高山植物の女王・コマクサを見るならココ!|植物ライター・成清 陽のヤマノハナ手帖 #36
成清 陽
- 2024年07月31日
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登山&撮影をライフワークとする花ライターがお送りする、高山植物の偏愛記。静かに、しかしアツ~く、お花をご紹介します!
ジメジメ、ムシムシ……。ニッポンの夏は、とにかくコレ。さらに困るのは、近年フツーになりつつある、この急激な温度変化。「壊れる前に山に行ってネ!!」。そんなお天道様のお導きに従って足を運びたいのは、やっぱり花の山ですよねーーー!ということで今回は、ハイカーから盤石の支持率を誇る、アノ高山植物が見られる5座をご紹介。行ってみましょう、“コマクサ山”へ!
東北地方の雄!「岩手山」
(写真提供:八幡平市観光協会)
岩手山のコマクサを筆頭とする理由。それは、「日本一のコマクサ群落」と呼ばれているから!写真からも、株の密度や規模の大きさが伝わってきます。ここを凌ぐ群生地は、なかなかないでしょうね。ただ、問題がひとつ。関東や中部から遠い……とあって、じつは私もいまだ未踏(スミマセン)。ピークの7月上旬は、シラネアオイなどほかの高山植物もキレイだとか。3年以内に行くから待ってろよ~、岩手山!
(写真提供:八幡平市観光協会)
Data
平年の見頃:6月下旬~7月上旬(ピーク7月上旬)
最寄り登山口:焼走り熔岩流
登山口~群生地までの所要時間:片道約2時間
撮影地:第一噴出口からツルハシの間
高山らしい気風がステキ「爺ヶ岳」
先日、本誌8月号特集内にて登場したのが、こちら爺ヶ岳。非常に花の豊富なトレイルで、花好きならばキュンキュン間違いなし!稜線を、そして南峰を越えて中峰へ。そこには、“高山植物はかくあるべき”というカオをした女王が君臨しています。トレイルのガレた感じや傾斜の強さ、そして鹿島槍とのコラボは、感服のひと言。さらに体力と時間に余裕のある方はお隣・蓮華岳の群生地にもGO♪
Data
平年の見頃:7月上旬~7月下旬(ピーク7月中旬)
最寄り登山口:柏原新道入口
登山口~群生地までの所要時間:片道約5時間
撮影地:爺ヶ岳(南峰~中峰間)
フェアリー感が満載「八ヶ岳」
北アと並ぶ人気スポット、八ヶ岳。コマクサ群生地があるのは、爆裂火口を誇る硫黄岳。横岳方面にかけてのトレイル脇を、非常に数多くのコマクサが彩っています。ただしこのコマクサ、ほかの山域と少し違って“ちっちゃい”のが特色。色も少し濃くてフェアリーな印象を受けますが、なにせ背が低い+株が小さい。気づかずスルーしないよう、要注意ですっ☆
Data
平年の見頃:6月下旬~7月下旬(ピーク7月中旬)
最寄り登山口:桜平
登山口~群生地までの所要時間:片道約3時間30分
撮影地:硫黄岳山荘周辺
あの“レッド”が鎮座する「御嶽山」
富士山、立山と並ぶ日本三霊峰として信仰を集める、木曽御嶽山。未だ噴煙を上げる活火山ではありますが、ここもコマクサのスポットがあるんです。ただ、御嶽にはほかの山ではあまり見かけない、鮮烈な赤色のコマクサが散在。勝手に私が“幻のコマクサレッド”なんぞと戦隊まがいの命名をしておりますが(汗)。園芸品種ではという説もありますが、これも一興と愛でてあげたいものです。
Data
平年の見頃:7月上旬~7月下旬(ピーク7月中旬)
最寄り登山口:王滝口
登山口~群生地までの所要時間:片道約5時間
撮影地:サイノ河原周辺
反則級のアクセス「乗鞍岳」
トリを飾るのは、やはりここ。コマクサ大群生までのアクセスは、おそらく国内No.1!!畳平のバスターミナルを降りてから、すぐにコマクサを見かけます。問題があるとすれば、ありがたみが薄れること(!)。それほどまでに、安定の株数を誇っているんです。興味深いのは、乗鞍のコマクサはしばしばほかのお花と戯れている点。コマクサはキホン一匹狼なので、このエリアならではの特徴といえるかもしれません。
Data
平年の見頃:7月上旬~7月下旬(ピーク7月中旬)
最寄り登山口:畳平バスターミナル
登山口~群生地までの所要時間:片道約10分
撮影地:畳平周辺
さてさて、今回ご紹介してきた、コマクサ山。いかがでしたでしょうか?今回、アップのタイミングが遅れてしまったのは、八ヶ岳へコマクサ撮影に行っていたため。今年は特に花が早く、硫黄岳周辺では終盤にさしかかっていました。開花情報の“見頃”は、意外とピーク通過後が多いという、実例ですね。ただ、自身の勘でピークが当たったときのヨロコビはひとしお!!ぜひぜひ、各山でコマクサの最盛期を狙ってみてください。
それでは、また。
みなさまのココロに、すてきな花が咲き誇りますように。
植物ライター
成清 陽
持ち前の強い好奇心で、大学時代から山・海・島を渡り歩いてきた個性派。自然ガイド、環境コンサル、アウトドア誌編集者、市営公園管理人、企業の森づくりなどなど、自然にまつわる職を転々としたのちにフリーランスに。好きな山は尾瀬、白山、御嶽、北岳。2023年春から岐阜県山間部のプチ古民家に移住し、半隠居ライフを通じて、どこまでユルく生きていけるのか絶賛お試し中です!
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PROFILE
持ち前の強い好奇心で、大学時代から山・海・島を渡り歩いてきた個性派。自然ガイド、環境コンサル、アウトドア誌編集者、市営公園管理人、企業の森づくりなどなど、自然にまつわる職を転々としたのちにフリーランスに。好きな山は尾瀬、白山、御嶽、北岳。2023年春から岐阜県山間部のプチ古民家に移住し、半隠居ライフを通じて、どこまでユルく生きていけるのか絶賛お試し中!