磯村真介さんの山道具収納術
PEAKS 編集部
- 2020年06月29日
礒村真介さん
モノ&ファッション情報誌の編集部に在籍中、ギア選びから傾倒したトレイルランや山の魅力にハマッてしまい、フリーのライター・エディターに。アウトドア関連各誌での執筆のほか、国内外のウルトラトレイルの大会で入賞多数。東京のトレイル&ランニングショップ「ランボーイズ!ランガールズ!」のトレランチームでコーチを務める
目指したのはトレイルランナーズハウス!?
5年ほど前に、トレイルラン好きが高じてそれまで勤めていた出版社を退社。編集者=興味のあるものを人に紹介する仕事なんだから、こんなにおもしろいトレイルランこそみんなに広めたいなと、フリーの編集&ライターに。
で、ゆくゆくは「トレイルランがしたくて山のそばに移住した」という人を増やしたいなあと。僕はそれを勝手に「トレイルランサーフィン化計画」と呼んでいる。
でも、あるときふと「それなら、まずは自分で実践してみないと」と、気がついたというか、なんというか。
そんなこんなで、よく走りに来ていた葉山に引っ越すことに。ここ湘南エリアには、昔から「サーファーズハウス」と呼ばれる家がたくさんある。
米カリフォルニアあたりのサーファーのライフスタイルを反映させた家の総称で、サーフボードロッカーが作り付けられていたり、外シャワーが設けられていたりと、サーフィンの前後に便利な仕様になっているのが特徴で。
だから対抗(!?)して、葉山の新しい家は「トレイルランナーズハウス」にしたかった。
そこでこだわったのが玄関のギアクローゼット。山ってちょっとした冒険、日常のなかの非日常だから、準備をしている時間も楽しいもの。
だからその「準備時間」をもっと快適にしたいなと思い、山小屋やログハウス風の収納も嫌いじゃないけど、イメージしたのはどちらかというと〝アウトドアショップの陳列〞。仕事柄いろいろなことをリサーチする性分で、調べてみると「ロイヤル」という金物メーカーがあって、どうもショップの陳列棚用のパーツメーカーとしてその筋では知られた存在であるらしい。
すぐにそこのブ厚いカタログを取り寄せ、素人なりにない頭で必死に考えて、図面のようなものを引いて、発注して……。準備時間といっしょで、この収納システムを考えているときが山登りより楽しかったかもしれない(笑)。
自宅の窓から見える海と空のグラデーションがきれいだったりすると、つい足裏がうずうずしちゃう。だからすぐにトレイルへと行けるよう、ギアクローゼットは三和土(たたき)に隣接させた。
ざっくりとシューズ、ウエア、バックパック、その他道具類に分けて分類。そしてそれぞれのジャンルのなかで、大きさや用途別にざっくり分けて並べているだけだ。自宅から走り始めるときはその場で着替えることもあるし、アルプスや八ヶ岳など遠くの山に行くときは、使いそうなものをまず玄関に並べてから、ダッフルバッグに詰めて車に積み込むスタイル。
収納スペース自体はスライドする引き戸で隠せるため、片付けきれてなくてもゴチャッとしたところは隠せるという、ものぐさな自分にはぴったり。
ものぐさといえば、行動食にはトレイルバターというオーガニックなローフードがお気に入り。
スクリューキャップ付きのパウチ容器に入っている、ピーナツバターのようなテクスチャーのナッツペーストで、三大栄養素のうちの脂質が中心となっている。
容量あたりのカロリーが高いというのが特徴。かつ、食べ残してもキャップを締めれば日持ちして、また次の山行に持っていけちゃう。このトレイルバターもギアクローゼット内のガラス瓶のなかにストックしているので、もし寝坊したとしても、これさえつかめば行動食を調達に寄らなくてもそのまま山に行けるのだ。
「思い立ったらすぐ山に行ける」、すなわち山を身近なものにしてくれる道具や収納に惹かれているのかな。
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文◎礒村真介(100miler)Text by Shinsuke Isomura
写真◎宮田幸司 Photo by Koji Miyata
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PROFILE
PEAKS 編集部
装備を揃え、知識を貪り、実体験し、自分を高める。山にハマる若者や、熟年層に注目のギアやウエアも取り上げ、山との出会いによろこびを感じてもらうためのメディア。
装備を揃え、知識を貪り、実体験し、自分を高める。山にハマる若者や、熟年層に注目のギアやウエアも取り上げ、山との出会いによろこびを感じてもらうためのメディア。