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コマクサと並ぶ高嶺の花「トウヤクリンドウ」|植物ライター・成清 陽のヤマノハナ手帖 #28

登山&撮影をライフワークとする花ライターがお送りする、高山植物の偏愛記。静かに、しかしアツ~く、お花をご紹介します!

ハチ公付近が封鎖されたせいか、普段よりもめっちゃ歩きやすかったという渋谷のハロウィンは、無事終了。これからの都市部はクリスマスソングが鳴り響き、ボーナスの乱用を促す頃合いですね。いっぽう、筆者の住む岐阜県山間部では、イノシシが田畑を荒らしまくる日々。まったくクリスマス感なく、このまま熱燗と火鉢が活躍しそうであります。そんな秋のラストに登場いただくのは、高山植物界のラストランナー。あまり目立たない、高嶺の花に登場いただきます!

ビミョーな知名度を誇ってますっ

Data
トウヤクリンドウ(リンドウ科)
一般的な花期:8月~10月
おもな生育場所:高山の岩場など

「高山の岩場にある花って知ってる?」というクエスチョンをぶつけたら、みなさんはどう答えますか? 関心のある人なら「コマクサでしょ」と即答、関心のない人なら「うーん、知らないな」。無関心全開放の人であれば「だれ?そんな質問するやつ」ってとこでしょうか。まあ、そうだ。筆者もそんな質問されたことないもんっ(ぷんぷんしながら居直る)。ですが、関心のある方にあえてご紹介したい!高嶺の花は、紅白そろうんです。赤がコマクサなら、白はトウヤクリンドウです!!

別種のご紹介が不可欠です

だれですか、「ええ~? クリーム色じゃん」「スジも入ってるし」とか言ったのは。めでたけりゃ~いいんですヨ(自暴自棄)。さてこのトウヤクリンドウ、ちょっと名前が変わってると思いませんか。リンドウはまあいいとして、「トウヤク」とはなんぞや?といいますと、別の植物・センブリ(写真)を乾燥したもの。おなじリンドウの仲間ですが、古くから胃腸薬の効能が知られていたことで、別名は「まさに(当)くすり(薬)」。漢字をそのまま読んで「トウヤク」です。センブリ同様に薬になるため、この名前がついたそうです。

住み処はとにかく高いところ!

わが家にもセンブリ茶がどっかにしまってありますが、その強烈な苦味ゆえにほとんど飲めませぬ(情けない)。ちなみに、乾燥粉末にしたというトウヤクリンドウの根茎はどのくらい苦いのかは、実験不可能。生息地のほとんどが国立公園内ですからね~。で、どんなところに生えているかというと、ガチの岩場。標高はおよそ2,000m後半からという、ホンマモンの高山植物です。写真に映るハイマツの根っこからも、その環境がなんとなく想像できるのではないでしょうか?

園芸店でも出会えますよ!?

ちなみに、リンドウらしからぬ葉っぱの分厚さと長さを誇るのも、トウヤクリンドウの特色のひとつ。脈がやや見えにくいので参考写真は別種ですが、リンドウならではの三本の葉脈(=三行脈)はそなわっております。なお、いまは秋ですからお花屋さんに並ぶリンドウでも三行脈が見られるはず。「コンニチハ~リンドウありますか?」と明るくあいさつを交わしたら、あとは穴が空くほど葉っぱを凝視してください。きっと、三行脈がよくわかりますっ!ヘンな人だと思われちゃったら、それはそのときってことで♪

北海道にそっくりさんが?

あまり脚光を浴びない、トウヤクリンドウ。ですが、とってもニッチなプチ論争に巻き込まれているそうで。北海道(とくに大雪山系)に「クモイリンドウ」という姉妹品種がいるんですが、「トウヤクと同じだ」「ぜんぜんちがうっ。大雪山の固有種だ」「いや、やっぱおなじらしい」「背の高さと花の大きさが違うからエゾトウヤウリンドウだよ」と、いわゆるカオス状態。キレイドコロじゃないから研究対象になりにくいかもですが、なんとか科学の力で鑑定してほしい!なぜって、この連載のひとネタになりますからネ(笑)。

 

さてさて、今回ご紹介してきたトウヤクリンドウ。いかがでしたでしょうか?意外と目立つところにいるだけに、もう少しメジャーになってくれてもいいもんですが、このお花は意外とスルーされがちなんですよね。せっかくですから、来年高山で見かけたら、「お!キミ知ってるよ!」って声をかけてやってください~。きっとよろこぶ(どうやって?)と思います!!

それでは、また。
みなさまのココロに、すてきな花が咲き誇りますように。

 

植物ライター
成清 陽
持ち前の強い好奇心で、大学時代から山・海・島を渡り歩いてきた個性派。自然ガイド、環境コンサル、アウトドア誌編集者、市営公園管理人、企業の森づくりなどなど、自然にまつわる職を転々としたのちにフリーランスに。好きな山は尾瀬、白山、御嶽、北岳。2023年春から岐阜県山間部のプチ古民家に移住し、半隠居ライフを通じて、どこまでユルく生きていけるのか絶賛お試し中です!

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PROFILE

成清 陽

ランドネ / 植物ライター

成清 陽

持ち前の強い好奇心で、大学時代から山・海・島を渡り歩いてきた個性派。自然ガイド、環境コンサル、アウトドア誌編集者、市営公園管理人、企業の森づくりなどなど、自然にまつわる職を転々としたのちにフリーランスに。好きな山は尾瀬、白山、御嶽、北岳。2023年春から岐阜県山間部のプチ古民家に移住し、半隠居ライフを通じて、どこまでユルく生きていけるのか絶賛お試し中!

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持ち前の強い好奇心で、大学時代から山・海・島を渡り歩いてきた個性派。自然ガイド、環境コンサル、アウトドア誌編集者、市営公園管理人、企業の森づくりなどなど、自然にまつわる職を転々としたのちにフリーランスに。好きな山は尾瀬、白山、御嶽、北岳。2023年春から岐阜県山間部のプチ古民家に移住し、半隠居ライフを通じて、どこまでユルく生きていけるのか絶賛お試し中!

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