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ウッズが超級山岳を制す。ヴィンゲゴーが首位キープ|ツール・ド・フランス

ツール・ド・フランスは第1週最終日。現地7月9日に行われた第9ステージは、中央山塊に位置する超級山岳ピュイ・ド・ドームの頂上フィニッシュ。大人数の逃げグループがそのままステージ優勝争いとなり、フィニッシュ目前でトップに立ったマイケル・ウッズ(イスラエル・プレミアテック、カナダ)が山頂一番乗り。ツールでは初勝利を挙げた。マイヨ・ジョーヌ争いも激化し、2位で追うタデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ、スロベニア)がヨナス・ヴィンゲゴー(ユンボ・ヴィスマ、デンマーク)に8秒先着。ヴィンゲゴーのマイヨ・ジョーヌは変わらないが、ポガチャルが総合タイム差17秒に縮めている。

36歳ウッズが悲願のツールステージ優勝

開幕からタフなステージが続く第1週。締めとなるのが、フランス中央部の火山ピュイ・ド・ドーム。ツールとしては35年ぶりに上る山で、頂上で標高1415m。登坂距離13.3km、平均勾配7.7%、最後の約4kmは12%前後の急勾配。さらに、登山列車用の線路がコース脇に敷かれており、道幅が狭くなっている。

© A.S.O. / Pauline Ballet

スタート地サン・レオナール・ド・ノブラは、名選手レイモン・プリドールが晩年を過ごした街。孫にあたるマチュー・ファンデルプール(アルペシン・ドゥクーニンク)はこの日、祖父から自身まで3代にわたる系譜をたどることのできるスペシャルペイントのバイクで出走した。

Photo: Syunsuke FUKUMITSU

第5ステージでの激しいクラッシュの影響を抱えていたクイン・シモンズ(リドル・トレック、アメリカ)が出走を取りやめ、169人がレースをスタート。早い段階で14人が逃げを決め、メイン集団との差を広げていく。その間、ジュリアン・アラフィリップ(スーダル・クイックステップ、フランス)やマティアス・スケルモース(リドル・トレック、デンマーク)らが追走を図ったが、いずれも失敗に終わっている。

© A.S.O. / Pauline Ballet

着実にリードを広げる先頭グループは、残り110kmで10分差に。それからもタイムギャップは広がる一方で、最大で16分に。前を行く選手たちがそのままステージ優勝を争うことが濃厚になった。

© A.S.O. / Pauline Ballet

残り62kmでのギヨーム・ボワヴァン(イスラエル・プレミアテック、カナダ)のアタックをきっかけに、先頭グループでは激しい打ち合いとなる。残り52kmでは、ウッズのほかマッテオ・ヨルゲンソン(モビスター チーム、アメリカ)、アレクセイ・ルツェンコ(アスタナ・カザクスタン チーム、カザフスタン)、ヨナス・グレゴー(ウノエックス・プロサイクリングチーム、デンマーク)、マチュー・ビュルゴドー(トタルエナジーズ、フランス)が先行。これは直後に他選手も合流するが、残り47kmでヨルゲンソンがアタックを決めて独走。ビュルゴドー、マテイ・モホリッチ(バーレーン・ヴィクトリアス、スロベニア)、ダビ・デラクルス(アスタナ・カザクスタン チーム、スペイン)、ニールソン・パウレス(EFエデュケーション・イージーポスト、アメリカ)が追走を始めた。

© A.S.O. / Pauline Ballet

依然アタックが繰り返される中、ひとり逃げ続けるヨルゲンソン。追走の4人が一時は15秒ほどの差まで迫ったが、再び差を広げて、最後の上りを前に1分のリード。ピュイ・ド・ドームの上りに入ってからは、追走メンバーに脚の差が出始めてモホリッチが抜け出すが、ヨルゲンソンとの差はなかなか縮まらない。

© A.S.O. / Pauline Ballet

このままヨルゲンソンの逃げ切りかと思われたが、第2追走グループで息をひそめていたウッズが猛追。残り2.5kmでビュルゴドーとパウレスをパスすると、残り1.5kmでモホリッチもかわす。勢いは衰えることなく、残り1kmとなってヨルゲンソンが目の前に見えるところまで迫った。

そして残り500m、ついに追いついた。50mほどヨルゲンソンの後ろにつけていたウッズだったが、迷わずアタックすると、ヨルゲンソンについていく力はもうなかった。あとはフィニッシュするだけとなったウッズ。ピュイ・ド・ドームを征服し、ステージ優勝を決めた。

© A.S.O. / Pauline Ballet

36歳のウッズは、これが4回目のツール出場。初のステージ優勝は超級山岳を制してのものとなった。大会序盤戦こそ個人総合上位につけたが、現時点ではすでに遅れており、ステージ優勝にフォーカスしてきっちりと目的を果たした。

2位にはウッズ同様、後方から追い上げたピエール・ラトゥール(トタルエナジーズ、フランス)、3位はモホリッチ。ステージ優勝にあと一歩まで迫ったヨルゲンソンは4位で終えたが、果敢な走りが認められてステージ敢闘賞が与えられた。

ヴィンゲゴーとポガチャルは総合タイム差17秒で第1週を終える

「もうひとつのレース」になった個人総合争い。リーダーチームのユンボ・ヴィスマが長くコントロールを担い、ピュイ・ド・ドームに入ってからはウィルコ・ケルデルマン(オランダ)やワウト・ファンアールト(ベルギー)が牽引役。さらに、山岳最終アシストのセップ・クス(アメリカ)が引き始めると、集団が崩壊。ついていけたのはヴィンゲゴーとポガチャルら、個人総合上位陣のみ。

© A.S.O. / Pauline Ballet

クスの牽引が終わると牽制気味になる局面があったが、フィニッシュまで1.5kmとなったところでポガチャルがアタック。ここは当然ヴィンゲゴーが反応するが、勢いに勝ったポガチャルがじりじりと差を引き離しにかかる。数秒差のまま残り1kmを迎えたが、フィニッシュまで600mのところでポガチャルがもう一度踏み込んで、ヴィンゲゴーからさらにリードを得る。

フィニッシュ前の急坂を顔をゆがめながら攻め切ったポガチャル。結果的にヴィンゲゴーから8秒先着し、大会前半のヤマ場を終えた。

この結果、ヴィンゲゴーの個人総合トップは変わらなかったが、ポガチャルとの総合タイム差は17秒に縮小。3位につけるジャイ・ヒンドレー(ボーラ・ハンスグローエ、オーストラリア)が2分40秒差、4位以下がすでに4分以上の差となっており、ヴィンゲゴーとポガチャルによる“2強”の構図がより一層際立ってきている。

第1週を終えての各賞は、マイヨ・ジョーヌがヴィンゲゴー、ポイント賞のマイヨ・ヴェールがヤスペル・フィリプセン(アルペシン・ドゥクーニンク、ベルギー)、山岳賞のマイヨ・アポワがパウレス、ヤングライダー賞のマイヨ・ブランがポガチャル、チーム総合がバーレーン・ヴィクトリアスとなっている。

翌10日は今大会1回目の休息日。11日からレースが再開され、第2週がスタート。第10ステージはヴュルカニアからイソワールまでの167.2kmに設定されている。

ステージ優勝 マイケル・ウッズ コメント

© A.S.O. / Pauline Ballet

「自分自身とチームを誇りに思っている。ここで勝つのは特別なこと。今年で37歳で、もう若くはない。ツール・ド・フランスのステージ優勝が究極の目標で、タイムリミットが迫ってきていた。計画どおりに走っていたように思えるかもしれないけど、先頭グループの中では私が最もマークされていた。ヨルゲンソンが前に出てからは、ステージ優勝のことは意識せずにひたすら我慢していた。彼に追いつけるとは思っていなかったが、ベストを尽くすことだけは忘れなかった。今回の勝ち方としては2018年にブエルタ・ア・エスパーニャ(第17ステージ)で勝った時と似ている。苦しみながらも夢をかなえられて本当に良かった。妻や子どもたち、周りの人たちのおかげでこの日を迎えられた」

個人総合時間賞 ヨナス・ヴィンゲゴー コメント

© A.S.O. / Pauline Ballet

「ポガチャルに先着できれば良かったが、以前も言ったように第1週はいつも苦しむので、今日はまずまずの走りだったと思う。現時点でマイヨ・ジョーヌを着られるのは、かなりポジティブなことだ。今日はステージ優勝を狙うつもりはなかったが、どこも集団コントロールしていなかったら40分差がついていたかもしれない。どこかのタイミングでコントロールを担う必要があった。ピュイ・ド・ドームでレースができたことに今は満足している。個人的にはアルプスの方が向いていると思っている」

ツール・ド・フランス2023 第9ステージ結果

ステージ結果

1 マイケル・ウッズ(イスラエル・プレミアテック、カナダ) 4:19’41”
2 ピエール・ラトゥール(トタルエナジーズ、フランス)+0’28”
3 マテイ・モホリッチ(バーレーン・ヴィクトリアス、スロベニア)+0’35”
4 マッテオ・ヨルゲンソン(モビスター チーム、アメリカ)+0’36”
5 クレマン・ベルテ(アージェードゥーゼール・シトロエン チーム、フランス)+0’55”
6 ニールソン・パウレス(EFエデュケーション・イージーポスト、アメリカ)+1’23”
7 アレクセイ・ルツェンコ(アスタナ・カザクスタン チーム、カザフスタン)+1’39”
8 ヨナス・グレゴー(ウノエックス・プロサイクリングチーム、デンマーク)+1’58”
9 マチュー・ビュルゴドー(トタルエナジーズ、フランス)+2’16”
10 ダビ・デラクルス(アスタナ・カザクスタン チーム、スペイン)+2’34”

個人総合時間賞(マイヨ・ジョーヌ)

1 ヨナス・ヴィンゲゴー(ユンボ・ヴィスマ、デンマーク) 38:37’46”
2 タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ、スロベニア)+0’17”
3 ジャイ・ヒンドレー(ボーラ・ハンスグローエ、オーストラリア)+2’40”
4 カルロス・ロドリゲス(イネオス・グレナディアーズ、スペイン)+4’22”
5 アダム・イェーツ(UAEチームエミレーツ、イギリス)+4’39”
6 サイモン・イェーツ(チーム ジェイコ・アルウラー、イギリス)+4’44”
7 トーマス・ピドコック(イネオス・グレナディアーズ、イギリス)+5’26”
8 ダヴィド・ゴデュ(グルパマ・エフデジ、フランス)+6’01”
9 セップ・クス(ユンボ・ヴィスマ、アメリカ)+6’45”
10 ロマン・バルデ(チーム ディーエスエム・フェルメニッヒ、フランス)+6’58”

ポイント賞(マイヨ・ヴェール)

ヤスペル・フィリプセン(アルペシン・ドゥクーニンク、ベルギー)

山岳賞(マイヨ・アポワ)

ニールソン・パウレス(EFエデュケーション・イージーポスト、アメリカ)

ヤングライダー賞(マイヨ・ブラン)

タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ、スロベニア)

チーム総合時間賞

バーレーン・ヴィクトリアス 116:11’17”

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PROFILE

福光俊介

福光俊介

サイクルジャーナリスト。サイクルロードレースの取材・執筆においては、ツール・ド・フランスをはじめ、本場ヨーロッパ、アジア、そして日本のレースまで網羅する稀有な存在。得意なのはレースレポートや戦評・分析。過去に育児情報誌の編集長を務めた経験から、「読み手に親切でいられるか」をテーマにライター活動を行う。国内プロチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。国際自転車ジャーナリスト協会会員。

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