Wilier Triestina・FILANTE SLR【ハシケンのロードバイクエクスプローラー】
ハシケン
- 2021年02月10日
しかし、「山岳も上れる万能エアロロード」というような謳い文句と、実際の性能がかけ離れているモデルが多いことも事実だ。
ここは個人的な主観にはなるが、ロードバイクたるものペダリングの踏み込みやすさ、反応性のよさ、推進力の得やすさこそ優先したい性能だ。さらに、それらの性能が発揮されるのが平地のみなど、シーンが限定されてはいけないと思っている。その点、フィランテSLRは、文字どおり軽量エアロロードとしての性能を有していた。しかも高次元で。
ペダルに力を込めれば、レーシングバイクらしいダイレクトな感覚が返ってくる。決してネガティブな硬さを感じることはなく、クランクの1〜3時の位置で最大トルクをかけながら5時あたりまでスッと踏み抜ける印象だ。
ゼロスタートから時速30km台の低中速域でのレスポンスも高く、ロードレーサーらしい軽快さを楽しめる。そこから、もう一段トルクをかけても、リズムが崩れることなく時速40kmを超える速度域へもスムーズに移行できた。
30Cのタイヤに対応していてもクルマのSUV的な重厚感のあるバイクではない。その分、トラクション性能の高さや切れ味がしっかり伝わってくるタイプだ。
印象的だったのが、ダンシングシーンでのフロントフォークの存在感だ。フォークが倒れた瞬間にグッと路面をつかんだかと思えば、リアのトラクションを受けながらフォークが滑らかにリードアウトしてくれるのだ。
ナイフで切り裂くようなシャープなフロントフォーク性能を確認できた。エアロロードにありがちなフロントが重めの印象もなく扱いやすい。これは山岳のクライミングでも期待できそうだと筑波山へ向かった。
ヒルクライムバイクといえばゼロSLRの存在があるが、ゼロSLRは入力に対してトラクションが1回ごとにしっかりかかるドライなクライミングバイクだ。一方でフィランテSLRは1回ごとのトラクションが持続するイメージで、上り坂でも常に加速が続く印象だ。
どちらにも登坂の気持ちよさはあり、この点は好みの問題でもある。とにかく、筑波山で獲得標高1000mほど上った結果、フィランテSLRは、軽量エアロロードとして確かな性能を有していた。山岳も行けるエアロロードだと約束できる。
没個性の時代にワイドスタンスなフォークにより整流効果を高める構造など個性を持ちつつ、ケーブル完全内装化など定番化しつつあるトレンドはしっかり組み込んだフィランテSLR。
また、専用ハンドルのフィランテバーが開発されたにもかかわらず、国内代理店が日本人向けのサイズ展開のあるゼロバーハンドルを用意するなどユーザーを大事にしてくれている点もありがたい。
今回、新しいネーミングで登場したフィランテSLRは、ゼロシリーズとチェントシリーズのいいとこ取りをした意欲作であり、ウィリエールのエアロロードに対する意気込みを感じる。
ここまで完成度を高めてしまい次期後継モデルはどうするのか!?そんな心配をしてしまうほどフィランテSLRは高次元な軽量エアロロードであることを、今回のトータル200kmライドのなかで示してくれた。
SPECIFICATION
Wilier Triestina/FILANTE SLR
デュラエース完成車価格:120万円(税抜)、アルテグラ完成車価格:84万円(税抜)
フレームセット価格:59万円(ハンドルバー付属・税抜)
■フレーム:ハスモッドカーボン+L.C.P(880g)
■フォーク:ハスモッドカーボン+L.C.P(335g)
■ハンドル:ウィリエール・ゼロバー
■サイズ:XS、S、M、L、XL
■カラー:レッド、マットブラック/レッド(受注発注)
■試乗車参考重量:7.19kg(Mサイズ・ペダルなし)
※フレームセットのみ、グレー/グリーンカラーあり(69万円・税抜)
※試乗車と実際に販売されるパーツ仕様は異なる
GEOMETRY
問:服部産業 スポーツ事業部 www.wilier.jp
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