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「電動キックボード」が、ウィズコロナに於ける自転車の地位を脅かす⁉

8月3日、警察庁が「レンタル電動キックボードが普通自転車専用通行帯を走る」という実証実験を行うにあたり、パブリックコメントの募集を開始した。ドイツでも電動自転車や電動キックボードの普及を受けて、従来型の歩道上の自転車レーンを急遽車道へ移す改良が急ピッチでおこなわれている。

ここでは海外の自転車事情に明るいUCI(国際自転車連合)公式選手代理人山崎健一さんが電動キックボードの及ぼす影響を解説する。

手ごわい自転車のライバルたち

ドイツでは電動自転車の普及により、もともと歩道にあった自転車レーンが、車道に移されている。撮影:中村達人

自転車界が色めき立っているのと同じように、自転車のライバルたちもウィズコロナ下での主役の座を虎視眈々狙っています。

自動二輪/スクーター

自転車ロード界の世界的超大物マッサー中野喜文氏(右。エンネ・スポーツマッサージ治療院代表 http://enne.tokyo.jp/)と筆者(左)がバイク上で戦っている風景!!!(*走行中の画像ではありません=バイクはスタンドを立てている状態です)

まずは私と同じように、自動二輪/スクーターをコロナ禍での最適移動手段に考える方々はそこそこいるのではないでしょうか。実際、コロナ禍が本格化する前の2020年2月と真っ最中の5月下旬では、東京都心+大阪府全体のバイク駐輪場利用率が1.5倍に増加。

特に新宿区に関しては2.7倍まで急増しています。

50ccスクーターは安い部類で価格が10万円ぐらいからとお手頃で、普通自動車免許があれば運転可能。更に機動力+スピードが普通の自転車よりも確実に優れる上に車道も堂々と走れ、通勤者の場合は無理なくビジネススーツで乗れます。

なお自転車から見た場合「免許が必要な点はマイナスだ!」と思われるでしょうが、要免許=社会的には乗る方のマナー・交通ルール順守度がある程度担保されている事になります。よってほぼ無法地帯の自転車とは異なり、交通インフラ(例:バイク駐輪場)を整備する行政としても推しやすいでしょう。

なお、自動二輪の日本での販売台数/年は、自転車の約20分の1程度(自転車国内販売台数約700万台に対し、自動二輪は約37万台程度。2018&2019データ)で、更に世界全体での自動二輪販売台数はコロナ禍真っただ中の4月単体で65.7%もダウン(530万台から180万台に減少)。かなり危機的状況なのかもしれませんが、公共交通機関敬遠の波をきっかけに、バイク業界も生き残りをかけた背水の陣を仕掛けてくるのではないでしょうか⁉

電動スクーター(電動キックボード)シェアサービス

パリで“電スク“に乗る筆者の雄姿!?恐る恐る乗ってみましたが、私の様な運動音痴でもすぐ乗れるぐらい簡単!

電スク(電動スクーター/電動キックボードの略)⁉ いやいやいや、あり得ないっしょ!
そもそも乗っている人を見たことないし・・と思うなかれ。
じつは欧米を中心に海外では、2013年ぐらいからシェア電動スクーター企業が都市部にてビジネスを開始。その後は、事故が多発したり、各国でのルールがまちまちだったりと、何かとニュースをにぎわす存在ではありましたが、やはり普及によるプラス面、例えばバッテリー業界への経済的恩恵、駐車スペースを取らない魅力的なサイズ、都市インフラにおける全く新しい移動手段という事もあり、各国とも無視は出来ない存在となっています。

電動スクーターに関する交通法規は各国で微妙に異なりますが、大まかに共通する点は「運転免許不要(な国が多数)」、「最高時速は20~25㎞程度」、「電動なので環境に良い」、「歩道も走ってよい(場合が多数)」、「一回の充電で40㎞程度走れる」、「とにかくお手軽」などなど、良さ気な事ばかり。まぁ、小径ホイール+直立に近い姿勢で走るという、自転車的にはおいおい大丈夫か!?という部分もありますが、ほぼ新規ビジネス分野のため、新たな雇用・お金を生む業界でもあるでしょうから、推進派は多いはず。

私自身も欧州&豪州、そして実証実験中の千葉県千葉市幕張で乗ったことがあるのですが、いわゆるママチャリ程度の機動力で、「場所を取らない」、「乗り捨てが可能(海外例)」、「小回りが恐ろしく利く」点が強烈に便利でした。

日本では2019年の発足した「自由民主党MaaS(モビリティ・アズ・ア・サービス)議員連盟マイクロモビリティPT」と云う議員の会が、日本での本格導入に向けてロビー活動を活発に行ってきました。そして遂に2020年7月30日には日本の国家公安委員会が、都市部の自転車レーンにて電動スクーターを走行可能とする特例措置を、9月から取り入れる事を発表。以下のパブリックコメントも募集中です(締め切り9月1日)。

「国家公安委員会・国土交通省関係産業競争力強化法第十一条の規定に基づく内閣府令・国土交通省令の特例に関する措置を定める命令案」及び「国家公安委員会・国土交通省関係産業競争力強化法第十一条の規定に基づく内閣府令・国土交通省令の特例に関する措置を定める命令に規定する原動機付自転車に係る国家公安委員会が定める基準を定める告示案」に対する意見の募集について
https://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=120200008&Mode=0

少々眉唾モノ的存在だった電スクですが、存在感が一気に増してきています。
ちなみにわが日本での“電スク“は原付扱いで、免許&ナンバープレート等が必要。

一見面倒ですが、これは「交通社会の一員として交通ルールを守ります!」という意思が明確に示されており、行政側にとってもナンバープレートや免許が不要な自転車よりは扱いやすい存在です。

サイクリストが権利を主張と、ルール順守を同時進行

さて、敢えて「自転車vsその他!」という扇動的な構図でここまで書いてしまいましたが(汗)、結局は、各々が一番好きな交通手段を選んで、皆が仲良く共存すればいいだけの話。

とはいえ・・自転車人の私としては(バイクを選んだとはいえ(汗))サイクリストがより多く増えて欲しいというのが率直なところ。

しかし日本に於いての自転車の地位は未だに宙ぶらりんです。

道路交通法上、自転車は明確に軽車両と位置付けられており法規遵守が当然求められています。しかし実際は禁止区間で歩道を走っていても、信号無視をしても“なぁなぁ”で済んでしまい、取り締まられるケースは稀です。

ちなみに、一見適当そうな欧米のサイクリスト事情ですが、例えばパリにて自転車で歩道を走っているのを警察に見つかればほぼ確実に罰金(お恥ずかしながら私も捕まったことがあります)です。“自転車道路を行政が整備しているのだから、ちゃんとルールは守れよ!”というのが行政の明確なスタンスです。

我々サイクリスト側が現状求めている「自転車レーンの拡張」や「車道の共有」等の自転車インフラ整備を主張するためには、同時にうやむやとなっているサイクリスト側が果たすべき「ルールの順守を広める」ことも同時進行しないけない難しさがあります。

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PROFILE

山崎健一

Bicycle Club / UCI公認選手代理人

山崎健一

UCI公認選手代理人&エキップアサダマネージャー。日本人選手の育成に尽力し、プロ選手からの人望も厚い。バイシクルクラブ本誌では連載「フ●ッキンジャップくらいわかるよ、コノヤロウっ!」を担当。

山崎健一の記事一覧

UCI公認選手代理人&エキップアサダマネージャー。日本人選手の育成に尽力し、プロ選手からの人望も厚い。バイシクルクラブ本誌では連載「フ●ッキンジャップくらいわかるよ、コノヤロウっ!」を担当。

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