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夏の清々しい早朝、近所の岩場でクラックを登る|筆とまなざし#336

良い1日が始まる予感。いや、すでに良い1日が始まっているのだと思った。

朝4時前に目を覚ました。外はまだ暗い。コーヒーを淹れ、まどろみから少しずつ意識を覚醒させる。4時20分、突然ヒグラシが一斉に鳴き始めた。外を見ると空が白み始めている。前日の湿気が朝靄となり、林は白く霞んでいる。

最高気温が35℃を超える日が続き、日中は近所の岩場ではとても登れない。そこでまだ朝の涼しい時間にボルダーに行くことにした。時間をずらせば、まだまだ家の近くでも遊ぶことができる。行き先は春から開拓を始めているエリア。岩のコンディションが悪くてもハンドクラックならさほど影響ないだろう。ということで、以前から目をつけていたルーフのボルダーに出かけたのだった。

駐車場に着いたのは6時ごろ。すでにうっすらと汗ばむほど暑い。数日前の雨の影響で、土は湿り気を帯びていて蒸し暑い。目当てのボルダーは日陰になっているのでそれなりに涼しい。昨日は良い天気だったのに、クラックの中はまだ少し濡れていた。

背伸びして使いそうな部分だけブラシで苔を落とす。クラックはルーフの奥から続いているが、下地が高くて狭すぎる。ルーフのなかほどにあるワイドクラックに両足をスタックさせる形でスタートすることにした。

右面が迫り出していてクラックに手をねじ込みにくい。フィストからハンドへ。ルーフを抜けたところからワイドクラックになるのだが、ここはレイバックのほうが簡単。体が上がったところでクラックに半身を滑り込ませ、岩の上まで攀じ登った。

朝日が斜光となって森のなかのボルダーを照らしていた。雲ひとつない夏の青空。すでに汗だくだけれど、夏の朝は清々しい。取り付きに戻り、岩の下からクラックを見上げる。割れ目越しに木の葉の緑が輝き、日差しが燦々と降り注いでいる。良い1日が始まる予感。いや、すでに良い1日が始まっているのだと思った。

近くにある、まだ登れていないクラックに移動したものの、こちらはなかなか難しい。そうこうしていると10時をすぎ、猛烈な暑さになってきたので灼熱の森を下った。家に帰ってシャワーを浴び、昼食を食べてお昼寝タイム。この時間が格別だったことはいうまでもない。

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PROFILE

成瀬洋平

PEAKS / ライター・絵描き

成瀬洋平

1982年岐阜県生まれ。山でのできごとを絵や文章で表現することをライフワークとする。自作の小屋で制作に取り組みながら地元の笠置山クライミングエリアでは整備やイベント企画にも携わる

成瀬洋平の記事一覧

1982年岐阜県生まれ。山でのできごとを絵や文章で表現することをライフワークとする。自作の小屋で制作に取り組みながら地元の笠置山クライミングエリアでは整備やイベント企画にも携わる

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