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新しいモノ好き必見! 新宿と有楽町にオープンしたb8taは『存在自体が新しい』

店舗の存在自体が新しい

「シリコンバレー発のb8ta(ベータ)というお店が日本にオープンしたよ!」「キックスターターで買えるような目新しい製品がお店で買えるらしいよ!」という話を知人から聞いて、さっそく足を運んだ。

結論から言うと、上記は若干誤解を含んでいる。この店舗は、かならずしもクラウドファンディングで売ってるような目新しい商品を取り扱うことをテーマとしているわけではない。

むしろ、目新しいのはこの店の「存在」自体なのだ。

さっそく、ベータ・ジャパンの代表、カントリーマネージャーを務める北川卓司さんに話を聞いた。

北川さんはダイソンのリテールマネージャーとして、表参道に世界初の旗艦店をオープン、東京統括部長として5年間働いた後に、USで始まったb8taのビジネスに興味を持ち、日本進出を考えるならやりたいと声をかけて、日本でのb8taオープンの道を切り開いたという。

小売り店なのに、売り上げ自体が目標ではない……とは?

b8taは「新しいテクノロジーを試して購入するために、デザインされた小売店」だという。並んでいるのは、かならずしもデジタルガジェットばかりではなく、ライフスタイル製品全般のように思える。コスメや、サプリのような商品もある。

「b8taは新しいカタチの小売店です。販売を主目的にしているわけではないので、かならずしも店舗で購入していただかなくてもいい。試したあとで、オンラインで各ブランドのウェブサイトから購入してもらってもいい」と北川さん。

小売店なのに、販売を主目的としていないとはどういうことか?

現代の小売店にとって、ネット販売との競合は大きな問題となっている。

たとえば、家電量販店の店頭で実物を見て、購入するのはAmazon……というようなシーンは容易に想像できると思う。

マナー的には良くないことだとは思うが、店頭からモノを持って帰るより、直接宅配してもらう方が楽だ。その場合、小売店は高い家賃を払って、スタッフを雇って、展示品を用意して、ネットショップの展示ブースのような役割しか果たせてない。

「競合店の価格と同じまで値引きします」という張り紙は多く見られるが、そもそもさまざまなコスト負担が発生する小売店の方が圧倒的に不利だ。

対して、b8taは『売り上げを目指さない』という点において、革命的な小売店なのだ。「ここで触って、ネットショップで買ってくれていい」というのだ。

(音に追従し、ゆらゆらと光がゆらめくBALMUDAのThe Speaker。360度、全方位に広がる抜け感の良いサウンドが魅力。)

他の小売店とまったく違う、b8taが収益を得る方法

では、b8taはどうやって収益を得るのか?

実はb8taは、売り上げた商品から、利益を得ていない。ここが革命的なのだ。

世の中にある多くの店は、商品を仕入れて、販売し、その値段の差から収益を得る。

たとえば、ニンジンを80円で仕入れてきて、100円で売る。この差20円が、小売店の利益だ。しかし、b8taはこの20円を取らないという。ではどうやって利益を得るのか?

b8taは商品を出品している企業から、収益を得るのだという。

つまり、企業は一定額を出して、商品を展示する。b8taはその商品について、顧客に説明し、場合によってはこの店で販売するし、人によっては帰宅してからネットで買うかもしれない。しかし、b8taはあらかじめ出品企業からお金をもらってるから、商品を売り上げる必要がないのだ。

(自動で摂取カロリーや体内水分量、ストレスレベルを自動計測するHEALBE GoBe3。何を何キロカロリー摂取したかを入力するのは面倒なものだが、GoBe3は生体インピーダンスセンサーによって、体細胞内外への体液の移動を計測し、それによってカロリー摂取を計算する)

「売り上げを求めない」という点において、b8taと似たお店がある。

アップルストアだ。世界に500店舗以上あるアップルストアは、莫大な売り上げをあげてはいるが、個々の店に売り上げ目標はないし、売り上げを上げることを目標としていないという。顧客がアップル製品を体験し、良い印象を持ってくれれば、あとはどこの店舗で買っても、オンラインで買っても、アップルの売り上げになるからだ。

ある意味、b8taはそのアップルストアの仕組みを、多くのブランドや、スタートアップでも運用できるようにしたといえる。

(ブランドではなく効果を追求したという AGILE COSMETICS PROJECTの美容液)

 

ウェブサイトのように、店舗内での行動を解析

b8taが新しいのはそれだけではない。

店内には、多数のカメラが備え付けられており、ウェブサイトのアクセス分析のように、顧客の行動を分析している。商品の前に立ち止まったか? 何秒ぐらい見ていたか? 手に取ったか? また、スタッフにされた質問のうち特徴的なものはとりまとめて出品ブランドにレポートされる。

つまり、出品ブランドは、お金を払う代わりに、直接手に取って試してもらえる場所を得られる上に、顧客がどういう反応をしたかのレポートも得られるというわけだ。

多くの顧客が来店する一等地にそういう店を構えようとしたら、かなりのコストがかかるが、b8taでは30万円/月ぐらいから、出品が可能なのだという。そして、ここで実際に手に取った人が、オンラインで購入することを期待できる。

実店舗をオープンするのが経費的にも、スタッフ的にも難しいスタートアップにとっては、願ってもない話だといえるだろう。

新宿と有楽町で、2店舗を同時にオープン

ちなみに、b8taは日本で同時に2店舗をオープンした。

冒頭に紹介したお店がb8ta Tokyo – Shinjuku Marui。東京都新宿区新宿3-3-13新宿マルイ本館1階。フリック!の読者の方にもっと分かりやすく言えば、アップル新宿の中を通り過ぎた(今は入場制限で通り抜けられないが)奥にある。我々にとってとっも便利な立地だ。

そして、これからご紹介するのが、b8ta Tokyo – Yurakucho。東京都千代田区有楽町1-7-1有楽町電気ビル1階。有楽町駅から皇居の方へ晴海通りを数10m歩いたところというか、地下鉄日比谷線の日比谷駅、もしくは銀座線の銀座駅からの地下道のA2出口を出てすぐだ。

両方のお店のキャラクターは分けられていて、新宿はマルイ1本館1階という場所がら、テクノロジーだけでなく女性も意識した品揃え。有楽町は大きなガラスウィンドウを通して、外から中がよく見える(店内からも外がよく見える)設計で、よりテクノロジー寄りな品揃えとなっている。

ちなみに、このコロナの状況下で同時2店舗のオープンとなったのは、それぞれの店舗の出資者の意向とのこと。同時ならば、どちらも1番にオープンした店ということになる。

とはいえ、「手に取れる!」ということがウリの店舗にとって、この状況はあまり望ましくはない。アメリカの店舗と共通仕様という什器の到着が便が滞って遅れたこともあり、8月1日にオープンとなったということだから、本来はもう少し早くオープンする予定だったようだ。

現在は、入り口での手指の消毒、来店者、スタッフ両方へのマスクのお願い、入店者数の制限などを行いながら営業している。

ちなみに、入店者数は、カメラで自動的にカウントされており、一定数以上になるとスタッフに通知が行き、入り口で入場制限をするのだという。テクノロジー化された店舗ならではだ。今のとこと、土日は入場制限を行って行列ができることもあるようだが、平日は普通に入れることが多いようだ。

(前頭部の透過性HUDに、ターンバイターンのナビゲーションや、リアカメラからの映像を投影することができるなど、さまざまなテクノロジーを内蔵したクロスヘルメットX1。)

 

実際に手に取れる意義は大きい

ご覧のように、有楽町店の方が若干テクノロジー寄り。それがどのように影響を及ぼすかも、これから天井などに備え付けられたカメラが立証してくれることだろう。

先鋭的なデジタル製品を買って、それがウェブサイトで表示されていたほどクオリティの高い仕上げではないことにがっかりしたことはないだろうか?

モノのクオリティ感とは、設計だけではなく、実際に製品を生産する製造工程にも大きく依存する。部品の精度、表面処理は、光沢なのか、磨きが入ってるのか、つや消しなのか、梨子地なのか? 完成予想CGや、試作品を撮影したものと同じレベルで生産されるかどうかはまた別の問題だ。

だから、実際に製品を手に取れるということの意義は大きい。

(スイミングのタイムや、距離、消費カロリーなどを表示するゴーグル、FORM SWIM GOGGLES

また、サイズ感なども、完成予想CGや、写真などからは想定しにくい。特にバッグなどは、手持ちのカメラが入るかどうか……? 入るとすればどのぐらいのフィット感なのか……と悩むことは多い。

光や、音を出す製品についても「どのぐらいの光・音なのか?」を想定しにくい。そういった製品を実際に見ることができるのはかけがえのない機会だ。

(家庭内で水耕栽培を楽しめるPlantui 6。部屋の中で野菜を育てれば虫も付かないし、農薬なしで育てられるので、そのまま食べられる)

ブランドコーナーも設けられてる

製品を置くだけでなく、一部エリアをブランド専用のコーナーとして契約することもできる。新宿店では、BASE、有楽町店ではGoogle、カインズのコーナーが設けられていた。

独立した店舗を持つよりは、かなりリーズナブルに一般顧客が製品に触れることのできる機会を設定できるというわけだ。

カインズのコーナーも興味深かった。

郊外に超大規模店舗を出店するホームセンターのカインズホームは、実はユニークなプライベートブランド商品を数多く販売している。b8taは都心部の人へのタッチポイントとして最適だった。実際に、b8taに並んでいるさまざまなテクノロジー機器と並んでいても、アイデアのユニークさはひけを取らなかった。

元Facebookの日本代表の長谷川晋さんが起業したMOON Xのクラフトビール、CRAFT Xも出品されていた。アンケートに答えると、試飲缶がプレゼントされるキャンペーンも行われたという。こういうほぼオンラインだけで販売されている製品にとって、b8taは貴重な顧客へのタッチポイントになりそうだ。

(オンラインのサブスクリプションで届けられるCRAFT X。こうやって店頭で触れる機会があるのはうれしい)

僕らがクラフトビール『CRAFT X』クリスタルIPAに注目すべき理由

僕らがクラフトビール『CRAFT X』クリスタルIPAに注目すべき理由

2020年01月26日

新しい小売店のカタチ

コロナ禍の厳しい状況での立ち上げとなったb8taの日本進出だが、通常の小売店と違って、売り上げが利益に直結しているわけではないから、出品さえ十分に集まれば問題ないということだろう。もちろん、こういう状況下であるから、出品者を集めること自体が大変ということはあるだろうが、それでも店を開いて『売り上げが上がらない!』という状態よりは良いように思える。

b8taのような『売り上げから利益を取らない小売店』が今後大勢を占めるかどうかというと、それはなかなか難しいかもしれないが、ネットショップと小売店の関係性に一石を投じる存在であることは確かだろう。

コロナの影響下で、ECが伸長している分、小売店を取り巻く状況はますます厳しくなっている。そんな中で、b8taの存在はいろいろと示唆に富んでいる。

(村上タクタ)

出典

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PROFILE

村上 タクタ

flick! / 編集長

村上 タクタ

デジタルガジェットとウェブサービスの雑誌『フリック!』の編集長。バイク雑誌、ラジコン飛行機雑誌、サンゴと熱帯魚の雑誌を作って今に至る。作った雑誌は600冊以上。旅行、キャンプ、クルマ、絵画、カメラ……も好き。2児の父。

村上 タクタの記事一覧

デジタルガジェットとウェブサービスの雑誌『フリック!』の編集長。バイク雑誌、ラジコン飛行機雑誌、サンゴと熱帯魚の雑誌を作って今に至る。作った雑誌は600冊以上。旅行、キャンプ、クルマ、絵画、カメラ……も好き。2児の父。

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