アトリエ小屋にルーフクラックを作成。アートスタジオがアーツ&クライムズスタジオに|筆とまなざし#284
成瀬洋平
- 2022年06月22日
自分で作ることのおもしろさを再確認できたクラック作り。
森のなかのアトリエ小屋。アートスタジオがアーツ&クライムズスタジオになりました。
作ったのは3.6メートルのルーフクラックで、片方はタイトハンド、片方はボルトとナットでサイズの調整ができるようにしました。いまは広めのワイドハンドサイズ。これは非常に悪く、ルーフを登ることができるのかはわかりませんが、できないからこそ練習のしがいがあるというもの。ルーフに加えてロフトへのハシゴの裏に垂直のクラックを3本作りました。それぞれタイトハンド、オフフィンガー(キャメロット#0.5サイズ)、フィンガー(同#0.3サイズ)。まだいろいろと工夫の余地がありますが、色々なサイズのジャミングを練習する装置ができ上がりました。
このクラック装置を作ろうと思ったのは、先日、とあるジムに行ったことがきっかけでした。ボルダー壁の隅っこに3本の木製クラックがあったのですが、そのうちの一本、オフフィンガーサイズのクラックが登れないことがわかったのです。岩と違って凸凹がなく、滑りやすい木の表面。これまでパッシブ(上から指を落とし込む)で登っていたのですが、この木製のクラックにはそれが通用せず、ジャミング真っ向勝負で登らなくてはなりませんでした。つまり、このサイズのジャミングが全然できていなかったのです。その後、名張に行ったときにもこのサイズのクラックに打ちのめされました。そこでジムにあったサイズと同じサイズのクラックを作って練習しようと思ったわけです。さらにルーフクラックの練習のための装置も作り、さまざまなサイズのジャミングを練習できるようにしたわけです。
このクラックを作りながら思い出したのは、ジムなど通えない高校生のころのこと。自宅の倉庫に小さなプライベートウォールを作ってひたすら登っていました。25年近く経って同じようなことをするとは思っていませんでしたが、道具も施設も与えられるばかりの昨今、自分で工夫して作ることがなんておもしろいんだろうと再認識することができました。いわゆる人工壁よりもスペースを取らず、製作費も安い。なんでもっと早く作らなかったんだろう。そう思うと同時に、高校生のころの情熱が沸々と蘇ってきたことが、なんだかとてもうれしく感じられました。
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