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筆とまなざし#171「雪崩に対しての危険意識を。講習会に参加してきました」

登る人も雪山での雪崩リスクの意識を

「登る」だけの登山者は、雪や雪崩についての意識が「滑る」人たちと比べて著しく低いとつねづね感じていました。それは自分も例外ではありません。そんなおり、山岳会の講習会で、現役ガイドを講師に招いて雪崩について学ぶ機会に恵まれました。

講師は「リズムワークス(http://www.ne.jp/asahi/rhythm/works/index.html)」代表で、登山ガイド、バックカントリーガイドの旭立太さん。日本雪崩ネットワークでも活動している、雪の安全管理のプロです。ぼくも以前から知っていて、度々イベントや岩場で顔を合わせていました。今回は「プロバイダー・セーフティキャンプ」という、二日間の基礎講習会に参加しました。

卓上と実地講習でビーコンとプローブのトレーニング

朝9時半に白馬栂池にある宿の前に集合。午前中は机上講習会となりました。雪崩がどんなものか、どんな種類があり、どんな状況で発生しやすく、どんなマネージメントをして行動しなければいけないのかを学びます。漠然としていた雪崩のイメージがポイントごとに整理されていきます。午後からは近くのスキー場へ行き、かろうじて雪が残っている場所でビーコンとプローブの講習。これまで、山岳会でビーコンを使った捜索救助練習をしたことはありましたがそれは言ってみれば会独自のもので、現場でのスタンダードな使い方を教えてもらいました。埋没後、15分が生死の境目だといわれます。迅速な救助がなにより大切になってくるため、正しく効率的に道具を使うことが非常に重要で、なおかつビーコンを使いこなすトレーニングも不可欠です。

地形を読みながら雪崩リスクの少ないルートファインディング

夜間に雪が降り続きました。翌朝、宿の外では20センチほどの雪が積もっていました。久しぶりの積雪で賑わうスキー場からゴンドラとロープウェイを乗り継いで栂池自然園へ。実際に山を歩きながらの実地講習です。どのような雪崩が想定できるのかを考え、目的地を設定し、地形を読みながら雪崩のリスクの少ないルートファインディングで進みます。これまでなんとなく歩いていた雪山が、いかに無防備だったかと気づかされます。尾根を登ると急峻な谷が切れ落ちている場所に出ました。谷を見下ろすと崩れたばかりの雪崩の跡がはるか下方へと続いていました。サイズ2。埋没したら命を落とす規模の雪崩です。足元の雪を崩すと、それらは周りの雪を巻き込みながらいとも簡単に雪崩となって谷を滑り落ちていきました。最後に、3名の登山者が埋没した想定での捜索救助トレーニングを行なって山を下りました。

雪山は雪崩リスクがつきものと考えて。知識と経験の積み重ねが大切

「雪崩が起きるようなところには行かないから」という登山者も多いでしょう。しかし、大きな急斜面以外にも雪山では雪崩リスクのある場所は多く、実際には避けて行動することは難しい。つまり、そのセリフは雪崩に対する危険を認識できていないだけのことなのだと思います。二日間の講習を終えて、ぼんやりと見ていた地形が雪崩というキーワードを軸に立体的に浮かび上がってくるようになりました。雪のことは雪のプロに教えてもらうのがいちばん。それにはそれ相応の対価を支払うのが当然で、さまざまな分野の講習会に参加することで自分自身の総合的なスキルを高めていけるのだと思います。もちろん、講習会はそのきっかけであり、普段から積極的にフィールドに出て知識に経験を積み重ねていくことが重要なのはいうまでもありません。

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PROFILE

成瀬洋平

PEAKS / ライター・絵描き

成瀬洋平

1982年岐阜県生まれ。山でのできごとを絵や文章で表現することをライフワークとする。自作の小屋で制作に取り組みながら地元の笠置山クライミングエリアでは整備やイベント企画にも携わる

成瀬洋平の記事一覧

1982年岐阜県生まれ。山でのできごとを絵や文章で表現することをライフワークとする。自作の小屋で制作に取り組みながら地元の笠置山クライミングエリアでは整備やイベント企画にも携わる

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