RIDLEY(リドレー)・ヘリウムSLXディスク|ニューモデルインプレッション
管洋介
- 2019年12月16日
注目の最新モデルを徹底インプレッション! 今回はグランツールをはじめとしたレースで勝利を重ねてきたヘリウムSLXを進化させた、RIDLEY・HELIUM SLX DISC(リドレー・ヘリウムSLXディスク)をテスト。ベテランライダー、管洋介がチェック!
ディスクブレーキ採用で生まれ変わった
軽量オールラウンダー、ヘリウムSLXディスク
リドレーの軽量オールラウンドモデルとして、グランツールをはじめとしたレースで勝利を重ねてきたヘリウムSLXがフルモデルチェンジを果たした。これまでのコンセプトを受け継ぎながら、ディスクブレーキを採用。ハンドルまわりのケーブルも完全内装化して空力面の性能向上も図るなど、さまざまな改良を加えた。
軽量ロードにおいても、もはや避けられないディスクブレーキ化の流れ。最大のメリットといえるコントロール性能はもちろんのこと、同時にスルーアクスルの採用がマストとなることでの剛性アップなど、ディスクブレーキ化により享受できる恩恵は大きい。その反面デメリットとなるのが重量の増加だが、ヘリウムSLXディスクは、このディスクブレーキ化に対応するために、カーボン積層の左右バランスを再設計。前作のリムブレーキ仕様からのフレームの重量増加をわずか50gに抑えている。
つまりディスクブレーキがもたらすメリットのほうが、わずかな重量増加よりもはるかに大きいといえよう。
ハンドルまわりのケーブル完全内装を可能としたのが、Fステアラーと名付けられたステアリングコラムの形状だ。コラムの断面を半月状とすることで、ブレーキと変速ケーブルを通すスペースを確保した。ハンドルにケーブルを通す穴が必要という条件こそあるが、専用のパーツを使用することなく完全内装化できたのは、ユーザーにとって選択肢が広がることを意味している。
剛性についても、コラムの形状変更により横剛性が高められている。さらにフロント三角全体でもトップチューブとヘッドチューブ、ダウンチューブのボリュームを増し、積層の変更による効果も合わせて、15%の剛性向上を果たした。ヘリウムSLXディスクは、軽量バイクのディスクブレーキ化という課題に正面から挑み、全体性能も向上させてたスーパーバイクとして完成している。
リドレー
ヘリウムSLXディスク
36万5000円(フレームセット/税抜)
■フレーム:60、40、30トンHMカーボン ■フォーク:カーボン ■コンポーネント:シマノ・デュラエースDI2 ■ハンドル:4ZA・シラスプロ ■ステム:3T・ARXⅡチーム ■シートポスト:3T・スタイラス25 ■サドル:フィジーク・アリアンテVSX ■ホイール:FFWD・F3D ■タイヤ:ヴェレデステイン・フォルテッツアセンソ、700×25C ■サイズ:XXS、XS、S ■カラー:HXD04As ■試乗車実測重量:7.0kg(XS /ペダルレス) ※スペックは試乗車の仕様
軽さと剛性バランスに優れた軽量クライマー
管洋介がインプレッション
ヘリウムSLXディスクの重量は、ペダルなしの実測値でなんと7㎏に抑えられていた。そのネーミングどおり、このバイクの推進力に常に軽さがついてまわる。超軽量高剛性をうたうフレームが多いなかで、ヘリウムSLXのそれはひと味違う。カリッとした走りとともに、踏み心地のよさがしっかりと追求された高い剛性バランスが特徴だ。踏み味は独特で、1時方向のトルクのキャッチがマイルドでありながら、こぎ出しの軽さと大きなパワーをしっかり受け止め続ける芯の強さが際立つ。ダウンチューブの剛性を絶妙なバランスに仕上げたことによるものだろう。
クイックなハンドリングながら過度な剛性を抑えたフロントフォークと細身のシートステーは、路面から伝わる振動の角を丸くし、快適な走行感を生み出してくれる。この快適性によって、加速の出だしの初動負荷での疲労を軽減し、トルクフルに長い時間パワーを維持することができる。
登坂においても軽さが武器となり、かつ長時間のパワーライドにも適しているため、レースにおけるサバイバルな展開でライバルに対してかなりのアドバンテージを見込める。油圧ディスクの採用によってコントロール性能も高まっており、上りだけでなく下りでも頼りになるバイク。まさにレース向きの1台といえる。
インプレッションライダー
管洋介
競技歴22年のベテランライダーで自身のチーム、アヴェントゥーラサイクリングの代表も務める。長年の経験を生かした的確なインプレッションが持ち味。身長168cm。
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問:JPスポーツグループ www.jpsg.co.jp/ridley
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