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ポガチャルとヴィンゲゴーとの差は9秒! クフィアトコフスキが山岳制覇|ツール・ド・フランス

ツール・ド・フランス第13ステージが現地7月14日に行われ、最大19人の逃げグループからミハウ・クフィアトコフスキ(イネオス・グレナディアーズ、ポーランド)が最終登坂の超級グラン・コロンビエで抜け出しに成功。単独で逃げ切り、ツール通算2勝目を挙げた。マイヨ・ジョーヌをかけた個人総合にも動きがあり、2位で追うタデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ、スロベニア)がフィニッシュ前450mでアタック。トップのヨナス・ヴィンゲゴー(ユンボ・ヴィスマ、デンマーク)に4秒差をつけ、ステージ3位のボーナスタイム4秒と合わせて総合タイム差を9秒とした。

ポガチャルはグラン・コロンビエでストラバKOMを更新

フランスの7月14日は革命記念日。例年ツールでは疑う余地のないコースが用意されるが、今年も例に漏れず重要な1日をもたらした。137.8kmとレース距離としては短いが、平坦区間を長く走り、無印の上りをこなしたら目の前には名峰グラン・コロンビエがそびえる。登坂距離17.4km、平均勾配7.1%で、断続的に緩急の変化のある上り。中腹前後で最大勾配12%を迎え、少しばかりフラットな区間を走ったら、最後の3.4kmで再度急坂へ。10%超の最終局面をこなしてフィニッシュラインに到達する。フィニッシュ地になるのは2回目と少ないが、過去にツールでは5回上って、一番に登頂した選手がその年の山岳賞に輝いているというジンクスも。初の山頂フィニッシュだった2020年大会では、ポガチャルが勝利を挙げている。

© A.S.O. / Pauline Ballet

国を挙げての祝福の日とあって、いつもより遅めにスタートしたレースには167人が出走。スタートアタックからロット・デスティニー勢が積極的に絡んでいくが、逃げグループ形成までは至らない。15km地点ではレミ・カヴァニャ(スーダル・クイックステップ、フランス)ら6人が先行するが、4km先で集団がキャッチ。その後に飛び出したマキシム・ファンヒルス(ロット・デスティニー、ベルギー)らの飛び出しが結果的に容認され、やがて19人の先頭グループとなった。

© A.S.O. / Pauline Ballet

このグループにはクフィアトコフスキらも入り、35km地点ではメイン集団に対して1分25秒差に。集団はポガチャル擁するUAEチームエミレーツがコントロールを担い、しばし同程度のタイム差を維持。レース最初の1時間は52kmをマークし、ハイペースで進行した。

© A.S.O. / Pauline Ballet

おおよそ中間地点に達した時点でタイム差が2分になると、その後は少しずつその差は拡大傾向に。無印の上りに差し掛かった時点で数人を切り離しながら、先頭グループは先を急ぐ。スタートから2時間が経っても平均時速は46kmをマークし、依然ハイペースが続く。この間、レース前半から最後尾を走っていたカレブ・ユアン(ロット・デスティニー、オーストラリア)がリタイア。今大会注目のスプリンターは、勝利を挙げられないまま大会を去ることになった。

© A.S.O. / Pauline Ballet

残り20kmを目前にその差は4分。先頭メンバーが逃げ切る可能性が高まってきた。いよいよグラン・コロンビエ登坂が始まると、真っ先にカンタン・パシェ(グルパマ・エフデジ、フランス)がアタック。自国を祝うメモリアルな勝利にかけて飛び出した。

ただ、パシェを数人が追走。残り12.8km地点で3選手が追いつく。直後に合流したクフィアトコフスキが今度はカウンターでアタック。フィニッシュまで11.8kmを残したところで単独先頭に立った。

© A.S.O. / Pauline Ballet

メイン集団は、グラン・コロンビエの入口に向かってUAEチームエミレーツやユンボ・ヴィスマ、イネオス・グレナディアーズといったチームが隊列を編成して集団前方を固めたことで一気にスピードアップ。上りに入ってUAEチームエミレーツがペーシングを進めると、ついていけない選手たちが続々と後方へ。フェリックス・グロスチャートナー(オーストリア)やラファウ・マイカ(ポーランド)の引きで集団の人数を減らすと、山岳最終アシストのアダム・イェーツ(イギリス)のさらなるペースアップで、残ったは個人総合トップ10圏内の選手のみに。

© A.S.O. / Pauline Ballet

こうした動きでクフィアトコフスキは貯金を取り崩したものの、それでも逃げ切るには十分なリード。一緒に逃げてきた選手の追い上げも許さず、一番にグラン・コロンビエ山頂に到達した。

© A.S.O. / Pauline Ballet

33歳のクフィアトコフスキは早くからトップライダーとしての地位を築き、2014年には世界選手権を制してマイヨ・アルカンシエルを獲得。2度制しているアムステル・ゴールドレースのようなワンデーレースから、1週間程度のステージレースまで対応するマルチライダー。2016年の現チーム(当時チーム スカイ)加入以降は、アシストとしても高い評価を得ている。ツールでの勝利は2020年の第18ステージ以来。今大会は現在個人総合4位につけるカルロス・ロドリゲス(スペイン)や同8位のトーマス・ピドコック(イギリス)を支えながら、このステージのように自らのチャンスに賭けて走ってきた。

© A.S.O. / Pauline Ballet

クフィアトコフスキから47秒後に、逃げ組からファンヒルスが2位を確保。その後すぐに個人総合上位陣がやってきた。A・イェーツの速い牽引に精鋭メンバーが続く中、残り450mでついにポガチャルが猛然とアタック。これに合わせられたのはマイヨ・ジョーヌのヴィンゲゴーだけ。しかし、そのヴィンゲゴーも付ききれず、少しずつギャップが生まれる。ライバルを振り切ったポガチャルがステージ3位とし、4秒ボーナスを獲得。その4秒後にヴィンゲゴーがやってきて、この日だけで総合タイムが8秒縮まった。

ポガチャルは今回の登坂を43分51秒で走破。時速にすると23.5km/hで、ステージ優勝した3年前に記録したストラバKOMの記録45分37秒を2分近く更新している。もっとも、最後の500mは36.4km/hまでスピードが上がっており、10%超の急坂では驚異的な走りを見せている。

これにより、ヴィンゲゴーとポガチャルとの差は9秒に。前者がマイヨ・ジョーヌを守ったものの、ステージを追うごとにその差は小さくなっている。ヴィンゲゴーと個人総合う3位のジャイ・ヒンドレー(ボーラ・ハンスグローエ、オーストラリア)との差は2分51秒。その後ろは5分前後の差となっており、“2強”の構図はより一層明確になっている。

© A.S.O. / Pauline Ballet

翌15日の第14ステージも獲得標高4200mを数える本格山岳ステージ。いよいよアルプスに足を踏み入れ、5つの山々を駆け抜ける。特に最後の上りである超級山岳コル・ド・ジュ・プラーヌの頂上からは、フィニッシュめがけてのハイスピードダウンヒル。タフな上りだけでなく、下りでの攻撃もレースを動かす要素になる可能性がある。

ステージ優勝 ミハウ・クフィアトコフスキ コメント

© A.S.O. / Pauline Ballet

「決して孤独なんかではなく、私には18人の友人(逃げメンバー)がいた。最後の上りまでにアドバンテージを築くことができ、クレイジーな上りに挑んだ。上りが始まるまでは楽に逃がしてもらったが、メイン集団ではUAEチームエミレーツがコントロールしていると聞き、逃げ切れるとは思っていなかった。ただ、大きな逃げに入ってチャンスを得たいと思っていたし、何より調子が良かった。今までの人生の中でも特に過酷なクライミングだったが、ファンの後押しを受けて走り抜くことができた」

個人総合時間賞 ヨナス・ヴィンゲゴー コメント

© A.S.O. / Pauline Ballet

「逃げの選手をそのままステージ優勝させる点においては予定どおり。個人的にも何とかロスを抑えてマイヨ・ジョーヌを守れたので良かった。不安はないし、勝てるときは勝てるし、仮に勝てなくてもベストを尽くせば悔いはない。いまのコンディションには満足している」

ツール・ド・フランス2023 第13ステージ結果

ステージ結果

1 ミハウ・クフィアトコフスキ(イネオス・グレナディアーズ、ポーランド) 3:17’33”
2 マキシム・ファンヒルス(ロット・デスティニー、ベルギー)+0’47”
3 タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ、スロベニア)+0’50”
4 ヨナス・ヴィンゲゴー(ユンボ・ヴィスマ、デンマーク)+0’54”
5 トーマス・ピドコック(イネオス・グレナディアーズ、イギリス)+1’03”
6 ジャイ・ヒンドレー(ボーラ・ハンスグローエ、オーストラリア)+1’05”
7 ジェームズ・ショー(EFエデュケーション・イージーポスト、イギリス)ST
8 アロルド・テハダ(アスタナ・カザクスタン チーム、コロンビア)
9 サイモン・イェーツ(チーム ジェイコ・アルウラー、イギリス)+1’14”
10 アダム・イェーツ(UAEチームエミレーツ、イギリス)+1’18”

個人総合時間賞(マイヨ・ジョーヌ)

1 ヨナス・ヴィンゲゴー(ユンボ・ヴィスマ、デンマーク) 53:48’50”
2 タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ、スロベニア)+0’09”
3 ジャイ・ヒンドレー(ボーラ・ハンスグローエ、オーストラリア)+2’51”
4 カルロス・ロドリゲス(イネオス・グレナディアーズ、スペイン)+4’48”
5 アダム・イェーツ(UAEチームエミレーツ、イギリス)+5’03”
6 サイモン・イェーツ(チーム ジェイコ・アルウラー、イギリス)+5’04”
7 ペリョ・ビルバオ(バーレーン・ヴィクトリアス、スペイン)+5’25”
8 トーマス・ピドコック(イネオス・グレナディアーズ、イギリス)+5’35”
9 ダヴィド・ゴデュ(グルパマ・エフデジ、フランス)+6’52”
10 セップ・クス(ユンボ・ヴィスマ、アメリカ)+7’11”

ポイント賞(マイヨ・ヴェール)

ヤスペル・フィリプセン(アルペシン・ドゥクーニンク、ベルギー)

山岳賞(マイヨ・アポワ)

ニールソン・パウレス(EFエデュケーション・イージーポスト、アメリカ)

ヤングライダー賞(マイヨ・ブラン)

タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ、スロベニア)

チーム総合時間賞

バーレーン・ヴィクトリアス 161:42’28”

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PROFILE

福光俊介

福光俊介

サイクルジャーナリスト。サイクルロードレースの取材・執筆においては、ツール・ド・フランスをはじめ、本場ヨーロッパ、アジア、そして日本のレースまで網羅する稀有な存在。得意なのはレースレポートや戦評・分析。過去に育児情報誌の編集長を務めた経験から、「読み手に親切でいられるか」をテーマにライター活動を行う。国内プロチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。国際自転車ジャーナリスト協会会員。

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