BRAND

  • FUNQ
  • ランドネ
  • PEAKS
  • フィールドライフ
  • SALT WORLD
  • EVEN
  • Bicycle Club
  • RUNNING style
  • FUNQ NALU
  • BLADES(ブレード)
  • flick!
  • じゆけんTV
  • buono
  • eBikeLife
  • HATSUDO
  • Kyoto in Tokyo

STORE

  • FUNQTEN ファンクテン

MEMBER

  • EVEN BOX
  • PEAKS BOX
  • Mt.ランドネ
  • Bicycle Club BOX

得意のクラシックとスプリントで勝利量産へ クイックステップ&ロット2022年体制|ロードレースジャーナル

vol.24 軸となる選手を確立し順調に新シーズンへ
目下の狙いは春のクラシック

国内外のロードレース情報を専門的にお届けする連載「ロードレースジャーナル」。引き続き、2022年シーズンのトップチーム展望といこう。今回は王国ベルギー伝統の2チーム、クイックステップ・アルファヴィニルとロット・スーダル。両チームに共通しているのは、クラシックとスプリントに注力し勝利の量産を図る点。開幕迫る新たなシーズンも従来どおりのスタンスで、プロトンの中心に立つ勢いだ。

主要メンバー健在、昨シーズンの65勝を上回れるか クイックステップ・アルファヴィニル

クイックステップ・アルファヴィニル
2021UCIチームランキング:1

2003年に現体制でのチーム運営が始まって以来、グランツールのステージ優勝は数えること106勝、クラシック72勝(うちモニュメント20勝)、世界王者の証であるマイヨ・アルカンシェルは12回手に入れている、名実ともにプロトン最高のチーム。昨シーズンも65勝を挙げ、まぎれもないシーズン最多勝。2022年に向けても主要メンバーが残り、戦力的にはまったく不安がない。

クイックステップ・アルファヴィニルとして活動する2022年。チームジャージもお披露目となった © Quick-Step Alpha Vinyl / Getty Images

タイトルスポンサーが替わり、「クイックステップ・アルファヴィニル」として活動する今季は31選手が所属。チームの顔はやはり、2シーズン連続でアルカンシェルを着るジュリアン・アラフィリップ(フランス)。昨季を振り返ると、ラ・フレーシュ・ワロンヌやツール・ド・フランス第1ステージでの快勝こそあったが、シーズン後半に入るまではさしてビッグインパクトは多くはなかった。しかし、世界選手権でベルギー勢優位の下馬評を覆す圧勝劇。改めて、文句なしの世界王者であることを証明したのだった。

起伏の変化に富むコースにとどまらず、過去にツールでマイヨ・ジョーヌを着用し続けたようにどんなレイアウトでも対応可能。もちろんパヴェだってこなせる脚を持ち、出場するレースでは常に優勝候補に名が挙がる。今年も、シーズン前半はミラノ~サンレモやロンド・ファン・フラーンデレン、そしてアルデンヌクラシックに調子を合わせてくるだろう。ツールについては、昨年同様にステージ狙いとなるようだ。

スペイン・カルぺでトレーニングキャンプを行うクイックステップ・アルファヴィニルの選手たち。先頭がジュリアン・アラフィリップとレムコ・エヴェネプール © Quick-Step Alpha Vinyl / Getty Images

高い能力の片鱗を見せ、その走りから21歳にしてビッグネームの1人となっているレムコ・エヴェネプール(ベルギー)は、ジロ・デ・イタリアかブエルタ・ア・エスパーニャで総合エースを務める公算。一昨年の大ケガから戦線に戻った昨シーズンは、ジロこそ後半に崩れたが、UCIプロツアーやヨーロッパツアーといった下部カテゴリーでは圧倒的な走りを見せており、トップシーンで快走も時間の問題。何より、世界選手権で銅メダルを獲得したように個人タイムトライアルの走力はステージレースで大きな武器になる。チームマネージャーのパトリック・ルフェヴェル氏としては、ビッグレースでの優勝争いを急ぐつもりはないとしており、レースを選びながらチャンスを探っていくことになる。

チームにとって第一目標である北のクラシックは、昨年ロンド・ファン・フラーンデレンを制したカスパー・アスグリーン(デンマーク)がファーストチョイス。荒れたコースでもミスなく攻める走りや独走に持ち込んだ時の強さはプロトン随一。アスグリーンとならんで、実績十分のイヴ・ランパールト(ベルギー)、昨年前半にブレイクしたダヴィデ・バッレリーニ(イタリア)、スプリント力も高いフロリアン・セネシャル(フランス)、そしてベテランのゼネク・スティバル(チェコ)は不動のオーダー。誰が仕掛けても勝ちにいける戦力は、他チームにはまねができない。

もう1つの得意分野、スプリントをどう整えるかが今季のこのチームの見どころ。ルフェヴェル氏は、レース中の事故から完全復活したファビオ・ヤコブセン(オランダ)を一番手に据える意向で、順当にいけばツールでもスプリントリーダーを任される。ただ、昨年12月に契約延長を発表したマーク・カヴェンディッシュ(イギリス)も控えており、重要レースでのチョイスが悩ましいところ。カヴェンディッシュといえば、昨年のツールで華麗な復活を遂げ、エディ・メルクス氏のステージ優勝記録34勝に並んだ。あと1つ獲れば新記録というところだが、果たしてチームの判断は?

昨年のツール・ド・フランスで華麗に復活を果たしたマーク・カヴェンディッシュ。ステージ優勝記録達成はファビオ・ヤコブセンとの棲み分け次第のようだ ©Tim De Waele / Getty Images

クライマーのファウスト・マスナダ(イタリア)や“クレルモン=フェランのTGV”ことレミ・カヴァニャ(フランス)ら、タレントは豊富。各選手の強さが際立ち、勝ったときの派手さに注目が集まるが、それを支えるアシスト陣の働きも見逃せない。ミケル・モルコフ(デンマーク)やティム・デクレルク(ベルギー)らの職人芸も押さえておこう。

クイックステップ・アルファヴィニル 2022年シーズン 所属選手

●継続
ジュリアン・アラフィリップ(フランス)
カスパー・アスグリーン(デンマーク)
アンドレア・バジオーリ(イタリア)
ダヴィデ・バッレリーニ(イタリア)
マティア・カッタネオ(イタリア)
レミ・カヴァニャ(フランス)
マーク・カヴェンディッシュ(イタリア)
ヨセフ・チェルニー(チェコ)
ティム・デクレルク(ベルギー)
ドリス・デヴェナインス(ベルギー)
レムコ・エヴェネプール(ベルギー)
ミッケルフレーリク・ホノレ(デンマーク)
ファビオ・ヤコブセン(オランダ)
イーリョ・ケイセ(ベルギー)
ジェームス・ノックス(イギリス)
イヴ・ランパールト(ベルギー)
ファウスト・マスナダ(イタリア)
ミケル・モルコフ(デンマーク)
フロリアン・セネシャル(フランス)
ピーター・セリー(ベルギー)
ステイン・ステールス(ベルギー)
ヤニック・シュタイムレ(ドイツ)
ゼネク・スティバル(チェコ)
ベルト・ファンレルベルフ(ベルギー)
マウリ・ファンセヴェナント(ベルギー)

●加入
マウロ・シュミット(スイス) チーム クベカ・ネクストハッシュより移籍
スタン・ファントリヒト(ベルギー) SEGレーシングアカデミーより移籍
イラン・ファンウィルデル(ベルギー) チームDSMより移籍
イーサン・ヴァーノン(イギリス) ネオプロ
ルイス・フェルヴァーケ(ベルギー) アルペシン・フェニックスより移籍

ユアンの爆発的スプリントが最大の武器、ジルベールは最終シーズン ロット・スーダル

ロット・スーダル
2021UCIチームランキング:19

もう一方の伝統チーム、ロット・スーダル。勝ち星を重ねるクイックステップ・アルファヴィニルと比較するとどうしても数字のうえでは見劣りするが、それでも2021年はインパクトに満ちた戦いぶりを演じた。

2022年シーズンのロット・スーダルのチームジャージ。昨年と比較し、赤基調が強まっている ©︎ FACEPEETERS

3月のボルタ・ア・カタルーニャでは、アンドレアス・クロン(デンマーク)が逃げて第1ステージを勝利。同様に、6月のクリテリウム・ドゥ・ドーフィネではブレント・ファンムール(ベルギー)がオープニングステージ優勝。ともに、1日だけながらもリーダージャージを着用し、ファンムールに至ってはツールのメンバー入りを決める快勝でもあった。

さらにシーズン後半には、フロリアン・フェルメールス(ベルギー)がパリ~ルーベで大激闘の末2位。優勝したソンニ・コルブレッリ(バーレーン・ヴィクトリアス、イタリア)、3位のマチュー・ファンデルプール(アルペシン・フェニックス、オランダ)との優勝争いは、大会史に残る好勝負だった。この走りが高く評価されたフェルメールスは、オフに2024年までの契約延長に合意。春のクラシックを筆頭に、チームの主力ライダーの地位を確かなものとしている。

2021年はツール・ド・フランスでの落車で不本意なシーズンに終わったカレブ・ユアン。リベンジを賭けて、今季もツールでのステージ優勝を目指す ©︎ RCS

そんなチームは、今年もクラシックとスプリントをメインとした戦いを進めていくことになりそう。なんといっても、“ポケットロケット”カレブ・ユアン(オーストラリア)の存在は絶大だ。昨年はチームが挙げた12勝のうち半数の6勝をマーク。ツール第3ステージでの激しい落車で一時戦線を離脱したが、これがなければもっと勝ち星を得ていたはず。昨シーズンは全グランツールへの出場を見込みながらツールでの負傷でプランが崩れたが、今季は狙いをジロとツールに絞る方針。もちろん平坦ステージにフォーカスし、スプリント勝利にこだわっていく。

なお、このオフは選手の入れ替わりがありながらも昨シーズンと同様の27選手体制を維持。移籍加入組のヴィクトール・カンペナールツ(ベルギー)は3シーズンぶりに復帰。タイムトライアルや逃げから勝利を狙えるベテランの存在は、若い選手が多いチームにあって大きくプラスに働く。

そして、7月に40歳を迎えるフィリップ・ジルベール(ベルギー)は今季がキャリア最終シーズン。これまで数々のタイトルを手にしてきたが、残されたビッグタイトルはミラノ~サンレモのみ。これを獲ればモニュメント全制覇を果たすことになる。ラストチャンスを生かせるだろうか。

2022年が最終シーズンとなるフィリップ・ジルベール。いまだ獲得できていないミラノ〜サンレモのタイトルに手は届くか ©︎ A.S.O./Fabien Boukla

ロット・スーダル 2022年シーズン 所属選手

●継続
フィリッポ・コンカ(イタリア)
ステフ・クラス(ベルギー)
ジャスパー・デブイスト(ベルギー)
トーマス・デヘント(ベルギー)
カレブ・ユアン(オーストラリア)
フレデリック・フリソン(ベルギー)
フィリップ・ジルベール(ベルギー)
セバスティアン・グリニャール(ベルギー)
マシュー・ホームズ(イギリス)
ロジャー・クルーゲ(ドイツ)
アンドレアス・クロン(デンマーク)
カミル・マウェツキー(ポーランド)
シルヴァン・モニケ(ベルギー)
ハリー・スウェニー(オーストラリア)
マキシム・ファンヒルス(ベルギー)
ブレント・ファンムール(ベルギー)
フロリアン・フェルメールス(ベルギー)
ヴィクトール・フェルスハーヴェ(ベルギー)
クサンドレス・フェルフローゼム(ベルギー)
ティム・ウェレンス(ベルギー)

●加入
セドリック・ブーレンス(ベルギー) スポートフラーンデレン・バロワーズより移籍
ヴィクトール・カンペナールツ(ベルギー) チーム クベカ・ネクストハッシュより移籍
アルノー・デリー(ベルギー) ネオプロ
ジャラッド・ドリズナーズ(オーストラリア) ハーゲンズバーマン・アクセオンより移籍
ミヒャエル・スヴァルツマン(ドイツ) ボーラ・ハンスグローエより移籍
リュディガー・ゼーリッヒ(ドイツ) ボーラ・ハンスグローエより移籍

福光 俊介

サイクルジャーナリスト。サイクルロードレースの取材・執筆においては、ツール・ド・フランスをはじめ、本場ヨーロッパ、アジア、そして日本のレースまで網羅する稀有な存在。得意なのはレースレポートや戦評・分析。過去に育児情報誌の編集長を務めた経験から、「読み手に親切でいられるか」をテーマにライター活動を行う。国内プロチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。国際自転車ジャーナリスト協会会員。

SHARE

PROFILE

福光俊介

福光俊介

サイクルジャーナリスト。サイクルロードレースの取材・執筆においては、ツール・ド・フランスをはじめ、本場ヨーロッパ、アジア、そして日本のレースまで網羅する稀有な存在。得意なのはレースレポートや戦評・分析。過去に育児情報誌の編集長を務めた経験から、「読み手に親切でいられるか」をテーマにライター活動を行う。国内プロチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。国際自転車ジャーナリスト協会会員。

福光俊介の記事一覧

サイクルジャーナリスト。サイクルロードレースの取材・執筆においては、ツール・ド・フランスをはじめ、本場ヨーロッパ、アジア、そして日本のレースまで網羅する稀有な存在。得意なのはレースレポートや戦評・分析。過去に育児情報誌の編集長を務めた経験から、「読み手に親切でいられるか」をテーマにライター活動を行う。国内プロチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。国際自転車ジャーナリスト協会会員。

福光俊介の記事一覧

No more pages to load