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しょうゆ顔な美形キャラ「コバギボウシ」|植物ライター・成清 陽のヤマノハナ手帖 #33

登山&撮影をライフワークとする花ライターがお送りする、高山植物の偏愛記。静かに、しかしアツ~く、お花をご紹介します!

「困りました。とにかく仕事が手につきません」。こんなコメントは、読者的には「?」ですよね。いやしかし、切実です。だってだって、いまはちょうどフデリンドウが開花する頃。今朝も地元の山でひとしきり撮影してから、この原稿を書いている始末です。うおお~、こりゃ楽しいけど忙しい!そんな調子ですぐにやってきそうな夏。今回はハイシーズンの湿地に思いを馳せつつ、ちょっとツボなキャラクターをご紹介します。

微妙、絶妙な存在感

Data

コバギボウシ(キジカクシ科)
一般的な花期:7~8月
おもな生育場所:平地~山地の湿地など

7月下旬~8月中旬の尾瀬を歩くと、必ずといっていいほど見かける、このお花。しゅっと背が高く、薄紫色が実にキレイ。さて、これはだれ?そう言われて、瞬時に「コバギボウシ!」って答えられる人が、いるような、いないような。好きな花にランクインする確率が、高いような、低いような。存在感があるような、ないような……。たとえるなら“いつもクラスの隅っこにいる、美形”。コバギボウシさんには、そんなニックネームが妥当でしょう。……ここまでけなさなくてもいいような、悪いような、ですが(笑)。

名前の由来もまた微妙……

思わずワルグチを言いたくなるのは、名前が難しいからこそ。コバは「小さい葉っぱ」だろうと想像がつくわけですが、ギボウシってなんだ、ゴボウの一種か?そんな突っ込みがありそうですが、漢字で書くと「擬宝珠」。橋の欄干についている、タマネギみたいな装飾具のことなんです。これは宝珠(=宝物)、つまり仏の教えのシンボルとされるもの。宝珠とツボミが似ているので、“擬”宝珠というワケです。ホンマかいなと思った方は、「擬宝珠」で検索!建築金物屋さんの通販サイトに載ってます(驚)。

しょうゆ顔のエース的存在かも

いやー、名前の由来を書くのにこんなに苦労するとは。「漢字名の説明長いわ宝珠の説明長いわ由来の説明長いわ宝珠に似てないわぁぁぁ!!!」と、息継ぎもせず阿鼻叫喚。そんなゴッツイ名前なのに、見た目が清楚で端正なのが、ある意味でミスマッチ。思わず「しょうゆ顔(ウスい顔)のくせにぃ!」って言いたくなるんです。ところで筆者、縄文人の研究者に「アンタ縄文顔だねぇ」って言われたことが。いわゆるソース顔、濃い顔なのだそうデス。って関係ねえわ!

山菜としては全国区?

そんなコバギボウシさん、じつは山菜としては結構有名。正確には、コバギボウシよりも花数が多く、葉が大きいオオバギボウシを「ウルイ」と呼び、各地で食しているんです(ちなみに1枚前の写真はオオバキボウシ!)。ま、これもタラの芽やコゴミ、フキノトウなどメジャータレントからすればまだまだ二番煎じ。……かと思いきや、ウルイは見た目どおり&期待どおりのクセのなさを誇ります。さっと茹でて食べれば、ニジュウマル!!ウスいお顔だけに、しょうゆマヨつけて食べてみて!

間違えないで!要注意

ところで、本連載「#9コバイケイソウ」でも書きましたが、ギョウジャニンニクとコバイケイソウ(有毒)はそっくりさん。さらに言うなら、ウルイとコバイケイソウも兄弟のよう。つまりは彼ら、見た目だけでなく、生えている環境(湿地)も似ているんですね。なお、写真でミズバショウのそばにたたずむ芽吹きが、コバイケイソウ。茎がしっかりと見え、さらに葉っぱに明らかな折り目がついているというポイントは、山菜ファンなら押さえておきたいところです!

信念を貫く根性は認めます☆

さて、秋が深まって果実になったコバギボウシ。タネ(黒いツブ)がこぼれると、ミズゴケ湿原に広がっていきます。一般的にタネは地味なものですが、コバギボウシのタネもまたジワジワくる地味具合。なにやら、メジャーカーストは狙わないという揺るぎない信念(?)が見えるようではありませんか。けっして群れることなく、しょうゆ顔で咲き誇り、しょうゆ顔のまま枯れていく……。その気概だけは認めてあげたいと思ったのでした!!

 

さてさて、今回ご紹介してきたコバギボウシ。いかがでしたでしょうか?名前が覚えにくいためか、メディアで取り上げられる機会が少ない気がしますが、それでも湿原にしゅっと立つ薄紫色のお花は、なかなかステキ。これからやってくる夏、ぜひぜひ探してみてください。きっと“しょうゆ顔”とワタシが揶揄する理由がわかると思いますので!

それでは、また。
みなさまのココロに、すてきな花が咲き誇りますように。

 

植物ライター
成清 陽
持ち前の強い好奇心で、大学時代から山・海・島を渡り歩いてきた個性派。自然ガイド、環境コンサル、アウトドア誌編集者、市営公園管理人、企業の森づくりなどなど、自然にまつわる職を転々としたのちにフリーランスに。好きな山は尾瀬、白山、御嶽、北岳。2023年春から岐阜県山間部のプチ古民家に移住し、半隠居ライフを通じて、どこまでユルく生きていけるのか絶賛お試し中です!

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PROFILE

成清 陽

ランドネ / 植物ライター

成清 陽

持ち前の強い好奇心で、大学時代から山・海・島を渡り歩いてきた個性派。自然ガイド、環境コンサル、アウトドア誌編集者、市営公園管理人、企業の森づくりなどなど、自然にまつわる職を転々としたのちにフリーランスに。好きな山は尾瀬、白山、御嶽、北岳。2023年春から岐阜県山間部のプチ古民家に移住し、半隠居ライフを通じて、どこまでユルく生きていけるのか絶賛お試し中!

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持ち前の強い好奇心で、大学時代から山・海・島を渡り歩いてきた個性派。自然ガイド、環境コンサル、アウトドア誌編集者、市営公園管理人、企業の森づくりなどなど、自然にまつわる職を転々としたのちにフリーランスに。好きな山は尾瀬、白山、御嶽、北岳。2023年春から岐阜県山間部のプチ古民家に移住し、半隠居ライフを通じて、どこまでユルく生きていけるのか絶賛お試し中!

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