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筆とまなざし#198「岩場へ通う日々、早々に雪化粧した御嶽を眺めながら。」

遅ればせながらの岩場通い。雨の日は新しくオープンした、待望のクライミングジムへ。

冷たい雨が降った翌朝、岩場へ向かう車窓から真っ白に雪化粧をした御嶽山が見えました。澄んだ秋晴れの空の下、御嶽山はいつもよりもずっと近く、大きくそびえていて、思わず車をUターンさせて写真を撮りました。初雪はうっすらと雪化粧するくらいなのが普通ですが、ここまでしっかりと純白の初雪に彩られた御嶽を見るのは初めて。その風景には大陸的な雄大ささえ感じられました。夏の暑さが懐かしいくらいすっかり寒くなり、今日は中綿入りのジャケットとフリースパンツを引っ張り出してこなければいられないほど。そしていましがた、ついに禁断のストーブを点けてこの原稿を書いています。

例年、この時期は取り組んでいるルートにトライすべく岩場通いを続けています。いまごろがベストシーズンなので、それに合わせて9月ごろから通い始めるのです。今年は長期の仕事があったためかなり出遅れた感を感じながらのスタート。ところが週末はいつも雨なので、近くの伊那市(といっても下道で3時間弱かかる)にできた新しいクライミングジムに行ったりしながら少しずつ始動しています。このジムはリードクライミングができる、僕らにとっては待望のジム。すでに二週連続で行きましたが、雨の週末となればルートクライマーがたくさん集まってきています。久しぶりの人とばったり会ったり有名クライマーがいたりと、とてもおもしろい。クライミングジムはクライミングコミュニティを形成したりクライミング文化を伝えていくうえでとても大切な場所であると再認識させられました。そして、なにか新しいことが始まりそうでワクワクしながらすごしています。ルートの質も高くて登りごたえがあり、オープンしてまだ10日ほどですが、さっそくそのありがたさを実感しています。都会のクライマーは会社帰りにこんなジムで登っているのかーと思わずにはいられません。岩場が近くにあっても、やはり日常的なクライミングコミュニティの場としてクライミングジムが果たす役割はとても大きいものです。

さて、出遅れた残りの秋のシーズンをどうやってすごそうか。それが最近のいちばんの関心ごと。本格的な冬の到来はもうしばらく待ってくれと祈るばかりです。そして、今年の冬は寒くなりそうなので雪山にも通おうかと、すっかり白くなった御嶽山を眺めながら考えています。

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PROFILE

成瀬洋平

PEAKS / ライター・絵描き

成瀬洋平

1982年岐阜県生まれ。山でのできごとを絵や文章で表現することをライフワークとする。自作の小屋で制作に取り組みながら地元の笠置山クライミングエリアでは整備やイベント企画にも携わる

成瀬洋平の記事一覧

1982年岐阜県生まれ。山でのできごとを絵や文章で表現することをライフワークとする。自作の小屋で制作に取り組みながら地元の笠置山クライミングエリアでは整備やイベント企画にも携わる

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