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果たして“妖怪”や否や「ショウジョウバカマ」|植物ライター・成清 陽のヤマノハナ手帖 #32

登山&撮影をライフワークとする花ライターがお送りする、高山植物の偏愛記。静かに、しかしアツ~く、お花をご紹介します!

1月は行く、2月は逃げる、そして3月が去る前に……確定申告。って本当にいつも毎年、この時期はなぜかホントに忙しい。そのすき間を縫って花を見つけに出かけると、マンサクやサンシュユ、ヒメリュウキンカなどなど、気分をぱっと明るくしてくれる花がてんこもり。多忙を癒やしてくれるのは、花だけなんです(ある意味、寂しい)。さてさて、そんな春の足音が近づくなか、標高500m以下のエリアでそろそろ開花を迎えるのが、「ショウジョウバカマ」。大好きな大好きな花への愛情を、語らせてください~!!

“らしくない”姿からのご紹介でスミマセン

Data
ショウジョウバカマ(シュロソウ科)
一般的な花期:4~6月
おもな生育場所:平地~山地の湿地や沢筋など

春が到来すると同時に、花火のカタマリのような赤紫の花がぶわーっと咲く。気分がアガっているハイカーが、ワーッとなる。これ、ショウジョウバカマのまわりで起こる、ひとつの現象です。ところで、ショウジョウバカマは茎が長い植物ですが、この写真では首をすぼめているみたい。下呂市の白草山、やや吹きっさらしのトレイル脇でのワンカットなんですが、標高が高いとやっぱり寒いんでしょうか?葉っぱのマフラーに埋もれているみたいで、カワイイ♥

名前の由来は、アノ妖怪!!

さてさて、ショウジョウバカマ=猩々袴の字が現すのは、アノ妖怪。花は赤ら顔の「猩々」(しょうじょう)、葉っぱはその袴みたい!!……と言われても、ピンとこないのが正直なところですよね~。私も初めてその由来を聞いたときには、目がテンに。しょうじょう?ショウジョウ?……俺が知ってるのは、まんが日本昔ばなしまでだわ!ところで、写真のような白花バージョンも知られるショウジョウバカマ。“顔”が白かったら、猩々じゃないじゃんかよ!!

花が終わってからが本領発揮?

この妖怪談義については、個人的には花が終わって果実になってからのほうが、信憑性があると思うんです。というのも、花の茎がにょきにょきにょきと、伸び~る!これ、花が終わったのちに、種をできるだけ遠くに飛ばすための工夫だとか。めずらしく、トレイル脇でショウジョウバカマの熟した種を見つけました。なかには種がぎっしり!さて、どんな子鬼が出てくるの?恐る恐る、手のひらに出してみると……。

風にのって、遠くまで

やっぱしカワイイ♥うっかり“カワイイ”を連発してしまうくらい、はかなげで細~い種が、ぎっしり詰まっていたのでした!こんなに軽くてか細い種、遠くに飛ばすのは難しい。だからこそ、ショウジョウバカマは茎を伸ばして、できるだけ風が受けられるように、がんばっているのです。健気で素朴、正直もん!なかなかニクイ植物だな、と思わず納得してしまうものです。さて、しかし本題はここから。ホラーな瞬間、はじまるよ~!!

増えルンです♪

ショウジョウバカマのホントウにヤバいところは、「クローンで増える」こと。老いるほどに葉の先っぽが垂れ、そこから子株ができるんです。え、怖くない?むしろ、葉っぱの先にリボンがついているみたいでカワイイって?イヤイヤ、想像してみてください。葉っぱから子どもが生まれるってことは、僕らニンゲンなら指先から子どもができるってことでしょ!?アンビリーバボー!!……なんですけど、やっぱりカワイイですよね♥もうホントに、大好きなショウジョウバカマの開花が、待ち遠しくてたまらんのです~!

 

さてさて、今回ご紹介してきたショウジョウバカマ。いかがでしたでしょうか?とってもかわいくってかわいくって、クローンをつくるなんて、にわかには信じがたい。私自身も、見るまでは半信半疑でした。発見のコツは、できるだけ葉っぱが大きく育った株を見つけること。しかも、若くてツヤツヤした葉じゃなくて、ちょっとくたびれたオジイサン株を見つけることです(笑)。われわれニンゲンの将来を左右するかもしれない、「クローン」。ぜひぜひ、未来への希望(!)を発見してみてください~!

それでは、また。
みなさまのココロに、すてきな花が咲き誇りますように。

 

植物ライター
成清 陽
持ち前の強い好奇心で、大学時代から山・海・島を渡り歩いてきた個性派。自然ガイド、環境コンサル、アウトドア誌編集者、市営公園管理人、企業の森づくりなどなど、自然にまつわる職を転々としたのちにフリーランスに。好きな山は尾瀬、白山、御嶽、北岳。2023年春から岐阜県山間部のプチ古民家に移住し、半隠居ライフを通じて、どこまでユルく生きていけるのか絶賛お試し中です!

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PROFILE

成清 陽

ランドネ / 植物ライター

成清 陽

持ち前の強い好奇心で、大学時代から山・海・島を渡り歩いてきた個性派。自然ガイド、環境コンサル、アウトドア誌編集者、市営公園管理人、企業の森づくりなどなど、自然にまつわる職を転々としたのちにフリーランスに。好きな山は尾瀬、白山、御嶽、北岳。2023年春から岐阜県山間部のプチ古民家に移住し、半隠居ライフを通じて、どこまでユルく生きていけるのか絶賛お試し中!

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持ち前の強い好奇心で、大学時代から山・海・島を渡り歩いてきた個性派。自然ガイド、環境コンサル、アウトドア誌編集者、市営公園管理人、企業の森づくりなどなど、自然にまつわる職を転々としたのちにフリーランスに。好きな山は尾瀬、白山、御嶽、北岳。2023年春から岐阜県山間部のプチ古民家に移住し、半隠居ライフを通じて、どこまでユルく生きていけるのか絶賛お試し中!

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