ステージ。

最終プラッツァーヴァーゼル登頂後のスプリントをタデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ、スロベニア)が制します。

ポガチャルが意地のステージ優勝、ヴィンゲゴーは総合2連覇へ|ツール・ド・フランス

ポガチャルが意地のステージ優勝、ヴィンゲゴーは総合2連覇へ|ツール・ド・フランス

2023年07月23日

トップと同タイムでフィニッシュしたヨナス・ヴィンゲゴー(ユンボ・ヴィスマ、デンマーク)とのタイム差はほぼ埋まらず、2人の戦いが実質終了。ポガチャルは3週目に入り急ブレーキで、ヴィンゲゴーとは7分以上の差がついてしまったものの、ステージ2勝・個人総合2位の成績は十分ではないかとの意見も。

Photo: Ryo KODAMA

ヴィンゲゴーもポガチャルに対して「彼は昨年より強く感じた。クラシックや短期間のツアーなど全てのレースで戦っている。世界最高のライバルと戦えてうれしく思う」とリスペクトあるコメントからも、誇るべきパフォーマンスであったことが伺えます。

また負けはしたものの、勝者以上に賛辞が送られたのがティボー・ピノ(グルパマ・エフデジ、フランス)。

プティ・バロンで仕掛け、観るものにスペクタクルな瞬間を与えました。レース後、敢闘賞を与えられたピノは「劇的な勝利はそれこそ特別なものだが、今日の声援はスポーツを超えていて、エモーショナルだった。私の走りは人々に強い感動を与えることができたと思います」と壇上で述べました。

勝って自らの引退に花を添えたかったところですが、清々しい様子で最後の山岳ステージを終えました。

-第21ステージ- 次のスターが出てくるきっかけ

21日目の勝者となったのはヨルディ・メーウス(ボーラ・ハンスグローエ、ベルギー)。

ヴィンゲゴーが個人総合2連覇。パリ・シャンゼリゼは伏兵メーウスが勝つ|ツール・ド・フランス

ヴィンゲゴーが個人総合2連覇。パリ・シャンゼリゼは伏兵メーウスが勝つ|ツール・ド・フランス

2023年07月24日

「スピードの乗らないスプリントが自分に合っていたと思う。ハンドル投げはあまりしないけど、手が長くて助かった」と190cmのスプリンターは言いました。

メーウスはかつてプロフットボーラーだった父を持つアスリート家系。同郷ではレムコ・エヴェネプール(スーダル・クイックステップ、ベルギー)がフットボールのエリートだったことは有名ですが、運動能力の高いアスリートがスポーツとして自転車を選ぶことは増えつつあるのでしょうか。

今年のツール・ド・フランスのサプライヤーをみると、動画共有プラットフォーム、TikTokが加わっています。長く過酷な競技が短い動画に凝縮されているため、人の目に入る機会を増やすには最適です。若年層とエンゲージメントの高いこのアプリをきっかけに 次世代選手の呼び水となるのでしょうか。

また、ツール開幕前にはNetflixより2022年のドキュメントが配信されており、今回のツールでもクルーが出入りしていました。

Photo: Ryo KODAMA

2019年の総合優勝者、エガン・ベルナル(イネオス・グレナディアーズ、コロンビア)は、3年ぶりにツールを走り終えて「この世界で最も厳しいレースを完走することができてうれしい」と述べています。

2022年初頭に事故に遭い、そこからの復帰を思えば長い道のりであり、個人個人で見れば多数のドラマがあるように思えます。

このように、トップを争う選手のほか、全ての参加チームや選手、スタッフにもストーリーがあり、新しいメディアによってこれまで表現されなかったものが世に出ていくのでは?と考えられます。角度を変えて映し出されるツール・ド・フランスは観る人、そして競技に携わる人も増やすきっかけとなるのではないでしょうか。

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Bicycle Club編集部

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ロードバイクからMTB、Eバイク、レースやツーリング、ヴィンテージまで楽しむ自転車専門メディア。ビギナーからベテランまで納得のサイクルライフをお届けします。

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