【鈴木文雄】唐津の冬ヒラマサ 玄界灘・加唐から壱岐の島海域に大政を追った【PART4】
SALT WORLD 編集部
- 2022年01月14日
究極のゲームフィッシングのひとつ「ジャイアントトレバリー=GT」を、長年狙い続け、多くの記録的サイズをキャッチしてきた実績を持つGTフィッシングのパイオニアのひとり鈴木文雄氏。本誌ソルトワールドで連載してきた釣行記「海道釣紀」の中で鈴木氏が玄界灘・壱岐の島に赴いた際の記録を全4編でお送りする。
7㎏のヒラマサを釣り上げた前回。最終回となる今回は同じポイントの沖側でさらなる大物を狙い続ける。
【鈴木文雄】唐津の冬ヒラマサ 玄界灘・加唐から壱岐の島海域に大政を追った【PART1】>>>
【鈴木文雄】唐津の冬ヒラマサ 玄界灘・加唐から壱岐の島海域に大政を追った【PART2】>>>
【鈴木文雄】唐津の冬ヒラマサ 玄界灘・加唐から壱岐の島海域に大政を追った【PART3】>>>
大魚あらわる
キャスティングは飛距離とアプローチの正確さが大切なことは言うまでもない。GALOIS‐MASSA853TはGT・Tと比べ、ガイドが一回り小さい設計だ。これは幾多のフィールドテストから考えた独自の理論で、軽量化とキャスティング精度を上げる工夫である。
凪の海がざわつき出した。遠くでトリヤマが見えた。小さなベイトが跳ねて舞う。トリヤマが移動しながら薫風に近づくのが分かった。船長は動かない。ぼくもじっと射程距離に入るのを待つ。残念ながら、あと150mのところでベイトの群れは潜ってしまった。鳥も散ってしまったけれど、頭上で高く舞っている。
一羽が何かの影を見つけたらしく、急降下した。ぼくもその方向にフルキャストした。⊿10‐65は緩い放物線を描いて飛距離を伸ばした。着水の飛沫とスプラッシュを連続させる。鳥たちも一斉に刺さりだした。丁寧にスキップさせ潜らせると、海面が爆発するように炸裂した。巨大なヒラマサが天に舞う勢いでバイトしたのだ。
魚は頭を振って逃げようと必死だが、その隙がフッキングの勝負の瞬間なのだ。リールを巻きながらしつこく合わせ、同時に船首に移動した。船長もゴープロのスイッチの確認で飛んできた。船首に立った時、ドラグ8㎏のスプールは異常な音を立てて逆転した。ロッドを寝かせ、スプールを少し押さえてサミングすると、ヒラマサはやっと止まってくれた。「水深は35m」。船長のアナウンスも的確だ。
ぼくはゆっくりとポンピングし、ヒラマサを浮かせた。ヒラマサ用に船長が用意した大きなネットに、魚は入らないようだ。それどころかルアーのフックが網に引っ掛かったのだ。ぼくはロッドで大魚を押すと、半分身体がネットに入ったので、船長は意を決してすくい上げた。ロッドで大魚のお尻を押すのも初めてだ。デッキに横たわった大きなヒラマサを見て2人で笑ってしまった。1m30㎝の見事なヒラマサであった。
写真を撮って大きな長い水槽に入れて、ポンプで海水を通し呼吸させると、虚ろな大魚の目に凝視する力が湧くのが分かった。船長も優しくなでるように大魚の身体を揺らした。大魚を二人掛かりで持ち上げて、海に投げ入れると、尾びれで海面を叩いて逃げ去った。玄界灘では多くの船長やアングラー諸氏がヒラマサのリリースを推奨しているらしい。ぼくもその一翼を担うことができたと思うと、嬉しくなった。
あっという間に唐津での一週間が過ぎた。多くのヒラマサに遊んでもらい、すべてリリースすることができ、新しい釣りの課題も見つけることもできた。ぐるりと佐賀観光に出かけ、仲のいい釣友にも会い、名物〝呼子の烏賊〞もご馳走になった。港では佐賀気質のおじいちゃん方の歓迎も受けたし、思い出の佐賀平野にも行けた。そしてぼくの69歳の誕生日の前日に石垣島に戻った。
【この記事は2020年1月現在の情報です】
【鈴木文雄】唐津の冬ヒラマサ 玄界灘・加唐から壱岐の島海域に大政を追った【PART1】>>>
【鈴木文雄】唐津の冬ヒラマサ 玄界灘・加唐から壱岐の島海域に大政を追った【PART2】>>>
【鈴木文雄】唐津の冬ヒラマサ 玄界灘・加唐から壱岐の島海域に大政を追った【PART3】>>>
SHARE
PROFILE
SALT WORLD 編集部
近海から夢の遠征まで、初心者からベテランまで楽しめるソルトルアーフィッシングの専門誌。ジギングやキャスティング、ライトゲームなどを中心に、全国各地の魅力あるソルトゲームを紹介しています。
近海から夢の遠征まで、初心者からベテランまで楽しめるソルトルアーフィッシングの専門誌。ジギングやキャスティング、ライトゲームなどを中心に、全国各地の魅力あるソルトゲームを紹介しています。