沢田桂太郎が那須塩原クリテリウムでJCL今季2勝目! チーム総合は宇都宮ブリッツェン
Bicycle Club編集部
- 2021年11月07日
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自転車ロードレースの国内プロリーグ「三菱地所JCLプロサイクルリーグ2021」の最終戦となる、「那須塩原クリテリウム」が11月7日、栃木県那須塩原市で開催された。レースは逃げが決まらず集団のまま推移し、15人弱まで絞られた集団でのゴールスプリントを沢田桂太郎(スパークルおおいたレーシングチーム)が制して、今季2勝目を挙げた。JCL初年度の個人ランキングは山本大喜(キナンサイクリングチーム)が、チームランキングでは宇都宮ブリッツェンが、それぞれ年間トップに輝いた。
有観客の駅前通りでクリテリウムを実施
2年ぶりの開催となった那須塩原クリテリウムは、東北新幹線も停車するJR那須塩原駅の西口駅前通りを、大胆に閉鎖して行われる公道レースだ。ホームストレート後方には駅舎が見えるという、絶好のロケーション。最終2連戦は久々に人数制限のない有観客で行われ、緊急事態宣言が明けたことで各地から2000人もの観客が訪れて会場はにぎわいを見せた。
1.5kmの特設周回コースはT字形。前半が長いストレートの続くハイスピード区間、後半がUターン2つを含む4つのコーナーが連続するテクニカル区間となる。ペースが上がると集団後方は一気に辛くなる難コース。集団が崩れなくても人数が自然に絞られる、厳しいレースが通例となっている。
25周45kmのレースは、那須塩原市の渡辺美知太郎市長の号砲で、9チーム52人の選手がスタート。序盤はさまざまなチームが抜け出しを狙いアタックをかける、目まぐるしい展開になったが、集団から大きく抜け出す選手は現れない。1つの集団でのレースが続いたが、それでも序盤から続々と選手が遅れ、厳しい展開をうかがわせた。
集団先頭付近では、ホストチームの那須ブラーゼンが、前週に続いての地元勝利を狙って積極的な動きを見せて、地元のファンを沸かせた。
キナンサイクリングチームが強力にけん引
10周目、最初のスプリント賞は黒枝咲哉(スパークルおおいたレーシングチーム)が獲得。レースは中盤になっても集団が崩れず1つのまま進む。
動きが出たのは25周のレースも折り返しを過ぎた14周目。キナンサイクリングチームが6人全員で隊列を組んで、集団先頭でペースのコントロールを開始した。隊列の最後尾にはスプリント力のあるベテランの中島康晴が位置して、他の5人全員で集団をまとめる作戦だ。
今季のキナンサイクリングチームはチーム力を生かして、各選手の波状攻撃で集団を破壊するレースが多かった。しかし最終戦では高いチーム力を異なる形で生かした、横綱相撲のレースぶり。ツアーリーダーのイエロージャージを着る山本大喜もアシストに回り、主にホームストレートを強力にけん引する。15周目、さらに20周目のスプリント賞は、山本がこの流れで先頭通過し獲得した。
集団の動きが安定したことで、他チームも隊列を組んで集団内に位置取った。先頭キナン勢の直後には、スパークルおおいたレーシングチーム。さらに後ろにはチーム右京相模原、そして宇都宮ブリッツェンが付ける。チーム力に劣るチームは後方となり、自然と体力を消耗させられる苦しい展開だ。
最後のスプリント賞がかかる15周目を前に、メイン集団後方で中切れが発生して分断。ここに地元・那須ブラーゼン勢が全体で巻き込まれてしまった。前週優勝の金子大介(那須ブラーゼン)も遅れてリタイア。前方に位置した有力4チームの他には、U23ランキング2位で逆転を狙う本多晴飛(VC福岡)のみが集団内に残り、集団全体でも20人を割り込む小さなメイン集団となった。
スプリンター沢田にチームが絶好のお膳立て
集団はその後も数人が脱落し、ファイナルラップに入った時点で16人。ここでキナン勢の後ろに付けていたスパークルおおいたレーシングチームが一気に先頭へと上がり、さらにスピードアップを開始した。集団後方だった宇都宮ブリッツェンも、増田成幸が引っ張って前方に上がり、ゴールスプリントに向けての位置取りの駆け引きが始まった。
最終コーナーを先頭で回ったのは小石祐馬(チーム右京相模原)。しかしチームメイトが後ろに付けておらず不発の動きに。ラスト300mのメインストレートは孫崎大樹(スパークルおおいたレーシングチーム)が先頭に立って、集団をトップスピードまで加速させる。
孫崎の番手に付けたのはキナンの中島、その後ろにスパークルの沢田、宇都宮ブリッツェンの小野寺 玲が続いた。ラスト200mを目印にスプリントを開始したのは小野寺。これに合わせる形で沢田も加速を開始。中島も含めた三つ巴のゴール勝負に競り勝ったのは沢田。第4戦の広島クリテリウムに続いて、今季2勝目となった。
優勝した沢田桂太郎(スパークルおおいたレーシングチーム)のコメント
最初から最後までしっかりチームが機能していて、中盤はキナンサイクリングチームがコントロールしてくれて、僕らにとってはいい展開でした。最後まで気は抜けなくて、キナンの後ろでチームがまとまって、(孫崎)大樹さんが司令塔になって、(宮崎)泰史が働いてくれ、みんなが働いてこの結果にたどりつけたんだと思います。チームメイトがいるというのはすごく心強いし、最悪僕でなくても勝負できる人はいるし、気持ちに余裕ができて、最後いいスプリントにつながったんだと思います。
2位、スプリント賞を獲得した小野寺 玲(宇都宮ブリッツェン)のコメント
このコースはサバイバルレースなので、チームで前のポジションとってスプリントに挑もうと思いました。集団コントロールの先手をキナン(サイクリングチーム)に取られてしまったのが痛かった。チームの脚も残っていなくて、枚数も少なくて、最後の最後にスキを狙って、自分でしかけて勝負するしかなかったですね。最後は各チームが争い合って、各チームのスプリンターの単騎同士の戦いになっているんで、そこで僕は結構いい番手に入りこめました。最後はいままで僕が落車したり、沢田桂太郎選手が落車したりで真剣勝負がかなわなかったんですが、彼とロングスプリントという形で競り合うことができました。沢田選手は脚を残していて、僕が脚を残せていなかったので負けてしまいました。今年からはじまったJCLですが、僕が好きな市街地コース、自転車サーキットにとらわれずにいろいろと各地でできたのが楽しかった。コロナが落ち着いてもっと観客が入って華やかにレースができれば楽しいんじゃないかと思います。このジャージはチームで戦った結果、残った副産物です。初めての年でリーダージャージを獲得できたのはうれしかったです。
【リザルト】那須塩原クリテリウム
45km 平均速度41.79km/h
1位 沢田桂太郎(スパークルおおいたレーシングチーム)1:04’35”
2位 小野寺 玲(宇都宮ブリッツェン)st
3位 中島康晴(キナンサイクリングチーム)+0’01”
4位 石原悠希(チーム右京相模原)+0’01”
5位 本多晴飛 (VC福岡)+0’01”
6位 孫崎大樹(スパークルおおいたレーシングチーム)+0’01”
7位 山本大喜(キナンサイクリングチーム)+0’02”
8位 宇賀隆貴(チーム右京相模原)+0’02”
9位 増⽥成幸(宇都宮ブリッツェン)+0’05”
10位 新城雄大(キナンサイクリングチーム)+0’06”
JCLチームランキングは宇都宮ブリッツェン、U23は宇賀に
ツアー各賞は、すでに確定していた個人ランキング・イエロージャージの山本大喜(キナンサイクリングチーム)、山岳賞・レッドジャージの山本元喜(キナンサイクリングチーム)のほか、スプリント賞・ブルージャージの小野寺 玲(宇都宮ブリッツェン)、U23賞・ホワイトジャージの宇賀隆貴(チーム右京相模原)もそれぞれ確定。チームランキングはシーズン4勝を挙げた宇都宮ブリッツェンがトップに輝いた。
JCL各賞リーダージャージ表彰
イエロージャージ(個人ランキングトップ)
山本大喜 キナンサイクリングチーム
ブルージャージ(スプリント賞)
小野寺 玲 宇都宮ブリッツェン
レッドジャージ(山岳賞)
山本元喜 キナンサイクリングチーム
ホワイトジャージ(新人賞)
宇賀隆貴 チーム右京 相模原
チーム総合優勝
宇都宮ブリッツェン
地元特別表彰
敢闘賞
本多晴飛(VC福岡)
スプリント賞
黒枝咲哉(スパークルおおいたレーシングチーム)
山本大喜(キナンサイクリングチーム)
大会概要
タイトル:第10戦那須塩原クリテリウム
開催日:2021年11月7日(日)
開催地:栃木県那須塩原市那須塩原市前弥六南町2-4
那須塩原駅西口駅前通り特設会場及びコース
1.8km×25周回=451km
ツアー主催:一般社団法人ジャパンサイクルリーグ
ツアー運営:株式会社ジャパンサイクルリーグ
ツアー後援:国土交通省、経済産業省、スポーツ庁
大会主催:那須塩原クリテリウム大会実行委員会
【動画】三菱地所 JCLプロロードレースツアー 第10戦 那須塩原クリテリウム
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