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マッテオ・ヨルゲンソンが逆転で個人総合優勝。ヴィスマに新エース現る|パリ~ニース

3月3~10日の会期で開催された春のステージレース、パリ~ニース。全8ステージによる戦いは、最終日まで個人総合争いがもつれ、24歳のマッテオ・ヨルゲンソン(ヴィスマ・リースアバイク、アメリカ)は初優勝。キャリアを通じても初めてとなるUCIワールドツアーのタイトル獲得。スーパースターがそろうプロトン最高チームに今季から加入し、早速新エースに名乗りを上げた。

第6ステージでマイヨ・ジョーヌ争いに大きな変化

本記事では、大会後半戦にあたる第5~8ステージについて触れていきたい。

大会前半レビューはこちら。

レムコ、ログリッチらが春の王者目指し熱戦 前半戦レビュー|パリ~ニース

ルーク・プラップ(ジェイコ・アルウラー、オーストラリア)の個人総合首位で迎えた第5ステージ。スプリンター向けのステージと目されながらも、レース途中で第2ステージ勝者のアーヴィッド・デクライン(チューダープロサイクリング、オランダ)やファビオ・ヤコブセン(DSMフィルメニッヒ・ポストNL、オランダ)といった有力どころが途中リタイア。

フィニッシュまで10kmを残したところで逃げをキャッチし、残ったスプリンター陣による勝負へ。デカトロン・アージェードゥーゼールラモンディアルやトレック・セガフレードなどが主導権争いを繰り広げた中から抜け出したのは、オラフ・コーイ(ヴィスマ・リースアバイク、オランダ)。先に仕掛けたマッズ・ピーダスン(リドル・トレック、デンマーク)やパスカル・アッカーマン(イスラエル・プレミアテック、ドイツ)をかわし、第1ステージに次ぐ2勝目を挙げた。

© A.S.O./Billy Ceusters

連日のスピードレースを経て、第6ステージからは本格的に山岳地帯へ。ここで個人総合争いの流れは急速に変化する。2級と3級合わせて5カ所のカテゴリー山岳を越えるコースで、終盤は総合系ライダーしか残らないタフな展開。その中から飛び出したのがヨルゲンソンだった。

前半戦で一時マイヨ・ジョーヌを着たブランドン・マクナルティ(UAEチームエミレーツ、アメリカ)と、総合で追う立場にあるマティアス・スケルモース(リドル・トレック)がヨルゲンソンに合流。レムコ・エヴェネプール(スーダル・クイックステップ、ベルギー)やプリモシュ・ログリッチ(ボーラ・ハンスグローエ、スロベニア)が見合って動き切れないうちに、3人はリードを拡大。そのまま逃げ切って、このステージはスケルモースが勝利。マクナルティが再び個人総合でトップに立ち、23秒差の2位につけた。

トップのマクナルティとレムコとの総合タイム差は1分3秒(ヨルゲンソンとは40秒)となり、これが後々の展開に大きな意味合いを持たせることとなる。

© A.S.O./Billy Ceusters

ヨルゲンソンがレムコと強調し最終日に大逆転

第7ステージは積雪によりコースが短縮され、103.7kmで争われた。当初は最後から2つ目の山岳区間であった1級山岳・ラ・マドン・デュテルの頂上にフィニッシュ。

このショートコースでスーダル・クイックステップ、イネオス・グレナディアーズが猛攻。レムコ、エガン・ベルナル双方のエースを押し上げようと、集団のペースを上げて絞り込みを図る。残り5kmでレムコが動き出すと、これをヨルゲンソンとマクナルティがチェック。この流れから、アレクサンドル・ウラソフ(ボーラ・ハンスグローエ)がカウンターで抜け出した。

総合タイムで遅れているウラソフは容認し、上位陣は互いをマークしながら進行。アシストを残していたヴィスマ・リースアバイク勢の牽引によってマクナルティが数秒遅れ、そのままの態勢で最終局面を迎えた。

ウラソフは逃げ切ってステージ優勝。その8秒後にレムコやログリッチらが続き、ヨルゲンソンもこの中でレース完了。そこから19秒遅れてマクナルティがフィニッシュ。最後の1日を残してマクナルティのマイヨ・ジョーヌは変わらずも、ヨルゲンソンとの差は4秒と縮まった。

© A.S.O./Billy Ceusters

泣いても笑っても最後の1日、第8ステージ。山岳地帯をめぐって最終目的地・ニースへ行くコースで、レムコが捨て身の攻撃に出る。フィニッシュまで40km以上を残しながらのアタックは3度にわたり、マクナルティがついに後退。すぐにチェックできたのはヨルゲンソンただひとりで、後にウラソフも合流。そのまま3人逃げに持ち込んだ。

© A.S.O./Billy Ceusters

ヨルゲンソンは中間スプリントポイントを1位通過し6秒ボーナスを獲得。これでバーチャルリーダーとなり、あとはフィニッシュまで無事に到達するのみに。終盤の急坂区間でウラソフが遅れ、レムコとのマッチアップとなるがステージ優勝を譲る格好に。最終日はレムコが飾り、2位で締めたヨルゲンソンは逆転で個人総合優勝を決めた。

ヴィンゲゴーも認めるヨルゲンソンの強さ

勝ったヨルゲンソンは、24歳のアメリカ人ライダー。昨年まではモビスターで走り、ツアー・オブ・オマーンで個人総合優勝の実績がある。ステージレースにとどまらず、北のクラシックに代表される悪路にも強さを発揮する。現在、ニースに拠点を置いて生活をしており、今大会のコースの多くをトレーニングで使っているという土地勘も味方にした。ヴィスマ・リースアバイクとは今季からの3年契約を結んでおり、チームキャンプではヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク)とルームメートだったという。総合力を高く買われ、今年はツール・ド・フランスでヴィンゲゴーのアシストを務める予定だ。

© A.S.O./Billy Ceusters

最終的に、ヨルゲンソンから総合タイム差30秒でレムコが個人総合2位。同時にポイント賞と山岳賞も手に入れている。第6ステージでヨルゲンソンらに後塵を拝したことが敗因としながらも、アルデンヌクラシックやツールに向け調子の良さを確認できたことをプラスに捉える。ヨルゲンソンとはジュニア時代からの友人だというマクナルティも、粘って3位を収めた。

© A.S.O./Billy Ceusters

パリ~ニース2024 最終結果

個人総合時間賞

1 マッテオ・ヨルゲンソン(ヴィスマ・リースアバイク、アメリカ) 27:50’23”
2 レムコ・エヴェネプール(スーダル・クイックステップ、ベルギー)+0’30”
3 ブランドン・マクナルティ(UAEチームエミレーツ、アメリカ)+1’47”
4 マティアス・スケルモース(リドル・トレック、デンマーク)+2’22”
5 アレクサンドル・ウラソフ(ボーラ・ハンスグローエ)+2’57”
6 ルーク・プラップ(ジェイコ・アルウラー、オーストラリア)+3’08”
7 エガン・ベルナル(イネオス・グレナディアーズ、コロンビア)+4’03”
8 ウィルコ・ケルデルマン(ヴィスマ・リースアバイク、オランダ)+4’04”
9 フェリックス・ガル(デカトロン・アージェードゥーゼールラモンディアル、オーストリア)+4’35”
10 プリモシュ・ログリッチ(ボーラ・ハンスグローエ、スロベニア)+5’33”

ポイント賞

レムコ・エヴェネプール(スーダル・クイックステップ、ベルギー)

山岳賞

レムコ・エヴェネプール(スーダル・クイックステップ、ベルギー)

ヤングライダー賞

マッテオ・ヨルゲンソン(ヴィスマ・リースアバイク、アメリカ)

チーム総合時間賞

UAEチームエミレーツ 83:51’18”

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PROFILE

福光俊介

福光俊介

サイクルジャーナリスト。サイクルロードレースの取材・執筆においては、ツール・ド・フランスをはじめ、本場ヨーロッパ、アジア、そして日本のレースまで網羅する稀有な存在。得意なのはレースレポートや戦評・分析。過去に育児情報誌の編集長を務めた経験から、「読み手に親切でいられるか」をテーマにライター活動を行う。国内プロチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。国際自転車ジャーナリスト協会会員。

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サイクルジャーナリスト。サイクルロードレースの取材・執筆においては、ツール・ド・フランスをはじめ、本場ヨーロッパ、アジア、そして日本のレースまで網羅する稀有な存在。得意なのはレースレポートや戦評・分析。過去に育児情報誌の編集長を務めた経験から、「読み手に親切でいられるか」をテーマにライター活動を行う。国内プロチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。国際自転車ジャーナリスト協会会員。

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