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筆とまなざし#206「苗木城跡から眺める、ふるさとの山・恵那山。」

 地元の方にもふるさとの山・恵那山の絵を見てもらいたい。苗木城跡を訪れて。

木曽川の右岸、水面からの標高差約170mの山の上に苗木城跡があります。ボルダーと呼ぶには大きな花崗岩をそのまま活かした非常にユニークな山城で『絶景!山城ベスト10』で堂々の一位に選ばれたこともある、市内の観光スポットです。天守跡に設けられた展望台からは眼下に木曽川、中津川の街並み、その向こうに恵那山を見渡すことができ、絶好のビューポイントでもあります。

先日放映されたNHKのテレビ番組「岐阜・恵那山 ふるさとの山を描く」。ありがたいことにご好評をいただいており、番組の最後に登場するのが苗木城跡から眺めた恵那山でした。これまではたまにしか訪れることのなかったのですが、ここからの眺めはぼくにとって特別なものになっていたのでした。

先日、久しぶりに再会した友人を連れて苗木城跡に行きました。前回訪れたのは9月だったのでおよそ3ヶ月ぶり。木々はすっかり葉を落とし、草刈りや灌木も伐られていてずいぶんすっきりとした印象です。展望台から降りようとすると、階段を登ろうとするジョギング姿の年配の男性がやってきました。

「あれ? 赤井さん!」

「おお! 久しぶり! こんなところで会えるとは。テレビ見たよ!」

それは数年前まで恵那山の山小屋・萬岳荘の管理人をしていた方で、いつもの人懐っこい笑顔でそう言ってくれました。それにしても、こんなに元気にジョギングしているなんてアクティブだなぁ、いや、これがアクティブさの源なのでしょう。しばらく立ち話をしてから、赤井さんは軽い足取りで坂道を下っていきました。

この数年、春の開山祭に合わせて萬岳荘で展覧会を行なっていました(今年はコロナで行なえず)。そのきっかけを作ってくれたのがこの赤井さんだったのです。とはいえ、地元の方々にとってぼくは知られた存在ではなく、ましてや山をやらない方が林道を1時間も走って山小屋まで絵を見に来ることも稀だったと思います。けれど、「恵那山」と題されたテレビ番組は、登山に関心のない地元の方々もたくさん観てくれていたようで、街でときどき声をかけられるようになりました。

そんな地元の方々にも、番組のなかで描いた恵那山の絵を見てもらいたい。この街で、展覧会をしよう。放映が一段落して、そう思うようになりました。地元にUターンして10年。ようやく、この街で展覧会をするための土台ができたような気がします。そしてそれは、自分にとって新しいステージの始まりなのかもしれません。

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PROFILE

成瀬洋平

PEAKS / ライター・絵描き

成瀬洋平

1982年岐阜県生まれ。山でのできごとを絵や文章で表現することをライフワークとする。自作の小屋で制作に取り組みながら地元の笠置山クライミングエリアでは整備やイベント企画にも携わる

成瀬洋平の記事一覧

1982年岐阜県生まれ。山でのできごとを絵や文章で表現することをライフワークとする。自作の小屋で制作に取り組みながら地元の笠置山クライミングエリアでは整備やイベント企画にも携わる

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