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河津川の源流から河口へ。ひと筆書き毛鉤釣り・中編

天城峠付近から太平洋へと注ぐ河津川。そこで、日中は源流でアマゴを狙い、夕刻からは河口へ移動してヒラスズキを狙うひと筆書きの釣りにトライしてみた。 渓流釣りのポイントとして有名な萩ノ入川に毛鉤を落として出会ったのは……。

>>>前編はこちら

河津川の源流から河口へ。ひと筆書き毛鉤釣り・前編

河津川の源流から河口へ。ひと筆書き毛鉤釣り・前編

2021年11月20日

取材・文◎遠藤 昇 Text by Noboru Endo
写真◎隈 良男、狩野イサム Photo by Yoshio Kuma & Isamu Kano
出典◎フィールドライフ 2018年秋 No.61

美しい天然アマゴは伊豆半島の至宝といってよい

沢沿いのワサビ田の脇から小さな滝を越えて入渓すると、まず目に飛び込んできたのは、谷を埋める巨岩だった。周囲の地質を見ると、堆積した砂礫のなかに大きな岩が含まれており、大雨のたびに崩れ、何度も巨岩が川の流れをせき止めた痕跡が高い段差となって表れ、小さな滝とその落ち込みが連続しているのだ。

河津のパワースポットともいわれる、川津来宮神社の樹齢千年を超える大クスノキ

後日、河津川流域の地質学資料を調べてみると、約1600万年前、海底火山の噴火によってできた湯ヶ島層群の上に白浜層群が覆い、さらに60〜70万年前に天城火山の噴出物が積み重なって形成されたという。その後、河津川の左岸域(海に向かって左側)の天城火山のふもとが噴火し、玄武岩質溶岩やスコリア等の噴出物により鉢ノ山が形成された。そのため、流域の西部にある萩ノ入川を含む右岸域は、固結した堆積物が大半を占めて崩れやすく、大雨のたびに渓相が変わるということだ。

そこでは去年、とある大岩の落ち込みで尺近いアマゴを釣ったので、今年もと訪れてみれば、その大岩ごとポイントが消えてしまう、といったことが頻繁に起こるわけだ。とくに源流付近の渓相の変化は著しく、言い方を変えれば“釣り人泣かせの地質(渓流)”である。

しかし、そのおかげで段差と大岩による深い溜まりが多く、ポイントは絞りやすい。しかも、流れは急で騒がしく、身を隠す岩も多い。そうした深い淵、岩の裂け目のわずかな溜まりにも、ていねいに毛鉤を沈めては流した。

萩ノ入川は、河津川水系では渓流釣りの有名ポイントである。「3月の解禁から6カ月の間に、何百人の釣り人が足を運ぶだのだろう……」などと考えながら、イワナが着くような狭いスポットに毛鉤を落とした途端だった。マーカーが吸い込まれ、空合わせのつもりでロッドを握る手首を返すと、力強くググッと引きこまれた。砂防堰堤まで残すところ80mの地点でサイズこそ20㎝ほどだが、ヒレのピンとした”ジオパーク伊豆半島の至宝”ともいうべき、美しい天然アマゴと出合うことができた。

* * *

源流でアマゴを釣ったあと、20時満潮の夕刻の強い上げ潮を目指して、河口へと車を走らせた。3月には河津桜の名所として賑わう下流域の堤防や中流域は、夏のこの時期、アユの友釣り師の独壇場となる。

アユの友釣りといえば、天城峠の向こう側を流れる狩野川(かのがわ)が有名だが、狩野川のアユ釣り師はピタッとしたアユ釣り用のタイツを上下に身に着け、見るからにやる気満々だ。河津川は、麦わら帽子をかぶり作業ズボンにシャツ、足元だけはフェルト底のアユ足袋、というようなラフな格好。竿も10m、11mといった長竿は少なく、渓流本流用の竿で代用している釣り師も多い。しかし、竿さばきはシンプルで無駄がなく、到底初心者には見えない。むしろ年季の入ったベテランだ。「ちょっと晩酌の肴を釣りに……」という、地元のアユ師たちなのだろうか。

>>>後編へつづく

遠藤 昇(えんどう のぼる)

編集者、ダンス・オン・ザ・グラウンド代表、1961年横浜生まれ。『アウトドア・イクイップメントマガジン』(ネコパブリッシング)創刊編集長。ネイチャー・クォリティーマガジン『SOLA(ソラ)』(日刊スポーツ出版)創刊編集長。環境雑誌『ソトコト』(木楽舎)副編集長などを経て現在『Fishing Cafe』(木楽舎)編集統括などを努める。沖縄本島で釣ったイソフエフキが2012年4月4日付けで、『JGFA』クラス別世界記録に認定された。

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PROFILE

フィールドライフ 編集部

フィールドライフ 編集部

2003年創刊のアウトドアフリーマガジン。アウトドアアクティビティを始めたいと思っている初心者層から、その魅力を知り尽くしたコア層まで、 あらゆるフィールドでの遊び方を紹介。

フィールドライフ 編集部の記事一覧

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