LAPIERRE・AIRCODE DRS 7.0【ハシケンのロードバイクエクスプローラー】
ハシケン
- 2021年06月16日
セクシーなシルエットに隠された扱いやすい
バイクコントロール性能と強い個性を感じるスプリント力
緻密なデータ競争で白黒つけたい北米ブランドや、質実剛健なドイツ系ブランドとも違い、テクノロジー満載の昨今のエアロロードにおいても、どこか優雅でエレガントな世界観を作り出してくるフレンチバイク。
ラピエールから誕生したエアコードDRSも例にもれず、その力強くも女性的なシルエットは上品でどこかセクシーでもある。
エアコードのディスクブレーキモデルはすでに登場していたが、このエアコードDRSは、第3世代となって初のディスクブレーキモデルという位置づけだ。つまり、開発段階からディスクブレーキ専用設計で、空力性能を過去最高レベルに引き上げることを目指したモデルといえる。
今回のエアコードDRSは、完成車パッケージで4グレード展開しているうちの上から2つめのモデルで、価格は74万5800円。こちらはすべてUDスーパーライトカーボン採用だが、ひとつ上のグレードのアルティメイトカーボンを採用しているフレームセット販売もある。
さて、ペダリングのフィーリングを確認するように、軽めのトルクでバイクを走らせる。
まだトルクフルに踏み込んでいない段階でも、フレームのカッチリとした仕上がりが足裏に伝わってくる。そして徐々にパワーを高めていくと、昨今のディスクブレーキロードらしいレスポンスの高い運動性能を示してくれる。
入力と出力の切り替えが点ではなく線でつながり、高速域への到達時間もほかブランドのエアロロードと比較しても早い。穏やかなフィーリングを求めるライダーにはやや硬く感じるかもしれないが、レーシングバイクらしいカチッとしたフィーリングを求めるなら相性は抜群だろう。
ラピエールのロードラインナップのなかでエアコードDRSは生粋のエアロロードという位置づけだ。しかし、設計はセミエアロといえる。空力を高めつつも、バランス重視の設計思想がうかがえる。
そのためか、加速時の重さやコーナーからの立ち上がりシーンでのバイクのコントロール性にネガティブさはなく、非常にニュートラルな扱いができる。ラピエールというブランド全体にいえる、扱いやすさはこのエアコードDRSにも共通している。
一方で、主張するところは主張してくるのが、このバイクの魅力だ。腰を上げてスプリントをかけると、高い剛性感に支えられた抜群の推進力が得られた。トップスプリンターのデマールの愛機であることも納得だ。
高速域でのバイクの安定性とリズムの取りやすさは、このバイクのわかりやすい個性だ。新型エアコードでは、デマールやステファン・キュング(ヨーロッパTTチャンピオン)らの協力で実現した、長めのリーチと短めのヘッドチューブ設計により理想的なエアロポジションを取りやすい。
さらに、長めのホイールベースが時速50km近い速度でもバイクの安定性を生み、初見バイクとは思えない人車一体感のあるスプリントへ導いてくれた。
セミエアロロードは、生粋のエアロフォルムのエアロロードと比較して、巡航性能やスプリント性能に劣る印象を抱きがちだが、新型エアコードDRSに限っては、セミエアロによる弱点は感じさせない。そしてその性能はオールラウンドモデルのゼリウスSLとクロスオーバーすることもなく、明確に速さを追求できている。
エアコードDRS8.0と7.0の完成車パッケージにはエクステンションバーが付属するが、単なるポン付けではなくしっかりと落差も出せるため、トライアスリートやTTレースへの挑戦も想定ているライダーにとって選択肢に入れていいだろう。
半日近くライドをしているなかで、エアコードDRSが示す性能の発見だけでなく、変幻自在のフレームカラーの移り変わりも楽しめた。光の当たり加減で、モスグリーンからディープブルーまでラメが輝きながら変化する。一級の性能だけでなく、バイクを所有して楽しむ世界観も忘れさせない。
SPECIFICATION
LAPIERRE/AIRCODE DRS 7.0
完成車価格:74万5800円
■フレーム:ニューエアコードDRS UDスーパーライトカーボン
■フォーク:ニューエアコードDRS UDスーパーライトカーボン
■コンポーネント:シマノ・アルテグラD12
■ハンドルバー:ラピエール・UDカーボン
■ステム:ラピエール・アルミ
■シートポスト:ラピエール・エアロカーボン
■ホイール:ラピエール・エアロロードディスクカーボン50
■試乗車重量:8.42kg(本誌実測/ペダルレス)
GEOMETRY
問:東商会 http://www.eastwood.co.jp
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