こんな違いが!?アルコール&固形燃料バーナーを実戦テスト【前編】
PEAKS 編集部
- 2022年12月23日
バーナーの軽量化で名前が挙がるアルコールバーナーと固形燃料。春の陽気を感じる3月末、屋外でその実用性をテストしてきた。明らかな差が出たテスト結果を、軽量化計画の参考にしてもらいたい。
INDEX
文◉吉澤英晃 写真◉後藤武久 イラスト◉高橋未来
重量と使いやすさの関係性を解き明かす
食事シーンに欠かせないガスバーナー。これを軽くしたいと考えると、アルコールバーナーと固形燃料が視野に入ってくる。
アルコールバーナーの燃料はアルコール。バーナーは市販されているものもあれば、空き缶などで自作することもできる。固形燃料は道具ではなく、燃料の一種。使うにはクッカーを乗せるゴトクを別途用意する必要がある。
いずれもガスバーナーよりも軽くなるが、もちろんデメリットも存在する。それぞれの特長をカモシカスポーツ山の店・本店に勤める茂垣亮馬さんに伺った。「必要な燃料を計算しやすい、燃焼時の音が静かといったメリットがありつつ、やはりガスバーナーと比べると最大火力が弱く、さらに火力を調整できないものが大半を占めます」
お湯を沸かすことに目的を絞るなら、アルコールバーナーと固形燃料も十分役立つ。しかし、食材を炒める、煮るといった調理をしたいなら、やはりガスバーナーのほうが有利といえる。
今回はそれぞれの使い勝手を確認するために、屋外で燃焼テストも行なってみた。結果を参考に、それぞれの特性を理解して使い分け方を探ってみよう。
固形燃料
おもなメリット
・ゴトクが軽量。シンプルな構造で壊れにくい
・必要な燃料の計算がしやすい
・家庭用の固形燃料も使用できる
・燃焼時の音が静か
固形燃料でお湯を沸かすにはゴトクが必要だが、特殊な機構を内蔵する道具ではないので、壊れることはめったにない。もし破損しても石組みなどで代用可能だ。ガスバーナーはカートリッジに入っている燃料を増やしたり減らしたりすることはできないが、固形燃料なら日数に応じて用意する燃料の量を増減できる。
おもなデメリット
・燃焼時にススが出でクッカーの底に付着する
・燃料から独特の匂いが出る
・風に弱く、風防が必須
燃焼時に黒煙が発生してクッカーの底が黒く汚れてしまうことがある。また、燃やすと体に悪そうな臭いを発生させる燃料もあり、なかにはこの臭いが苦手という人もいるだろう。アルコールストーブと同様に、風防がなければすぐ火が消えてしまうほど風に弱い。
使用時のポイント
燃やすとクッカーだけでなくゴトクも汚れる場合があるので、燃料の下にアルミホイルを敷いて、その上で燃やしてあげるのがコツ。火をつける前から臭いが気になる燃料もあるので、気密性の高い袋を用意して、その中に入れて持ち運ぶといい。点火するためのライターやマッチ、ファイヤースターターも忘れずに。
アルコール
おもなメリット
・バーナーが軽量。シンプルな構造で壊れにくい
・燃料が入手しやすく、軽量なプラスチックケースに入れられる
・細かく燃焼時間を調整しやすく、燃料のロスも少ない
・燃焼時の音が静か
バーナーは空き缶で自作できるほどシンプルな構造なので、目詰まりを起こしたりガスが出なくなったり、ガスバーナーで考えられる致命的なトラブルとは無縁といえる。また、アルコールは全世界どこでも入手可能。国内では薬局などで購入できる。液体なので、固形燃料より細かく燃料を計算することが可能だ。
おもなデメリット
・火力が弱く、調理には不向き
・風に弱く、風防が必須
・火力調整が難しい
バーナーの構造によって強弱はまちまちだが、ガスバーナーと比べるとおおむね火力は弱いといえる。なかには火力を調整できるバーナーもあるが、使いやすさはガスバーナーのほうが上だ。風が吹くとすぐ消えてしまうのは固形燃料と同じで、風防が必須になる。
使用時のポイント
アルコールバーナーにもゴトクが必要になるが、このゴトクには強度が弱いものもあるので、過度に重いものは置かないほうがいい。また、ゴトクはサイズが小さいものが多いので、幅が広い鍋型のクッカーを乗せると不安定になってしまう。いずれも小型で縦に長いカップタイプのクッカーと組み合わせるのがおすすめ。
教えてくれた人
カモシカスポーツ 山の店・本店
茂垣亮馬さん
北アルプスの涸沢を愛する東京生まれの31歳。勤続年数は9年目になり、お店ではそろそろ中堅スタッフ。去年コロナで断念した立山BCを計画中で、今年は夏に長期縦走も考えている。
※この記事はPEAKS[2021年5月号 No.138]]からの転載であり、記載の内容は誌面掲載時のままとなっております。
▼特性の違いを検証!【後編】はこちら
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PEAKS 編集部
装備を揃え、知識を貪り、実体験し、自分を高める。山にハマる若者や、熟年層に注目のギアやウエアも取り上げ、山との出会いによろこびを感じてもらうためのメディア。
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