筆とまなざし＃214「冬のボルダーの救世主、グリセリンとワセリンを導入」

ボロボロだった指皮の回復を目指して。グリセリンとワセリンを導入しました。

この冬は指先の皮が裂けることに悩まされていました。秋に触っていたボルダー課題には、左手人差し指に結晶を当てて思いきり握り込む核心の一手があり、乾燥し気温が低くなるベストコンディションになったところで皮がみごとに裂けてしまったのです。治ったと思って登るとすぐにまた裂けるの繰り返し。アロンアルファとテーピングで補強して登っていたけれど思うように登れず、仕方がないのでツルツルした岩質で指皮に優しい河原のボルダーを登ったりしていました。結局、指皮はボロボロのまま治ることはありませんでした。

今年の冬は寒く、笠置山も数年ぶりに根雪となりました。この数日の暖かさで雪も林道の凍結箇所もようやく溶けてシーズンイン。日曜日には以前から取り組んでいるプロジェクトにトライしてきました。このルートも左手人差し指の指皮が重要で、騙し騙しだった指皮の回復を本格的に始めなければと思うようになりました。

少し前、知人のSNSで指皮の回復に「グリセリンカリ液」というものが効果的だと書かれていました。皮膚の軟化と乾燥防止に効果があり、ひびやあかぎれの治療に使用されています。ドイツの医学者ベルツが女性の肌荒れを治すために処方したことからベルツ水とも呼ばれているとか。薬局で買えるということでしたが、近くのお店には「グリセリン」しかありませんでした。両者の違いはグリセリン単体か水酸化カリウム、エタノールが含まれているかどうか。グリセリン自体があかぎれの治療薬ということなので試しに購入。ちなみにグリセリンはハンドクリームや化粧水などにもよく入っています。ついでに保湿に効果的でクライマーにも愛用者の多い「ワセリン」も購入。ワセリンは鼻の穴や目の周りに塗ると花粉をキャッチし、花粉症対策にも効果があるとか。これは一石二鳥です。

グリセリンはとろりとした粘性のある液体でした。さっそく、裂けた指先に垂らして手全体に馴染ませ、その上からワセリンを塗って眠ってみました。翌朝起きると、なんだか指皮が全体的に厚くなっていて回復しているよう。それでいて硬化している感じもありません。裂けた左手人差し指もほとんど治っているではありませんか。もしかしたら、これで指皮を気にせずに登ることができるかも？

ぼくは冬山にいくと爪と皮膚の間が裂けてしまい、登る前にアロンアルファで補強しているのですが、そんなときにも使えそう。これから効果を観察しながら使ってみることとします。