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筆とまなざし#231「雑穀谷へのクライミングトリップ。立山登山とともに」

晴天の立山連峰。雑穀谷クライミングトリップとともに訪れる。

 室堂から一ノ越山荘までの間に雪が残っているだけで、立山の稜線はすっかり夏の雰囲気でした。

昨年秋、いつもクライミング講習会に参加してくださっている方に雑穀谷(立山駅の近くある岩場)でのクライミングトリップを提案すると、立山登山と合わせて行きたいとのこと。深田百名山が残りわずかになったけれど立山に登っていないのだといいます。雑穀谷は日当たり良好で夏場は暑い。山は早い時期には残雪が多い。ちょうどいいころ合いはと思ったところ、この時期がいいのではと思ったのです。ぼくはガイドではないので立山はプライベートでお伴することにし、三日間の予定で富山へ向かいました。

 最初は二日目に立山登山を予定していましたが、予報では初日がもっとも晴れそうでした。予定を変更して朝4時に岐阜を出発、8時半ごろには麓の立山駅に到着しました。この時期に立山に来たことはなく、初めてみる「雪の大谷」は少し小さくなっていたけれど、新鮮な気持ちで室堂に降り立ちました。このところ富山市の最高気温が30度になる日が続いたため一気に雪解けが進んだのでしょう。思いのほか雪が少なく、雪も緩んでグサグサ。アックスもクランポンも使うことなく一ノ越山荘に到着しました。それにしても、暑い。まるで真夏のような日差しです。稜線に出ると、黒部湖から吹き上げてくる風が火照った身体を冷やしてくれました。

 ガレガレの急坂を登ること1時間弱で雄山の頂上へ到着しました。空は深い青色で、その下に遠く槍ヶ岳の尖った頂が見えました。雲がかかった黒部五郎、ダムの向こうに後立山の山々、そして雄山から続く稜線の向こうに残雪の剱岳。室堂を見下ろすと、波のようにうねる雪の斜面が独特の景観を形作っていました。

 下山を開始し、室堂が近くなると雪面に大きな雲の影が流れていきました。夏は石畳の整備された道ですが、いまは一面の雪景色。雪はその場所を匿名化してくれるようで、先を歩く人々の姿がここでない場所を行く悠久の旅人のように見えました。

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PROFILE

成瀬洋平

PEAKS / ライター・絵描き

成瀬洋平

1982年岐阜県生まれ。山でのできごとを絵や文章で表現することをライフワークとする。自作の小屋で制作に取り組みながら地元の笠置山クライミングエリアでは整備やイベント企画にも携わる

成瀬洋平の記事一覧

1982年岐阜県生まれ。山でのできごとを絵や文章で表現することをライフワークとする。自作の小屋で制作に取り組みながら地元の笠置山クライミングエリアでは整備やイベント企画にも携わる

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