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中華の煮込みは鍋の使い分けが重要。3つのテクニックを紹介

水分をおさえる、長時間コトコト、短時間で煮込む。様々な煮込み方法がある中華料理は素材の持ち味や、身体に良い薬効を最大限に引き出す医食同源の世界だ。

煮込むほどに素材の味を引き出す

「中国の伝統的な医学では、薬と食べ物は同一線上にあり、体調を整えるのは薬だけではなく、食べものにもその力は宿る」という、薬膳中華を提案する『古月 新宿店』の料理。

『中国料理 古月 新宿』料理長 前田克紀氏。上野・池之端『古月』から、平成24年暖簾分けにより独立。日本で数人しかいない高級栄養薬膳師の資格を持ち、食材を選んで組み合わせることで人を養う体調を整える、薬膳料理を提案している。

前田料理長曰く「人を養う料理である中国料理には、食材選び、調理法の知恵や経験も蓄積されている」。今回、作っていただいた豚ガツの養生スープもエネルギーを円滑に作れるようにする、気を作れるようにするという効能がある。食材によってじっくり煮込む、強火で一気に水分を詰めるなど、煮込み方を変え、素材の持ち味を活かすことができるのだ。

燜乳鴿

日本ではめずらしい生の鳩肉を使った土鍋煮。素材の水分を出さないように少量の水で煮込むことで肉をやわらかく、味をしっかり入れることができる。

ネギと生姜、調味料をじっくりと吸い込んだ鳩肉は濃い飴色に。素揚げしてあるため、皮は香ばしく、肉はやわらかくジューシー。色味ほど味は濃くなく、あっさりと食べやすい。

材料(2人分)

鳩肉……1羽
にんじん……60g
桑の実……48g
日本酒……大さじ3
紹興酒……大さじ3
塩……小さじ1/3
砂糖……大さじ2/3
醤油……小さじ1
ネギ(青い部分)……適量
生姜(皮の部分)……適量

<鳩肉の下味>
塩……少々
紹興酒……小さじ1
五香粉……少々

作り方

1 鳩肉は首、足、背骨を取り4つにさばく。

2 鳩肉の下味の調味料を肉に揉み込み、ひと晩置く。

3 2を210°Cに熱した油で素揚げする。数十秒ほどさっと揚げ、皮、表面だけに火を通す。

4 鍋底にネギ、生姜を敷く。

5 その上に3の鳩肉をのせる。

6 さらににんじん、桑の実、残りの調味料をすべて加え、鍋にギュウギュウの状態にする。

7 強火にかけ、沸騰したらアクを取る。

8 液体の表面が揺らがない程度の火加減に弱め、蓋をする。1時間半から2時間を目安に煮込む。最後にネギと生姜を取り除き、煮汁の煮詰まり加減を確認して完成。

鍋づかいのテクニック1

小さな土鍋で気密性を生かす
三重県の万古焼、5寸の小鍋。材料がぎっちり入るギリギリの大きさの鍋で、土鍋の気密性・蓄熱性を活かし最小限の水分で肉を煮込む。この調理方法で、肉本来の旨味・香りを残した仕上がりになる。

薏米白果腐竹燉豬肚

生の豚ガツ・はと麦・銀杏・棒湯葉をじっくりと煮込んだ白濁した優しい味の養生スープ。春先に気を養うのにぴったり。具材はタレで食べる。

具材の旨味が渾然一体となったスープは塩をまったく使わないで作るため、素材の美味しさをより深く感じられる。具材は辣油系のタレで食べるとアクセントが加わりさらに旨い。

材料(2人分)

豚ガツ……160g
銀杏……40g
乾燥湯葉……10g
はと麦……6g
生姜……2片
日本酒……40ml
水……800ml

作り方

1 乾燥湯葉とはと麦は水ですすぎ、浸水させておく。銀杏は殻と皮を剥いておく。生の豚ガツは塩と酢(分量外)でよく揉み、粘液を洗い流す。2〜3度水から茹でこぼし、臭みを抜く。

2 豚ガツを繊維に逆らうように一口大に切る。

3 土鍋にすべての材料を入れる。

4 土鍋を強火にかけ、沸騰したらアクを取る。

5 液体の表面が揺らがない程度の火加減に弱め、蓋をする。2時間〜2時間半を目安に煮込む。水が半量になった頃が目安。

6 器に盛り付ける。

鍋づかいのテクニック2

主に中国南部で使われる土鍋。円柱形で液体の表面積が狭く、蒸気が逃げにくく、じっくり煮込むことができる。ステンレス、鉄鍋だと薬効が変わってしまう。

乾燒魚

四川風の白身魚の煮込みは短時間で煮きり、味を表面だけに留める。そんな煮込みには鉄製の広口の中華鍋がぴったり。焦げ付きやすいので鍋を揺らしながら、手際良く煮込むこと。

カリッと素揚げした魚に味をまとわせるような軽い煮込み。ピリ辛の四川風味が淡泊な白身魚とよく合う。魚まるごと1匹やカマの部分を使って、豪快さを出すのがポイントだ。

材料(2人分)

白身の魚……240g(まるごと1尾かカマが良い)
豚バラ肉……40g
生姜……8g
ニンニク……4g
塩……小さじ1/4
砂糖……大さじ1
醤油……小さじ2
豆瓣醤……小さじ1
日本酒……大さじ2
紹興酒……大さじ1
酢……小さじ1/2
辣油(好みで)……大さじ1

作り方

1 魚は鱗を取ってぶつ切りにし、醤油小さじ1を絡めて下味を付けておく。豚バラ肉・生姜・ニンニクは小さめのさいの目に切る。

2 魚を210°Cに熱した油で、30秒ほど素揚げする。揚げ色が付けばOK。

3 中華鍋を火にかけて豚バラ肉を炒め、油が透き通るくらいまで火を通す。さらに生姜・ニンニク・豆瓣醤を加え、炒める。

4 香ばしさが出たら、魚を戻し、かぶるくらいの水を張り、塩・砂糖・残りの醤油・日本酒・紹興酒を入れる。強火にして沸騰したらアクを取る。

5 常に沸いている火加減にして落し蓋をし、5分を目安に煮込む。

6 火を強め一気に煮汁を煮詰める。ギリギリまで煮詰まったら酢を加え、好みで辣油を入れて完成。

鍋づかいのテクニック3

中華鍋。中華鍋は広口で液体の表面積が広くなるので、水分の蒸発が多くなる。ゆえに材料の臭みを飛ばしつつ、短時間で仕上げる煮込みに向いている。

教えてくれた人

『中国料理 古月 新宿』料理長 前田克紀

中国料理 古月 新宿
住所/東京都新宿区新宿1-5-5 御苑フラトー2F
TEL/03-3341-5204
営業時間・休みはお問い合わせください。

出典

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buono 編集部

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使う道具や食材にこだわり、一歩進んだ料理で誰かをよろこばせたい。そんな料理ギークな男性に向けた、斬新な視点で食の楽しさを提案するフードエンターテイメントマガジン。

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