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波乱!ログリッチ落車、マイヨロホはエイキングへ!ストーラーが2勝目|ブエルタ第10ステージ

ブエルタ・ア・エスパーニャは現地824日から第2週の戦いがスタート。190.3kmで争われた第10ステージは、レース中盤に形成された31人の逃げがそのままステージ優勝争いへ。終盤に独走に持ち込んだマイケル・ストーラー(チームDSM、オーストラリア)が、第7ステージに続く今大会2勝目を挙げた。この逃げで、マイヨロホ争いも大きく変動。ステージ5位のオドクリスティアン・エイキング(アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ、ノルウェー)が総合ジャンプアップで首位に浮上した。

9分差をひっくり返したエイキングがマイヨロホ初着用

開幕から9ステージを行った第1週では、プリモシュ・ログリッチ(チーム ユンボ・ヴィスマ、スロベニア)が個人総合でトップに立ち、大会3連覇へ向けて優位な状況を作り出した。また、平坦ステージではファビオ・ヤコブセン(ドゥクーニンク・クイックステップ、オランダ)らが活躍。ヤコブセンはポイント賞ジャージのプントスを着用する。

大会は中盤戦へ。休息日明けの第2週初日は、ロケタス・デ・マルからリンコン・デ・ラ・ビクトリアまでの190.3km。スペイン南海岸を西に進行する1日は、大部分が平坦路だが、残り30kmを切ってから2級山岳プエルト・デ・アルマチャル(登坂距離10.9km、平均勾配4.9%)を上る。カテゴリー山岳はこの1つだけだが、頂上通過後の下りを含めて難易度が高いこともあり、主催者発表では丘陵ステージに位置付けられた。実際に、勝負はこの上りで動くこととなる。

そんなレースは、休息日を過ごして回復した選手たちがリアルスタートから続々とアタック。1人で抜け出した選手がその状況を嫌って集団に戻ることもあれば、数人のパックが前を行くのを阻止すべく集団が追うこともあり、状況が一定しないまま残り距離だけが減っていく。リチャル・カラパス(イネオス・グレナディアーズ、エクアドル)もアタックを試みるが、これも許されず。スタートから70kmを過ぎて、ようやく逃げが容認されるようになる。

©︎ Photo Gomez Sport

この流れから大きく2つのグループがメイン集団から飛び出すことに成功。やがて1つにまとまると、総勢31人の先頭グループに膨らんだ。この中には、総合タイム差910秒で19位につけるエイキング、同じく939秒差で20位のギヨーム・マルタン(コフィディス、フランス)の姿も。10km進むごとに約1分単位でメイン集団に対するリードが広がっていき、フィニッシュまで50kmとしたところで、その差は10分となり、エイキングがバーチャルリーダーとなった。

その後もメイン集団は追走する意思は示さず、ログリッチ擁するチーム ユンボ・ヴィスマがレースコントロールによる消耗を避けるため、意図的にマイヨロホを手放す姿勢であることが明白に。一度リーダーの座を譲って、先々の山岳や個人タイムトライアルステージまで体力を温存しておきたいとの意思を見せる。

©︎ Photo Gomez Sport

少なくともステージ優勝は先頭グループから出ることが確定的になり、残り39km地点に設定された中間スプリントポイント通過をきっかけに数人がアタック。これが号砲となって、逃げメンバー間の駆け引きが活性化。フロリス・デティエ(アルペシン・フェニックス、ベルギー)がアタックを繰り返したが決定打とはならず、代わってルイ・オリヴェイラ(UAEチームエミレーツ、ポルトガル)がスピードアップ。しかし、上りが本格化するとともに失速。ケニー・エリッソンド(トレック・セガフレード、フランス)がオリヴェイラをパスして一時的にトップに立つが、すぐに追いついた数人の中からストーラーがアタック。フィニッシュまでの20kmのポイントで、単独先頭に立った。

独走態勢に入ったストーラーの後ろでは、マイヨロホ奪取の可能性が高まってきたエイキングとマルタンによる争いも本格化。上りを利用してマルタンが仕掛けるが、エイキングが反応。逆に、頂上通過後の下りでエイキングがクレモン・シャンプッサン(アージェードゥーゼール・シトロエン チーム、フランス)、マウリ・ファンセヴェナント(ドゥクーニンク・クイックステップ、ベルギー)とともに2番手グループを形成。マルタンを引き離して終盤に突入した。

こうした駆け引きをよそに、ストーラーはテクニカルな下りをクリアして単独でフィニッシュへ。第7ステージでは激坂勝負に勝ってのステージ勝利だったが、今回も上りでのアタックから抜け出してダウンヒルも落ち着いてクリア。最後の20km1人で乗り切ってみせた。逃げによる2勝目で、一躍今大会のニューヒーローへと駆け上がった。

©︎ Luis Angel Gomez / Photo Gomez Sport

ストーラーの歓喜から22秒後、エイキングらの2番手グループがフィニッシュへ到達。最終局面でディラン・ファンバーレ(イネオス・グレナディアーズ、オランダ)が追いつき、4人によるステージ2位争い。ここはファンセヴェナントが制し、エイキングも同タイムでステージ5位とした。マルタンらのグループは、ここから29秒差でレースを終えた。

完全に別のレースとなったメイン集団。プエルト・デ・アルマチャルに入るところでモビスター チームやイネオス・グレナディアーズがペーシングを担うが、上りの後半部でログリッチが猛然とアタック。これで集団は崩壊。ログリッチを追うのは、エンリク・マス(モビスター チーム、スペイン)、ミゲルアンヘル・ロペス(モビスター チーム、コロンビア)、ジャック・ヘイグ(バーレーン・ヴィクトリアス、オーストラリア)の個人総合24位と、ログリッチのアシストで総合でも8位につけるセップ・クス(チーム ユンボ・ヴィスマ、アメリカ)。ログリッチの勢いに加えて、その後ろでクスが抑えに入っていることもあり、約30秒差で頂上を通過。

©︎ Luis Angel Gomez / Photo Gomez Sport

さらにリードを広げようと、ログリッチは下りも攻め続ける。しかし、右コーナーで乾燥し滑りやすい路面に後輪をとられ落車。すぐに起き上がって走り出したが、追っていたマスらがすぐに合流。結果的に、総合上位陣が1つのパックになってフィニッシュを目指すことになった。

最終盤でアレクサンドル・ウラソフ(アスタナ・プレミアテック、ロシア)とフェリックス・グロスシャートナー(ボーラ・ハンスグローエ、オーストリア)がマイヨロホに合流。頂上を前に数秒遅れていたクスも戻って、個人総合上位に位置する7人が一緒にフィニッシュラインを通過。この時点でストーラーからは1149秒差。エイキングとは1127秒差で、マイヨロホの移動が確定した。なお、個人総合5位でスタートしたエガン・ベルナル(イネオス・グレナディアーズ、コロンビア)は、ログリッチらから37秒遅れでフィニッシュした。

© Cxcling

個人総合順位で18ランクアップさせたエイキングは、グランツールはおろかプロキャリアを通して初のリーダージャージ着用。今大会直前のアークティックレース・オブ・ノルウェーで個人総合2位に入り、好調さを見せていた26歳がブエルタで大仕事。上りが得意とあって、この先のステージでは個人総合争いに加わる可能性も十分にある。

エイキングから総合タイム差58秒でマルタンが2位。リーダーの座を戦術的に譲る判断をしたログリッチは、217秒差の3位としている。

新城幸也(バーレーン・ヴィクトリアス)はステージ102位。総合争いから大きく遅れることとなったミケル・ランダ(スペイン)に付き添って、グルペットでレースを終えている。

25日に行われる第11ステージは、アンテケラからバルデペーニャス・デ・ハエンまでの133.6kmの丘陵ステージ。今大会のロードレースステージでは最短距離だが、カテゴリー山岳に加えて無印の上りも多く、消耗戦になる可能性を秘める。バルデペーニャス・デ・ハエンへの上りには部分的に20%を超える激坂が潜むほか、フィニッシュ前1kmで一気に上るなど、最後まで気を抜くことができない1日となりそうだ。

ステージ優勝 マイケル・ストーラー コメント

©︎ Luis Angel Gomez / Photo Gomez Sport

「前回(第7ステージ)より信じられない勝利だ。大人数の逃げによる戦いは壮大な1日だった。逃げが決まったのは80km地点の手前。そこに入ることができてよかった。最後の上りは調子が良くて、今日勝つためにどうすべきか理解できていた。攻撃あるのみだったが、他選手の狙いも見えていたのでアタックタイミングを計ることができた。後ろとのタイム差が把握できないまま下りに入ったが、攻めるだけだった。タイトであることはわかっていたし、乾燥して滑りやすい道であることも把握できていたので、私のダウンヒルテクニックでも乗り切ることができた。開幕から10日間で2つのハードなステージを勝てたなんて信じられない」

マイヨロホ オドクリスティアン・エイキング コメント

©︎ Luis Angel Gomez / Photo Gomez Sport

「ブエルタでトップに立っているという事実を言葉で言い表すことができない。本当に大きな喜びだ。レイン(タラマエ)が大会序盤に成功を収めていたので、今回のマイヨロホはチームにとってさらなる大きなボーナスだ。個人総合で9分遅れだったので、今日のステージでリーダーになるなんて想像していなかった。

本当に奇跡のようなものだが、逃げに入ってからアドバンテージが増え続けていることを知り、チャンスがあるのではと感じ始めていた。ギヨーム・マルタンとは総合成績で近かったし、直前のツール・ド・フランスで個人総合8位だったので手ごわいライバルだと思っていた。彼は以前チームメートだったし、その強さを分かっている。彼のアタックに何とか反応できて、リードを奪うことにも成功した。いまはこのジャージをできるだけ守りたいと思っていて、明日のステージが最初の関門だと思っている」

ブエルタ・ア・エスパーニャ2021 第10ステージ 結果

ステージ結果

1 マイケル・ストーラー(チームDSM、オーストラリア)4:09’21”
2 マウリ・ファンセヴェナント(ドゥクーニンク・クイックステップ、ベルギー)+0’22”
3 クレモン・シャンプッサン(アージェードゥーゼール・シトロエン チーム、フランス)ST
4 ディラン・ファンバーレ(イネオス・グレナディアーズ、オランダ)ST
5 オドクリスティアン・エイキング(アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ、ノルウェー)ST
6 ジョナタン・ナルバエス(イネオス・グレナディアーズ、エクアドル)+0’51”
7 ニック・シュルツ(チーム バイクエクスチェンジ、オーストラリア)ST
8 ジョフリー・ブシャール(アージェードゥーゼール・シトロエン チーム、フランス)ST
9 リリアン・カルメジャーヌ(アージェードゥーゼール・シトロエン チーム、フランス)ST
10 ケニー・エリッソンド(トレック・セガフレード、フランス)ST
102 新城幸也(バーレーン・ヴィクトリアス、日本)+21’41”

個人総合(マイヨロホ)

1 オドクリスティアン・エイキング(アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ、ノルウェー) 38:37’46”
2 ギヨーム・マルタン(コフィディス、フランス)+0’58”
3 プリモシュ・ログリッチ(チーム ユンボ・ヴィスマ、スロベニア)+2’17”
4 エンリク・マス(モビスター チーム、スペイン)+2’45”
5 ミゲルアンヘル・ロペス(モビスター チーム、コロンビア)+3’38”
6 ジャック・ヘイグ(バーレーン・ヴィクトリアス、オーストラリア)+3’59”
7 エガン・ベルナル(イネオス・グレナディアーズ、コロンビア)+4’46”
8 セップ・クス(チーム ユンボ・ヴィスマ、アメリカ)+4’57”
9 アダム・イェーツ(イネオス・グレナディアーズ、イギリス)+5’01”
10 フェリックス・グロスシャートナー(ボーラ・ハンスグローエ、オーストリア)+5’42”
140 新城幸也(バーレーン・ヴィクトリアス、日本)+1:35’57”

ポイント賞(プントス)

ファビオ・ヤコブセン(ドゥクーニンク・クイックステップ、オランダ)

山岳賞(モンターニャ)

ダミアーノ・カルーゾ(バーレーン・ヴィクトリアス、イタリア)

新人賞(マイヨブランコ)

エガン・ベルナル(イネオス・グレナディアーズ、コロンビア)

チーム総合成績

イネオス・グレナディアーズ

ブエルタ・ア・エスパーニャ2021スタートリスト&コースプレビューはこちら↓
【保存版】ブエルタ・ア・エスパーニャ2021スタートリスト&コースプレビュー

【保存版】ブエルタ・ア・エスパーニャ2021スタートリスト&コースプレビュー

2021年08月13日

 

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PROFILE

福光俊介

福光俊介

サイクルジャーナリスト。サイクルロードレースの取材・執筆においては、ツール・ド・フランスをはじめ、本場ヨーロッパ、アジア、そして日本のレースまで網羅する稀有な存在。得意なのはレースレポートや戦評・分析。過去に育児情報誌の編集長を務めた経験から、「読み手に親切でいられるか」をテーマにライター活動を行う。国内プロチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。国際自転車ジャーナリスト協会会員。

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サイクルジャーナリスト。サイクルロードレースの取材・執筆においては、ツール・ド・フランスをはじめ、本場ヨーロッパ、アジア、そして日本のレースまで網羅する稀有な存在。得意なのはレースレポートや戦評・分析。過去に育児情報誌の編集長を務めた経験から、「読み手に親切でいられるか」をテーマにライター活動を行う。国内プロチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。国際自転車ジャーナリスト協会会員。

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