会津~長野まで、上りっぱなしの酷道200kmの旅・前編|筧 五郎の酷道の旅
Bicycle Club編集部
- 2022年01月07日
人生一度は尾瀬へ
そして到着した尾瀬ブナの森ミュージアムは、尾瀬を象徴する山、燧ヶ岳(ひうちがたけ)登山の玄関口である。「ようやくたどり着いた……。ここか、母ちゃんの言う『人生一度は尾瀬へ』の始まりは」
しかし、尾瀬へのルートは徒歩のみとなるので、自転車を含め車両の通行は禁止となる。
歩くにしても、持ってきたのはサンダルだし……、自転車を停める場所もないし……と、今回は装備が装備ということで、仕方がないとあきらめた。
母ちゃんに尾瀬へ来たという証拠の写真を送っていたら、管理人が話しかけてくれたので、「尾瀬に来たという雰囲気を味わえる場所はどこですか?」と質問した。
「ここから自転車で数km行ったところから振り返ると燧ヶ岳が見えるけど、喫茶店まで行ったら行きすぎだから引き返してね。でも、これから天気が崩れるから気をつけて」とていねいに教えてくれた。
数kmを走り、開けたところで振り返ると、燧ヶ岳は雲の中であった……。天気が崩れるのが早い!
そして只見川を渡り、とうとう新潟県に入った。渓流釣りをしている人々に話しかけてみた。イワナなどを狙っているらしい。
「この先、枝折峠はどんな感じですか?」と聞いたら、「この先は何もない道だけど楽だよ」と言われた。「それがいいんですよ」と言ってお別れしたが、ドライバーの「楽な道」という言葉を信じてはいけない。
酷道名物の洗い越しが現れる。まさかここで洗い越しに出合えるとは思わなかったので、うれしさ倍増だ。
尾瀬を越えたら落石が!
姿を現した奥只見湖の水面には波が立っており、よく見ると遊覧船がたくさん航行していた。ここから30kmあまりはのこぎり状に湖岸を進むが、平坦だろうという淡い期待は裏切られ、ひたすらアップダウンが続く。しかも、このアップダウンがマジでエゲツない。ブラインドコーナーで先が見えない数kmを上ると、ここは峠ではないのか?と思うほどの高低差なのだ。
「ここを楽な道だと言ったヤツ!出てこーい!」と大声で言った。
対向車が必要以上にクラクションを鳴らしてくれるので、走っていて安心感はある。でも、なぜか前方で「ゴンッ!!」と音がした。見ると大きな石が落ちていた。数秒前を走っていたら、あの石が僕に当たっていたのかもしれないと思ったら恐怖が襲ってきた。
出典
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Bicycle Club編集部
ロードバイクからMTB、Eバイク、レースやツーリング、ヴィンテージまで楽しむ自転車専門メディア。ビギナーからベテランまで納得のサイクルライフをお届けします。
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