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namida 田嶋善文氏に教わる、非日常を演出する料理の哲学とは?

ホームパーティや特別な日の食卓で輝きを放つ料理は、 “いつも” とは違う “ハレ” の一皿だ。
そんな日にふるまいたいのはどんな料理だろう?
みんなを唸らせる、料理人の極上レシピを紹介しよう。

日常食を忘れ、盛り上げを狙う

「日々の食事に大切なのは栄養。だからバランスを気にするでしょ? こうした日頃の食事に慣れ親しんでいると、盛り上がる非日常のメニューは作れません。だって、パーティ料理においては栄養は二の次だから。重視すべきは “色気” ですね」

意表を突くパーティ料理論を語るのは、和食をベースとしてイタリアン、フレンチの食材や手法を巧みに取り入れた、下北沢の人気料理店『namida』のオーナーシェフを務める田嶋善文氏だ。

「ワクワクしなければしょうがない。そのためには、官能的なメニューを提供したいですね。たとえばイチジク。この色合いといい、食感といい、色気があるでしょ? 手抜かりなく盛り付ければ、フォトジェニックなメニューの出来上がりです。いまはSNSでポストする人が増えているから、味だけでなく見た目でも演出してあげることがゲスト想いのホストといえますね」

言葉の通り、田嶋氏が手掛ける料理は色気があり、口にする前から気持ちが高揚する。しかしそこはプロの仕事。一般人には、おいそれと真似はできないのではないか……。

「難しい料理を作る必要はないんです。見た目に華やかで、お酒がススめば、間違いなく盛り上がる。たとえばイタリアの庶民料理「カーチョ・ エ・ブッロ」。パスタをバターとチーズだけの料理ですが、見た目のシンプルさがむしろ意外性がありますし、酒もススむ。こんなメニューをスプーン&フォークで取り分けてあげれば、ホストとしての威厳はバッチリじゃないですかね」

今回、田嶋氏が披露してくれたのは「イチジクとマスカルポーネの生ハム茶巾」と「プロシュート入りサルシッチャ」の2品である。いずれも氏が語るパーティメニューの要件を満たす華やかさを持ちあわせている。パーティをトコトン楽しむための料理と考え方。若き孤高の料理人はライトな語り口で説くが、彼が提案するこの皿をひと口食べれば、その哲学の深さが体感できるはずである。

イチジクとマスカルポーネムースの生ハム茶巾

材料(イチジク5個分)

マスカルポーネチーズ……250g

A
グラニュー糖……5g
生クリーム……150g

粉ゼラチン……5g
生ハム……50枚
イチジク……5個
セルフィーユ……好みで
黒コショウ……好みで
EXVオリーブオイル……適量

作り方

1

常温のマスカルポーネと溶かしたゼラチンを混ぜ、ハンドブレンダーで十分立てしたAとともに、気泡を潰さぬよう混ぜ和える。ゼラチンが固まるよう30分程度冷蔵庫で休ませる。

2

ラップに生ハムを敷き、イチジクを置き、ディッシャーで1をのせる。

3

ラップを捻り、茶巾状に成形。

4

ラップを解き、4等分に切り分ける。セルフィーユを添え、コショウを振り、EXVオリーブオイルを回しかける。

食感に全身全霊を捧げよ!

このレシピのポイントは「マスカルポーネ」ではなく、「マスカルポーネムース」であること。3つの食品を茶巾状にするシンプルな料理ではあるが、マスカルポーネのままではもったりとして食感が悪い。ゼラチンを加え弾力のある絶妙な食感を生み出すのだ。

プロシュート入りサルシッチャ

材料(4人分)

豚肉……250g
プロシュート……20g
塩……5g
バジル……好みで
コショウ……好みで
豚腸……適量

A
リーフトマト……適量
紅法師(水菜)……適量

EXVオリーブオイル……好みで
パルミジャーノ……好みで

【付け合わせ】
紅しぐれ……適量
梨……1/10個
くわい……1個

作り方

1

挽いた豚肉とプロシュート、バジルをボウルで混ぜ合わせる。

2

1時間程度寝かせた1を豚腸へケーシングしていく。

3

X字状に捩ったサルシッチャと付け合わせの食材に焼き目を付ける。

4

焼き目が付いたら、250°Cのオーブンで7分間加熱し、サルシッチャは肉汁が安定するよう5分程度休ませ、Aとともに盛り付け、オリーブオイルを回しかけ、パルミジャーノをすりおろしながら振り掛ける。

ハンドチョップで個性を!

自作サルシッチャの楽しさは、肉の粗さをコントロールできることにある。既製品の滑らかな食感に慣れ親しんだゲストには、粗い食感が衝撃を与えることであろう。ブレンダーなどは使わずに、包丁で粗く叩き切っていく様は、それだけでエンターテイメントだ。

教えてくれた人

田嶋善文
創作料理店からキャリアをスタートさせ、和食、イタリアンとジャンルを超えた修業を積む。オーストラリアで出会った各国料理の独自性に衝撃を受け、セオリーにとらわれない現在のスタイルを確立し、人気を博している。

namida(ナミダ)
住所/東京都世田谷区北沢2-28-7
TEL/03-6804-7902
http://www.namida-tokyo.com/
※営業時間・定休日は要問い合わせ。

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buono 編集部

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使う道具や食材にこだわり、一歩進んだ料理で誰かをよろこばせたい。そんな料理ギークな男性に向けた、斬新な視点で食の楽しさを提案するフードエンターテイメントマガジン。

buono 編集部の記事一覧

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