アウトドアウエアの現在と未来はこれだ!【ブランド担当者座談会】
PEAKS 編集部
- 2023年09月14日
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好評発売中「PEAKS 2023年11月号(No.162)」より、誌面記事の一部をご紹介します!
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新しい素材・新しい技術で年々進化しているマウンテンウエア。それはどういう意図で、どういう目的をもって作られているのだろうか?メーカーサイドの作り手の目線で、現在のウエアのトレンドを語ってもらった。
編集◉PEAKS編集部
文◉森山憲一
写真◉飯坂 大
撮影協力◉高尾599ミュージアム
これからのトレンドと課題を作り手が探る。
(右から)
MOUNTAIN HARDWEAR/伊藤大悟さん
コロンビアスポーツウェアジャパン所属。マウンテンハードウェアの商品企画担当。山岳ガイドとも連携しながらアイデアを練る毎日。
THE NORTH FACE/鰐渕 航さん
ゴールドウイン所属。ザ・ノース・フェイスのアウトドア部門のプロモーションを担当。バックカントリースノーボーダーでもある。
ARC’TERYX/三原淳也さん
アメアスポーツジャパン所属で、アークテリクス製品のマーケティングを担当している。製品プロモーションなどにも携わっている。
BLACK DIAMOND/五十島典空さん
ブラックダイヤモンドやオスプレーの輸入販売を行なうロストアローで広告部に所属。沢登りからアルパインクライミングまで行なう。
PATAGONIA/片桐星彦さん
パタゴニア日本支社スタッフ。クライミングやスノースポーツ、トレイルランニングなどのテクニカルアイテムを担当している。
MILLET/林 勲さん
ミレー・マウンテン・グループ・ジャパン所属で、マーケティング担当。プライベートではロッククライミングに熱中。5.13を登る。
MAMMUT/宇津木正太さん
マムート・スポーツグループジャパン所属。マムート製品のマーケティング全般から、プレス対応業務まで幅広く担当している。
「軽量化の追求が一段落して、軽さよりも完成度を追求するようになっています」(五十島)
――本日は、「アウトドアウエアの現在と未来」というテーマで、作り手の立場から、現在のウエアのトレンドや注目点を語っていただきたいのですが、ここ数年で感じている変化とか注目しているポイントなどありますでしょうか?
五十島 僕がここ数年のウエアの流れとして感じているのは、軽量化の追求が一段落して、軽さよりもトータルの完成度を追求する方向になってきているかなということです。たとえば、モデルチェンジした製品が旧モデルより重くなっているという例も見られるくらいです。これまで軽くしすぎて使い勝手や耐久性が犠牲になっていたところを改善するようになってきた結果なんだと思いますが。
三原 アークテリクスでは、軽さや強度、動きやすさに加えて、サステナビリティという要素をプラスした製品開発がここ数年多くなってきています。それは環境負荷の低い素材や製法を採用するだけではなくて、ウエアとしての耐久性を上げることも含まれます。細かな部分を改良することで破損しにくくして、ひとつの製品を長く使えるようにしていますね。
鰐渕 僕は、用途別にウエアがどんどん細分化されてきていると感じています。どんなアクティビティにも対応するオールラウンドなものが相対的に少なくなっていて、専門化が進んでいるなと思います。登山ひとつとっても、クライミングから、低山ハイキング、ファストパッキング、トレイルランニングと多様になってきて、求められる機能はそれぞれに違うので、そこに対応したもの作りが主流になっていますね。あと、それに応じたことだと思うんですが、オリジナル素材の開発が活発になってきているように思います。たとえば防水透湿素材でいうと、以前はゴアテックス一辺倒だったところが、「このアクティビティだったら、ゴアテックスほどの保護性能は要らないので、それよりも軽さと通気性を優先したい」ということで別の素材を採用したりということですね。
林 僕も似たようなことを感じていて、製品自体の変化というよりも、登山者のアクティビティやスタイルが多様になってきた結果かなと思っています。たとえばトレランスタイルやウルトラライトスタイルが一般的になってきているようなことです。そうした登山者側の変化に応じて、製品も徐々に変わってきているという感じがしています。ミレーは比較的オーソドックスな製品が中心のブランドなんですが、こうした新しい流れにも対応する製品にも力を入れていかなければいけないと感じていますね。
――登山界もずいぶん多様化しましたよね。
林 そうそう。だからこういう座談会でも、そろそろ新興のウルトラライトブランドみたいなところが加わってもいい、いや、加わるべきだとも思うんですよ。
――確かに。次からは検討します。
林 お願いします。僕らとは発想の異なる製品作りをしているはずなので、個人的にも興味があります。
――伊藤さんはどうでしょうか?
伊藤 やっぱり長持ちするものを作ろうという動きを感じているところは、みなさんと同じです。マウンテンハードウェアはかなりトンガッたモノ作りが特徴で、軽さをものすごく追求した時期があったんですけど、少し揺り戻しがきて、耐久性と軽さのバランスをどうとるか、ということがポイントになってきていますね。あと、普段着に近いデザインとカラーリングが好まれるようになってきています。
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北米とヨーロッパブランドの担当者による今回の座談会。話題はトレンドカラーやサイジング、バックパックやウエアのフィット感、海外と日本のニーズの違いへと続きます。そして、これからのウエアには欠かすことができない「環境対策」。今後、日本も重要視されるであろう環境対策について、各ブランドの「いま」と思いを語っていただいています。
続きは、9月14日発売 PEAKS最新号(2023年11月号)でご覧ください!
※この記事はPEAKS[2023年11月号 No.162]からの転載であり、記載の内容は誌面掲載時のままとなっております。
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PEAKS 編集部
装備を揃え、知識を貪り、実体験し、自分を高める。山にハマる若者や、熟年層に注目のギアやウエアも取り上げ、山との出会いによろこびを感じてもらうためのメディア。
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