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フォトグラファー推薦! 秋山ルート7選

山の紅葉といえば涸沢カールが有名だけど、そのほかにもすばらしい紅葉景色は山にあふれている! 今回は日帰り~1泊2日で登れる山を中心に、低山から2,000m級までの紅葉ルートをフォトグラファーがご紹介。いましか見られない秋の山景色をハントしに出かけてみよう!

写真◉飯坂 大、杉村 航、水谷和政、鈴木千花
出典◉PEAKS 2020年10月号 No.131

ドンデン山[佐渡]

山と海とのコントラストが美しい、離島の秋景色。

大佐渡山地のほぼ中央に位置するドンデン山は、花の百名山にも選ばれており、豊かな高原植物や山野草が四季をとおして楽しめる。

日帰り
歩行時間:約3時間
紅葉時期:10月中旬~下旬

昨年、毎年の恒例になっていた秋のヒマラヤ旅がないということもあって、ひさしぶりに日本の紅葉が見たいと思い、気になっていた佐渡の山へ、母を連れて行った。青春時代に訪れたことがあるというドンデン山は母にとっての思い出の場所。標高差も少なく牧場の名残がある道は、緩やかで、登山初心者でも歩きやすい。言葉を失うくらいの色彩と静けさ。海と山のコントラスト。次は紅葉のなかを縦走してみたい。
(リコメンダー:飯坂 大)

ドンデン山荘からの展望はすばらしく、日本海と遠くは飯豊山まで見渡せるパノラマが歩く前から広がる。トレッキングの起点に宿泊するもよし。下山後に軽食も美味しくいただける。

MAP

アクセス

新潟市からカーフェリーで2時間半。起点のドンデン山荘へは両津港から車で40分。バスは春のみ運行で、レンタカーか自家用車が便利。自転車ツーリングでも楽しめるだろう。

アドバイス

ドンデン山荘には個室もあってグループでの宿泊も可能。テントも張れる。健脚の方は、佐渡の最高峰・金北山1,172mへも、ここを起点に縦走すれば満足度も高い。

荒船山[群馬・長野]

絶壁は船尾。甲板のようになだらかな山頂部をそぞろ歩く。

艫岩展望台より浅間山方面を望む。妙義の山々や北アルプス方面などの遠望がきく。タイミングが良ければ、白く冠雪した浅間山と紅葉の組み合わせも。

日帰り
歩行時間:約4時間30分
紅葉時期:10月中旬~11月下旬

その名のとおり、船のような山容で遠くからでもひときわ目を引く山。内山峠登山口からは、船尾にあたる断崖絶壁の艫(とも=船尾)岩を経由する人気ルート。展望に優れており、浅間山方面と麓の紅葉がすばらしい。ただし、ここまでは急坂や痩せた尾根など、少々スリリングな箇所も通過しなくてはならない。山頂部はなだらかで、経塚(行塚)山までは美しい森のなかを進む。平坦な甲板を歩いているかのようだが、最後は急になる。
(リコメンダー:飯坂 大)

MAP

アクセス

上信越自動車道、下仁田ICより国道254号線にて内山峠へ。約30 ㎞、約1時間。または佐久南ICより国道254号線にて内山峠へ。約20㎞、約40分。

アドバイス

絶景が魅力の艫岩だが、北側は垂直に切れ落ちている。高度感もあり見晴らしもいいが、不用意に際まで近寄らないようにしたい。実際に死亡事故も起きている。

蝶ヶ岳[長野]

草紅葉と穂高連峰から槍ヶ岳の大パノラマ。

足元にはウラシマツツジの赤とハイマツの緑のコントラストが冴える。正面に屏風のように連なる穂高連邦の山肌は、紅葉のグラデーションが美しい。

1泊2日
歩行時間:約8時間30分
紅葉時期:9月中旬~10月中旬

槍・穂高の前衛峰として比較的容易に登頂できるうえ、稜線は快適な展望台。圧巻の大パノラマが待っている。三股登山口からは本沢沿いに歩き出す。広い尾根に取り付いたら、あとはひたすら登りつめていく。利用者も多いので登山道はしっかりと整備されている。タイミングが良ければ登山道上の紅葉、さらに涸沢や槍沢を中心とした紅葉に加え、北アルプス南部の山並みが新雪で白く輝くさまにも出合えるかも。
(リコメンダー:杉村 航)

MAP

アクセス

JR大糸線、穂高駅下車。タクシーにて三股登山口(南安タクシー:0263-82-3113)。または長野道、安曇野ICより約20㎞、約40分。最盛期は駐車場混雑の可能性あり。

アドバイス

三股登山口のほかにも、上高地、徳沢から長塀尾根ルートや横尾からのルートがある。常念山脈の縦走路も魅力的。周辺の山と絡めてのコースアレンジもしやすい。

双六岳[長野・岐阜]

哀愁漂う槍ヶ岳の展望台地。

双六台地からの雲湧く槍ヶ岳。西部劇を連想させる荒涼とした草原に走るトレイルはこのまま槍ヶ岳まで歩いて行けそうな気にさせてくれる。

1泊2日
歩行時間:約14時間
紅葉時期:9月下旬~10月中旬

いわずと知れた北アルプス紅葉の定番スポット。涸沢と双璧を成す山岳紅葉の王道。色彩の涸沢、寂寥の双六岳。広大な双六台地に茂るイワスゲが草紅葉に染まり、CG合成さながらのイメージで槍ヶ岳が背後にそびえ立つ。人は少なく喧騒を離れて静かにじっくり光線陰影の変化を味わえる。立ち位置によって地平から見える槍の大きさを決めるのも楽しい。縦位置でトレイルを入れると山岳雑誌の表紙のように撮れる。また笠ヶ岳や黒部五郎岳を望遠レンズで狙うのもいい。
(リコメンダー:水谷和政)

MAP

アクセス

車の場合、中央道松本ICから国道158号線で安房トンネル経由、新穂高温泉駐車場利用。電車の場合はJR松本駅からバス利用。東京から毎日あるぺん号夜行バス利用も便利だ。

アドバイス

樅沢岳も夕陽の槍ヶ岳の絶景ポイント。新穂高温泉かわさび平小屋前泊なら余裕の日程。双六小屋は要予約。小屋閉め日も確認のうえ、コロナ対策も守って気持ちよく泊まろう。

黒斑山[群馬・長野]

黄金色に染まる浅間山の展望台。

黒斑山山頂から望む浅間山。中央の湯ノ平高原の後方に前掛山(前掛山は登山禁止)。トーミの頭付近からは造形的なローソク岩が前景のいいモチーフに。

日帰り
歩行時間:約3時間
紅葉時期:10月中旬~10月下旬

黒斑山は浅間山の大展望台として知られるが紅葉もすばらしい。紅葉の中心はカラマツで黄色のカーペットが山麓を覆う。黒斑山は浅間山系の第一外輪山で絶壁になっており、トーミの頭付近から見ると迫力ある断崖を実感できる。真下に広がる箱庭的な湯ノ平や、ときおり噴煙を上げる浅間山など、スケールあるジオパークを体感できる山でもある。カラマツは黄色から黄金色、最後にオレンジ色に変化して比較的長くピークが続く。単純に黄色単色といえない奥深さがある。
(リコメンダー:水谷和政)

MAP

アクセス

車の場合は東京から上信越道利用で小諸ICからチェリーパークライン経由で約2時間半。車坂峠に無料の駐車場あり。電車はJR佐久平駅から高峰高原までバスを利用。

アドバイス

お手軽コースだが事前に浅間山の活動状況を必ず確認すること。状況によっては車坂峠付近の水ノ塔山も考慮。カラマツの樹海が広がり北アルプスを遠望できるショートハイクだ。

日向山[山梨]

広葉樹から針葉樹までバリエーション豊か。

雁ヶ原の白砂の先に林立する風化した花崗岩から見下ろすと、黄葉のカラマツ林が圧巻だ。

日帰り
歩行時間:約4時間30分
紅葉時期:10月下旬~11月中旬

登山初心者や家族連れでも比較的気軽に楽しめる定番ルート。登り始めは広葉樹の樹林帯が出迎えてくれる。山頂付近になるとカラマツ林やササに変わり、移り変わるさまざまな紅葉景色が楽しめる。山頂で急に視界が開け、雁ヶ原と呼ばれる白砂に覆われた“天空のビーチ”が広がる。天気が良ければ八ヶ岳や甲斐駒ヶ岳、富士山の眺望も楽しめる。雁ヶ原の先の花崗岩からはカラマツ林のみごとな紅葉が広がる。
(リコメンダー:鈴木千花)

MAP

アクセス

車の場合は尾白川渓谷駐車場を利用。電車はJR中央線長坂駅、日野春駅、小淵沢駅からタクシーで約20分、またはJR小淵沢駅、韮崎駅から季節運行のバスもあり。

アドバイス

尾白川渓谷駐車場から徒歩約1時間の矢立石登山口からも登れ、駐車場も併設されるが駐車可能台数が少なくスペースも狭いため転回が困難。紅葉シーズンはおすすめしない。

御嶽山[長野・岐阜]

紅葉色と、三ノ池のコバルトブルーの二重奏。

二ノ池から三ノ池に向かう賽の河原に点在するクロマメノキの紅葉。一般的な紅や黄色ではなく、ビビッドなワインレッドのような発色がかわいらしく、また違った楽しみがある。

日帰り
歩行時間:約8時間30分
紅葉時期:9月下旬~10月上旬

早朝から登れば、飯盛高原駅か女人堂あたりで中央アルプス越しに昇る御来光が望める。カエデやナナカマドもこの辺りがハイライト。吸い込まれるようなコバルトブルーの三ノ池は、御嶽山に登るなら外せない。今シーズンも女人堂から三ノ池のトラバースルートは通行止めのため、三ノ池を見るためにはニノ池を経由する必要があるが、足を延ばして見る価値のある景色。ステキな小屋ばかりなので小屋泊もおすすめ。
(リコメンダー:鈴木千花)

MAP

アクセス

車の場合は黒沢口六合目駐車場を利用。電車の場合はJR中央本線木曽福島駅下車、タクシーまたは夏期のみの季節運行で木曽福島~六合目中の湯行きのバスを利用。

アドバイス

火山活動状況などにより、立入規制区域や通行止め箇所は変動の可能性があるので、登山直前まで情報の確認は必須。ヘルメット持参。

リコメンダーのみなさん

飯坂 大

今年の秋は東北の山々を歩こうと計画中。グレートヒマラヤトレイルの旅をまとめた写真集『behind the mountains』を刊行。

杉村 航

長野県在住の山岳カメラマン。信州登山案内人としてガイド業、登山道整備や遭対協メンバーとして山岳救助活動も行なう。トラウトフィッシングに没頭し、源流を釣り歩く日々。

水谷和政

コロナ禍の自粛で悶々と言いたいが意外にも身近に多彩な自然を発見。都心のベランダにヤモリの親子やゾウムシ、昨夜から秋の虫カヤヒバリが鳴き出した。

鈴木千花

毎週のように山に出かけ、一般登山のほか、フリークライミングや沢登り、アイスクライミングなど、1年をとおして山を楽しむフォトグラファー。英語翻訳家としても活動する。

※掲載の内容は2020年9月15日現在の状況です。お出かけの際は入山規制などの状況をご確認ください。

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