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【ロブ・マチャド インタビュー】1995年の一戦を伝説にした あの“アクション”はなぜ起こったか

世界2位という実力や独特のサーフスタイル、自由な生き方、ルックス……ロブ・マチャドは一言ではくくれない、多様な魅力をもつサーファーだ。第一線を退き41歳となった今でも、自らカメラを手にムービーを制作したり、サーフボードのプロデュースを手掛けたり、社会貢献活動を行うなど精力的に活動。何にも縛られることのないその自由さも、世界中のサーファーたちから絶大な人気を得ている理由のひとつだ。

彼を語るうえで外せないのが、1995年のパイプラインマスターズの決勝戦。ワールド・タイトルがかかった緊迫する場面で、ロブ・マチャドは波から戻ってきしなに、対戦相手のケリー・スレーターとハイ・ファイブ(ハイタッチ)をした。通常の勝負の場ならば、ありえないことだ。最高のライバルであり、親友であると認め合う彼らの関係を強く印象づけたこのワンシーンは、サーファー史上に残る伝説の一戦となった。

しかし一方で、ハイ・ファイブが彼のタイトルへの道を阻んだ要因だという声もある。大きなプレッシャーがかかるはずの舞台で、その時ロブはどんな心境であのハイ・ファイブをしたのか。バリ島ウルワツにて行ったロブへのインタビューで、彼は二人だけが知るその時の状況、そして彼から見た生涯のライバルについて語ってくれた。

僕は集中できていなかった…大きな成功に繋がるって、意識していたから。

【ロブ・マチャド インタビュー】親友でありライバル、ケリー・スレーターについて語る_04

「(1995年の決勝戦でハイ・ファイブをしたことによって、ロブ・マチャドがワールド・タイトルを逃すことになった、と後にほかのサーファーに指摘されたことを受けて)

だけど、その主張は事実とはかなり違う。……(中略)……僕はケリーに言ったんだ。『なんだか奇妙じゃないか…ビーチを見てみてよ。何千っていう人がビーチに座っていて、8~10フィートのパーフェクトなパイプが割れているのに、海の中には僕達二人だけなんだぜ』ってね。でも、ケリーはコンペティションのモードに入っていて、すごく集中していた。でも、僕は集中できていなかった…。なぜなら、その時点で僕は自分にとってこのイベントが大きな成功に繋がるってことを意識していたから。僕はその時のイベントには大穴中の大穴として出ていて、僕がパイプでいい波に乗ることはできないだろうって、みんな思っていたはずなんだ。

そうするための状況が、すべて揃っていた

ロブ・マチャド インタビュー_04

でも、イベントが進んでいって、僕はセミ・ファイナルまで勝ち上がって、タイトル獲得が現実のものとして見えるようになってきた。そんな中でのあのセミ・ファイナルは、まさにドリーム・ヒートだった。僕はまったくミスを犯さなかったと思う。僕は完璧にバレルをメイクして、パーフェクトなスコアを叩き出して、この地球上で最も偉大なコンペティティブ・サーファーを相手にサーフィンをしていた。…(中略)…だから、ケリーとハイ・ファイブしたのは、すごく自然なことだったんだ…(中略)…あの波は僕がそれまで知っている波とはまったく別のものだった。そしたら僕はスピッツとともにチューブから出てくることができた。そして、そこには、僕の目の前には、すべてを見ていたケリーがいた。偉大なるワールド・チャンピオンであり、究極のオーディエンスであり、そして友人でもあるケリー。…(中略)…だからこそハイ・ファイブだよ! そうするための状況がすべて揃っていたんだ!……」

競いあう場であることを考えたら、シリアスにならざるを得ない場。しかし、ロブはその場でパーフェクトな波を前に、パーフェクトなサーファーとともに、サーフィンができること自体を喜び、感謝し、楽しんでいた。彼の語り口からは、彼独自のサーフィンとの関わり方が伝わってくる。

インタビューの中でロブは、ケリー・スレーター、急逝した若き天才 アンディ・アイアンズ、バリ島、父親になって得たもの、そしてサーフィンとの関わりについて、自らの言葉で語ってくれた。常に変わらず自分らしく、でも変化に逆らうことなく波に乗り続ける彼のスタンスを、紐解いたフォト・セッション。様々な経験を経て、その経験だけ側面を積み重ねてきたロブ・マチャド。その姿は、サーファーである前にひとりの人間として、まぶしく魅力的だ。続きは、ぜひ誌面で目撃してほしい。

(ヨシザワ)

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