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伴野“レイチェル”嶺さん、母・直美さん(後編)│低山トラベラー、偏愛ハイカーに会いに行く#19

低山トラベラーの大内征さんが山好きさんと山を歩く、連載「偏愛ハイカーに会いに行く」。山の愛し方は人それぞれ、とはいうけれど。十人十色の偏愛ワールドをのぞいてみれば、これからの山の愛し方とその先の未来が見えてくる、かもね。

今回の偏愛さん

伴野“レイチェル”嶺さん 母・直美さん

よちよち歩きのころから山を歩き始め、6歳で山梨百名山を全山、小学6年生でキリマンジャロを踏破した少女と、その母。現在は日本三百名山全山登頂を目指している。行動中は景色や草花を愛でたり、ふもとでは各地の食や文化体験を堪能するなど、山+αもふたりで楽しんでいる

レイチェルの歴史は直美さんの歴史でもあるわけで

レイチェルと僕の会話を温かい眼差しで聞いていた直美さん。ときどき母らしく諭す瞬間があったり、思い出すあれこれに言葉をつまらせることもあったり、そういうふる舞いを見ていると、レイチェルの挑戦は直美さんの挑戦でもあるのだと気づかされる。もともと大会入賞の経験があるほどのトレイルランナーだった直美さん、レイチェルの誕生とともに山歩きにスタイルをシフト。はたしてレイチェルが〝靴を履いて歩いた最初の一歩〞は1歳のころ、甲府市にある武田の杜だった。

それから11年。もうすぐ中学生になるレイチェルと、まだしばらくは二人三脚の旅が続く。「海外で貴重な経験をして意識が世界に向いていることはよしとして、地元山梨でおなじ世代の山好きな子たちと交わりながら、いろんな〝偉人〞が身近にもいるということを知ってほしい」と話してくれた。うん、たしかに!

レイチェルの「嶺」という名前にはいくつかの意味が込められているようで、中でも「神聖な山(嶺)」と「光(ray )」が重ねられているという話が、僕の気に入った。いい名前だなあと思うのだ。逆に「レイチェル」はどこからきたのかと聞くと、山梨百名山の記念すべき第一座目となった「小楢山」に登ったときに、直美さんの山仲間たちがつけた。嶺、光、そしてレイチェル。うん、いいリズムだ。

▲牛奥ノ雁ヶ腹摺山の山頂にて。山名は「雁が腹を擦るくらい高い」という意味をもつ。なんとこの周辺には、ほかにも「雁ヶ腹摺山」が二座もある

この日の牛奥ノ雁ヶ腹摺山は、山頂の風はとても冷たかったものの、終始穏やかで暖かい陽射しのなかでインタビューをすることができた。日本一長い名前の山から日本一高い山を眺められるとか、山梨百名山ではないとか(いい山なのに!)、でも秀麗富嶽十二景だとか、なにかとトリビアの多い山ではある。

▲独特の縞枯れ現象の山頂間近で、軽快に高度を上げていく。背中が頼もしい!

ちなみに、山梨百名山の中でレイチェルが好きな山は、富士山がよく眺められる山梨県南部町の白鳥山(568m)。あちらの山には「山梨百名山の中でいちばん低い山から、日本一高い山を眺めることができる」というトリビアがついてくる。

▲欠かせない行動食は? の問いに、間髪入れず「グミ!」と即答

低山トラベラー、山旅文筆家
大内征(おおうち・せい)

歴史や文化をたどって日本各地の低山を歩き、ローカルハイクの魅力を探究。NHKラジオ深夜便、LuckyFM茨城放送に出演中。著書に『低山トラベル』など。ライフワークは熊野古道

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ランドネ 編集部

ランドネ 編集部

自然と旅をキーワードに、自分らしいアウトドアの楽しみ方をお届けするメディア。登山やキャンプなど外遊びのノウハウやアイテムを紹介し、それらがもたらす魅力を提案する。

ランドネ 編集部の記事一覧

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