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23歳ビリュゴドーが集団の猛追振り切り大金星、ログリッチは総合首位キープ|パリ~ニース第6ステージ

フランスで開催中のステージレース、パリ~ニースは現地3月11日に第6ステージを行った。終始出入りの激しいレースとなったが、残り10kmを切ってアタックしたマチュー・ビュルゴドー(トタルエナジーズ、フランス)が逃げ切りに成功。最後は猛追したメイン集団と同タイムと紙一重の勝負だった。プロ初勝利はビッグレースでの大金星となった。個人総合には大幅な変動がなく、プリモシュ・ログリッチ(ユンボ・ヴィスマ、スロベニア)が首位を守っている。

無名の23歳がプロ初勝利

クルテゾンからオバーニュまでの214kmに設定された第6ステージ。いよいよ、地中海が見えるところまでやってくる。コースは2級・3級にカテゴライズされる山岳を5つ上るが、最終の約18kmは下りと平坦。逃げる選手が有利となるか、はたまたメイン集団が堅実なペースメイクでレースをまとめるか、その行方が焦点となる1日。

大会後半戦に差し掛かって未出走者が増えてきたこともあり、この日は115選手でのスタート。レース開始以降もバイクを降りる選手が出ており、第2ステージで勝ったファビオ・ヤコブセン(クイックステップ・アルファヴィニル、オランダ)も大会を去っている。

そんなレースは6人のグループがリード。メイン集団に対して最大で約5分差として進んだ。山岳賞で首位に立つヴァランタン・マデュアス(グルパマ・エフデジ、フランス)がこの中に入り、山岳ポイントを次々と加算していく。

©︎ A.S.O./Alex Broadway

フィニッシュまで100kmを切って、メイン集団も徐々にペースを上げて逃げグループとのタイム差を減らしていく。残り40kmでその差は1分となり、逃げ吸収は時間の問題に。残るカテゴリー山岳は2級1つとなったところで、集団からマシュー・ホームズ(ロット・スーダル、イギリス)がアタック。この頃には2人となっていた逃げに追いつき、そのまま頂上へ。ただ、メイン集団も勢いを増しており、頂上通過直後にホームズらは捕まった。

©︎ A.S.O./Alex Broadway

レースがふりだしに戻ると、今度は下りを利用してセーアン・クラーウアナスン(チーム ディーエスエム、デンマーク)がアタック。これは早々に集団が捕まえるが、残り10kmではオリヴィエ・ルガック(グルパマ・エフデジ、フランス)が小さな上りを使ってカウンターアタック。ここにリーダーチームのユンボ・ヴィスマがクリストフ・ラポルト(フランス)を送り込み、ライバルチームの反応をうかがう。

そして、ルガックとラポルトと入れ替わる形で先頭に立ったのが、ビリュゴドー。この日2つ目の中間スプリントポイントを1位通過すると、そのまま下りを駆けて独走に持ち込む。20秒ほど後ろを走る集団からも追走狙いのアタックが散発するが、どれも決まらず。ビリュゴドーとメイン集団との構図のまま、最後の1kmを迎えた。

©︎ A.S.O./Alex Broadway

スプリント力のある選手が残ったこともあり、最終局面は集団がビリュゴドーを猛追。最後の直線に入ると、その勢いは明らかに集団にあった。しかし、そこまでに築いた貯金を取り崩しながら最後のひと踏ん張りをみせたビリュゴドー。軍配はビリュゴドーに上がった。

プロ4年目、23歳のビリュゴドーによるジャイアントキリング。これが記念すべきプロ初勝利。プロ入りから現チームで走り続け、フランスのレースを中心に活動。2020年にはツール・ド・フランスにも出場しているが、これまでは主だったリザルトはなく、無名の存在だった。しかし、この勝利で一躍ヒーローに。紙一重の逃げ切り勝利に、フィニッシュ直後には崩れ落ちるように地面に倒れた。

©︎ A.S.O./Alex Broadway

わずかにトップまで届かなかったメイン集団だが、総合系ライダーはすべてこの中でレースを完了。個人総合順位に変動はなく、マイヨジョーヌのログリッチはアシストに守られながら1日を終えた。

12日に実施する第7ステージで、いよいよニースへ。同地を出発する155.5kmのレースは、頂上にフィニッシュラインが敷かれる1級山岳コル・ド・チュリーニの一択。登坂距離14.9km・平均勾配7.3%の上りは、1kmごとに緩急が切り替わり、少しずつ選手たちの消耗を誘う。今大会のクイーンステージで、マイヨジョーヌ争いの形成は見えてくるか。ログリッチ擁するユンボ・ヴィスマがどのようにレースをコントロールするかが注目ポイントだ。

ステージ優勝 マチュー・ビリュゴドー コメント

©︎ A.S.O./Alex Broadway

「シーズン当初から調子は良かったが、フィジカルだけでは決まらないのがサイクリング。自信をもって臨めるかやメンタル面の安定も重要な要素だ。

私のチャンスはごくわずかだった。これまでトライする機会を逃していたが、過去は振り返らないで今を楽しもうと自分に言い聞かせていた。それが報われる勝利になった。今日はとにかく最後の上りで仕掛けたいと考えていたし、自分にとって最善策だった。逃げていた選手がフィニッシュライン直前で捕まるシチュエーションはテレビで見たことがあったが、そうはなりたくなかった」

個人総合時間賞 プリモシュ・ログリッチ コメント

©︎ A.S.O./Alex Broadway

「1日中集中しなければならないレースだった。休める日などないということだね。これがパリ~ニースだし、風にも注意しなければならない。明日は大きな上りが控えているが、普段は好きな雪はレース中には降らないでほしい。勝つことができれば良いが、そのための脚も必要になるだろう。

マイヨジョーヌを着られてとても幸せだ。息子も見に来ていて、私を一番に応援してくれている」

パリ~ニース2022 第6ステージ結果

ステージ結果

1 マチュー・ビリュゴドー(トタルエナジーズ、フランス) 5:33’06”
2 マッズ・ピーダスン(トレック・セガフレード、デンマーク)ST
3 ワウト・ファンアールト(ユンボ・ヴィスマ、ベルギー)
4 ビニヤム・ギルマイ(アンテルマルシェ・ワンティ・ゴーベルマテリオ、エリトリア)
5 ブライアン・コカール(コフィディス、フランス)
6 ルカ・メズゲッツ(チーム バイクエクスチェンジ・ジェイコ、スロベニア)
7 イヴァン・ガルシア(モビスター チーム、スペイン)
8 ドリアン・ゴドン(アージェードゥーゼール・シトロエン チーム、フランス)
9 フロリアン・セネシャル(クイックステップ・アルファヴィニル、フランス)
10 ルカ・モッツァート(B&Bホテルズ KTM、イタリア)

個人総合時間賞

1 プリモシュ・ログリッチ(ユンボ・ヴィスマ、スロベニア) 22:23’34”
2 サイモン・イェーツ(チーム バイクエクスチェンジ・ジェイコ、イギリス)+0’39”
3 ピエール・ラトゥール(トタルエナジーズ、フランス)+0’41”
4 ダニエル・マルティネス(イネオス・グレナディアーズ、コロンビア)+0’56”
5 アレクサンドル・ウラソフ(ボーラ・ハンスグローエ、ロシア)+0’59”
6 アダム・イェーツ(イネオス・グレナディアーズ、イギリス)+1’11”
7 セーアン・クラーウアナスン(チーム ディーエスエム、デンマーク)+1’26”
8 ジャック・ヘイグ(バーレーン・ヴィクトリアス、オーストラリア)+1’35”
9 ナイロ・キンタナ(チーム アルケア・サムシック、コロンビア)+1’45”
10 ヨン・イサギレ(コフィディス、スペイン)+2’01”

ポイント賞

ワウト・ファンアールト(ユンボ・ヴィスマ、ベルギー)

山岳賞

ヴァランタン・マデュアス(グルパマ・エフデジ、フランス)

ヤングライダー賞

マッテオ・ヨルゲンセン(モビスター チーム、アメリカ)

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PROFILE

福光俊介

福光俊介

サイクルジャーナリスト。サイクルロードレースの取材・執筆においては、ツール・ド・フランスをはじめ、本場ヨーロッパ、アジア、そして日本のレースまで網羅する稀有な存在。得意なのはレースレポートや戦評・分析。過去に育児情報誌の編集長を務めた経験から、「読み手に親切でいられるか」をテーマにライター活動を行う。国内プロチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。国際自転車ジャーナリスト協会会員。

福光俊介の記事一覧

サイクルジャーナリスト。サイクルロードレースの取材・執筆においては、ツール・ド・フランスをはじめ、本場ヨーロッパ、アジア、そして日本のレースまで網羅する稀有な存在。得意なのはレースレポートや戦評・分析。過去に育児情報誌の編集長を務めた経験から、「読み手に親切でいられるか」をテーマにライター活動を行う。国内プロチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。国際自転車ジャーナリスト協会会員。

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