寒空の下でも大行列! 大阪の銘店『きくや』の関東煮(かんとだき)
buono 編集部
- 2019年12月04日
皆さんは関西地方では、おでんのことを『関東煮(かんとだき)』と呼ぶことをご存知だろうか? 近年では関西でも「おでん」と呼ぶのが一般的になってきているが、まだまだ地元では関東煮と呼ぶところも多い。大阪の下町・玉造に創業60年を誇る関東煮の銘店があるのを皆さんはご存知だろうか?
おでんとはちょっと違う、関東煮(かんとだき)とは?
大阪・玉造にある『きくや』は、大阪三大おでんにも数えられる銘店の一つ。決して便利な立地とは言い難いが、1日を通してひっきりなしに人が訪れる。地元はもとより遠方から足を運ぶ人も多い。
関西と関東では出汁のとり方に始まり、料理に使う食材や調理法、好まれる味わいも大きく異なる。大阪に渡ったおでんは「関東煮」として、独自の進化を遂げていった。おでんと関東煮の大きな違いといえば、やはりつゆ。濃口醤油や砂糖で甘辛く味付ける関東風と比べて、こちらは薄口醤油と塩で仕上げるあっさり味。大根や練り物など、おでん種の持つ旨みがしっかりと楽しめる。関西、関東ともに鰹と昆布から取った出汁を使うのが一般的だが、きくやでは鶏ガラを炊いて出汁を取るのが特徴的だ。
大衆的な雰囲気を持つ店内はいつも大盛況!
客席はおでん鍋を囲むように設けられたカウンターのみ。ひとりで来るお客も多く、自然と隣り合わせた人を思いやったり、ふとしたきっかけで会話が生まれることもある。
(写真・左)写真は平日の夕方17時半頃。仕事を終えて急いでやって来たのだろうか。早くも店内はいっぱいで、外で待つ人の姿が見られた。
(写真・右)メニュー表はなく、壁に並べられた木札を見上げながら注文する。昔ながらの筆で書かれたような文字が、味があっていい。
定番から変わり種まで。バリエーション豊かなラインナップ
現在、ラインナップは約30種類。じっくり時間をかけて煮込むほど美味しくなるというのは誤りで、実際はそれぞれに適した食べ頃がある。「春菊はさっと出汁にくぐらせるだけで十分だし、たこなんかもあんまり煮すぎない方がいいね。しゅうまい天も注文が入ってから鍋に入れるよ」と大将は語ってくれた。
(写真・左)『春菊』
春菊をベーコンに巻いたもので、きくやのオリジナルだ。年々、店の人気が高まり、中休みがないためにおでん種の仕込みが間に合わなくなってしまい、とにかくすぐに提供できるものをと考え出された、苦肉の策であった。今や訪れる人の多くが頼むヒット作に。
(写真・右)『ねぎま』
ネギとマグロをそれぞれ適度な大きさに切って串を刺したねぎまはなかなか珍しい。
(写真・左)『大根』
下ゆでだけで2〜3時間はかかる大根はきくやの人気トップに君臨している。
(写真・中)『うめ焼き』
梅の花を象った練りものでほんのり甘い。
(写真・右)『糸こんにゃく』
関東では「しらたき」の呼び名でおなじみ。
(写真・左)『卵』
固ゆでのものを用意しておき、仕込みにしっかり時間をかけるたまごは絶対に食べておきたい一品だ。
(写真・中)『がんも』
ぎんなんなどが隠れたがんもは宝袋のようで楽しい。
(写真・右)『たこ』
関西ではお馴染みのたこ。驚くほどの柔らかさに感動することうけあいだ。
どれだけ人気が出ても大衆的な雰囲気、価格は変わることなくひとり2000円もあれば心もお腹も満たされる。これからの寒い時期にぴったりの関東煮。ぜひ一度足を運んでみてほしい。
【DATA】
関東煮 きくや(かんとだき きくや)
住所/大阪府大阪市東成区東小橋1-1-17 きくやビル 1F
電話/06-6976-9629
営業時間/11:30~22:00
定休日/土・日曜
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PROFILE
buono 編集部
使う道具や食材にこだわり、一歩進んだ料理で誰かをよろこばせたい。そんな料理ギークな男性に向けた、斬新な視点で食の楽しさを提案するフードエンターテイメントマガジン。
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