金子宗平、前TT日本チャンピオンが地元レースで今シーズン初優勝を飾る|Jプロツアー
Bicycle Club編集部
- 2024年04月20日
4月20日から21日の2日間にかけて、群馬県みなかみ町にある群馬サイクルスポーツセンターの6kmサーキットで第58回JBCF東日本ロードクラッシックが開催。
Jプロツアーのレースは2日間共に開催され、初日となる20日は6kmのコースを25周する150kmのレースとして開催された。
レースは前半に最大8名の逃げ集団が形成されたがレース後半に吸収されると、残り4周回でメイン集団から金子宗平(群馬グリフィンレーシングチーム)と渡辺一気(京都産業大学)の2名が抜け出し、さらに残り1周回に入る手前でアタックした金子が残り1周を独走し、地元レースでの優勝を飾った。
5周目にようやく決まった8名の逃げ集団
4月20日から21日の2日間にかけて、群馬県みなかみ町にある群馬サイクルスポーツセンターの6kmサーキットで第58回JBCF東日本ロードクラッシックが開催。
Jプロツアーのレースは2日間共に開催され、初日となる20日は6kmのコースを25周する150kmのレースとして開催された。
レース当日は天気予報どおり快晴となり、気温もかなり上昇。日中は半袖でも過ごせるほどの天候となり、まさにレース日和という天候の中でのレースとなった。
Jプロツアーのレースでは133名の選手たちがスタートラインに並び、13時にスタート。
序盤から逃げを狙う選手たちがアタックするもなかなか決まらない展開が続き、さらに落車が発生したこともあり、4周目までは落ち着かない展開が続く。
そんな中5周目に以下の8名の選手たちが逃げ集団を形成することに成功する。
・岡本 隼/草場啓吾(愛三工業レーシングチーム)
・今村駿介/山本哲央(チームブリヂストンサイクリング)
・冨尾大地(シマノレーシング)
・ホセ・ビセンテ・トリビオ(マトリックスパワータグ)
・阿見寺俊哉(弱虫ペダルサイクリングチーム)
・山口瑛志(レバンテフジ静岡)
力のある選手たちが逃げ集団を形成したこともあってか、タイム差は約1分程度にまで広がっていく。
一方のメイン集団では逃げ集団にメンバーを送り込めなかった宇都宮ブリッツェンやヴィクトワール広島を中心に、イナーメ信濃山形やアヴニールサイクリング山梨の選手も集団のペースコントロールに加わり、レースは落ち着きを見せる。
シマノレーシングのコントロールでレースは振り出しに
逃げ集団とメイン集団のタイム差が1分程度で落ち着きを見せる中、12周回目に阿見寺が逃げ集団からドロップ。
さらにメイン集団もペースを上げたことでタイム差が30秒程度にまで縮まると、逃げ集団もペースを上げて対抗。
メイン集団がペースを落ち着かせたことでタイム差は再び1分程度にまでに広がりを見せる。
しかし、このペースアップで逃げ集団から冨尾と山本がドロップすると、それまでメイン集団前方で待機をしていたシマノレーシングが集団先頭を固め、メイン集団のペースを上げる。
力のある選手たちで構成された5名の逃げ集団も同様にペースを上げ、一時はタイム差が広がるものの、シマノレーシングのコントロールによって少しずつタイム差が縮まり始める。
20周目にはタイム差が20秒台まで縮まると、次の展開に持ち込みたい選手たちがメイン集団からアタックする動きも見せ始める。
21周目にメイン集団が逃げ集団を吸収、レースは終盤で振り出しへと戻る形となった。
残り1周を独走で走り抜けた金子宗平(群馬グリフィンレーシングチーム)が地元レースでの優勝を飾る
レースが振り出しに戻ったタイミングで昨年のジュニア世界選手権代表である渡辺一気(京都産業大学)が心臓破りの上りでアタックすると、前タイムトライアル全日本チャンピオンで昨年このコースで開催されたJプロツアーのレースでも優勝している金子宗平(群馬グリフィンレーシングチーム)らが追走し、最終的には渡辺と金子の2名の逃げに。
渡辺は「シマノレーシングが逃げを吸収するタイミングでカウンターアタックに出ると想定していたので、逆に自分が心臓破りの上りをトップで上ってやるという思いでアタックしました」と狙いどおりのタイミングでアタックしたとレースに語ってくれた。
一方追走の金子も「自分も逃げに乗りたかったんですが、その前のタイミングで何度も自分もアタックしていて、ちょうど自分が少し休むタイミングで8名の逃げ集団のアタックが決まってしまって。中盤以降逃げがつかまるタイミングでもう一度行こうと考えていました」と同じようなタイミングでアタックすることを考えていたとのこと。
渡辺と金子の逃げが強力だったこともあり、メイン集団とのタイム差は一気に広がりを見せ、1分20秒程度にまで広がる。
U23としては1年目の渡辺と、前タイムトライアル全日本チャンピオンである金子とでは力の差がかなりあると思われたが、レース後のコメントで金子は「渡辺くんがとても強くて。逃げている最中もしっかりとローテーションに入ってくれて、彼の力もあってどんどんとタイム差が広がりました」と語り、渡辺も「2人でローテーションを回しながら協調して走ることができました」と語るなど、エリートカテゴリー目線で見ても渡辺はかなりの力があることをこのレースで証明して見せたのではないだろうか。
そんな2人の逃げ集団だが、残り2周回で協調が崩れることに。
「スプリントになったら勝てないなと思ったので、そこは心を鬼にして心臓破りの上りでアタックして独走に持ち込みました」と渡辺のスプリント力を警戒した金子が、心臓破りの上りでアタックを仕掛ける。この動きに渡辺はついていくことができず、先頭は金子単独に。
金子はそのまま独走でタイム差をキープし、昨シーズンのかすみがうらでのJプロツアーのタイムトライアル以来半年ぶりの優勝を手にした。
金子はレース後に開口一番「最高ですね」と語り、「勤務する会社が会社に勤めながら自転車競技を継続できる環境を整えてくれているんですが、今回は会社の方が観戦に来てくれていて。その前で勝つことができて本当にうれしいです」と群馬県出身で、群馬県のチームに所属し、群馬県の会社に勤務し、群馬県のレースで優勝といろいろな意味で地元での優勝を喜ぶ。
今後の目標については「5月に開催予定のJプロツアー・おんたけヒルクライム/タイムトライアルでの優勝、そのすぐ後に開催予定のMt.富士ヒルクライムでの優勝、そして6月下旬に開催予定での全日本選手権タイムトライアルおよびロードレースでの優勝を目指していきたいです」と金子は語ってくれた。
いっぽう、最後はメイン集団に吸収されてしまった渡辺は、「(エリートカテゴリー初挑戦となった)チャレンジロードでは思ったほど走れなくて悔しさを味わったので、今回の群馬では攻める走りで、プロの選手たちも対等に走れるようにスピード感を持って走ることをイメージして走りました」と今回のレースでの狙いを語り、「海外で活躍する選手になることが目標なので、JプロツアーやUCIレースで経験を積んで、もっともっと強くなっていきたいです」と今後の目標を語ってくれた。
リザルト
1位:金子宗平(群馬グリフィンレーシングチーム) 3時間37分54秒
2位:アレクサンドロス・アグロティス(マトリックスパワータグ) +33秒
3位:フランシスコ・マンセボ(マトリックスパワータグ) 同
中間スプリント賞
ホセ・ビセンテ・トリビオ(マトリックスパワータグ)
プロリーダージャージ
岡本 隼(愛三工業レーシングチーム)
ネクストリーダージャージ
寺田吉騎(シマノレーシング)
レースの模様はGCTVで配信
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