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ケムナが逃げ切りでジロ初勝利、2位フィニッシュのロペスがマリアローザ|ジロ・デ・イタリア

序盤戦が進行中のジロ・デ・イタリアは、いよいよ本来の舞台であるイタリアへ。現地10日に第4ステージが行われ、シチリア島の名峰・エトナ山を上ったレースは逃げメンバーがそのままステージ優勝争いに。最後はレナード・ケムナ(ボーラ・ハンスグローエ、ドイツ)が競り勝ち、ジロ初勝利を挙げた。ケムナとともに逃げ切り、ステージ2位に入ったフアン・ロペス(トレック・セガフレード、スペイン)が個人総合順位をジャンプアップさせて首位に浮上。初めてとなるマリアローザに袖を通した。

勝ちパターンの山岳逃げでケムナがジロ初勝利

開幕地ハンガリーでの3ステージを終えたジロ一行は、前日9日に空路イタリアはシチリア島へ。本来の舞台であるイタリアでの走り始めはこの島からとなる。しかもイタリアステージの最初がエトナ山の頂上を目指す本格山岳ステージ。スタート直後から上りがちではあるものの、すべては最後の22.8kmに集約。平均勾配5.9%、中腹で最大勾配14%に達し、選手たちの脚を少しずつ削っていく。これまでもたびたびジロで登場し、好レースが展開されてきたが、今回は果たして。個人総合争いにおいても、大会序盤の重要ステージといえる。

これまでのステージとは異なり、リアルスタートからアタックが頻発。集団内が慌ただしく、あちこちでクラッシュが発生。しばらくはハイペースで進んだこともあり、このステージを無難に終えたいスプリンターの一部が集団から下がってテンポで走る様子が見られるなど、早い時間帯から各選手の思惑が見て取れる状況に。第1ステージを勝って以降マリアローザを着続けるマチュー・ファンデルプール(アルペシン・フェニックス、オランダ)が自らアタックする場面もあった。

©︎ LaPresse

こうした状況から、13km地点で数人が集団からの抜け出しに成功。後発の選手たちも次々と合流し、14人に膨らんだグループはそのまま逃げの態勢に入った。これを受けて集団はようやく落ち着き、タイム差は11分まで容認。こうしている間に、臀部の痛みを訴えたミゲルアンヘル・ロペス(アスタナ・カザクスタン チーム、コロンビア)がリタイア。個人総合2位につけるサイモン・イェーツ(チーム バイクエクスチェンジ・ジェイコ、イギリス)もドクターカーに下がって処置を受けるシーンがあった。

©︎ LaPresse

差が大きくなってきたところで、メイン集団はバーレーン・ヴィクトリアスとイネオス・グレナディアーズコントロールを開始。タイム差を調整しながら進行。ただ、無理に追う姿勢は見られず、残り50kmで7分45秒差。その後も5分前後の間隔をキープしながら進行。この流れのままエトナ山の上りが近づいてきて、逃げメンバーのステージ優勝を許容するムードが高まっていった。

©︎ LaPresse

俄然チャンスが膨らんできた先頭の選手たち。エトナ山の入口を前に、残り28kmでステファノ・オルダーニ(アルペシン・フェニックス、イタリア)がアタックして独走態勢へ移る。ここまで一緒に逃げてきた選手たちは、しばしオルダーニを静観していたが、エトナ山の上りが始まった直後にグループが割れて、6人が追走グループを組む形に。フィニッシュまで13km、中腹を走っているところでロペスがアタックし、1人でオルダーニを目指した。

一方のメイン集団は、イネオス・グレナディアーズが人数をかけて山岳をペーシング。上り始めてすぐにファンデルプールが意識的に集団から下がり、マリアローザを明け渡すことは決定的に。中腹ではトム・デュムラン(ユンボ・ヴィスマ、オランダ)が、さらに進んだところでシチリア島が地元のヴィンチェンツォ・ニバリ(アスタナ・カザクスタン チーム、イタリア)が後方へ。2人の元王者がこの時点で上位戦線から脱落となった。

それでも十分なリードを得ているトップ争い。残り10kmでロペスがオルダーニに追いつき、そのままパス。2kmほど進んだところでケムナが一緒に走ってきたマウリ・ファンセヴェナント(クイックステップ・アルファヴィニル、ベルギー)とシルヴァン・モニケ(ロット・スーダル、ベルギー)を振り切って単独で追走を開始。労せずオルダーニをパスして、あとはロペスだけとなった。

©︎ LaPresse

少しずつ差を縮めたケムナは、残り2.5kmでついにロペスに合流。ここは一緒にフィニッシュを目指すことを選択し、先頭交代を図りながら頂上へ急いだ。そしてそのまま最終局面へ。ケムナをロペスがマークする形で最終のヘアピンコーナーを迎えたが、ここでロペスがタイヤを滑らせてバランスを崩してしまう。かたやここでうまく加速させたケムナは最後の200mをしっかりと踏み切って先頭を譲らず。初めてのジロ出場でのステージ優勝。今大会最初の本格山岳ステージは逃げグループから勝者が生まれた。

© BORA – hansgrohe / Sprintcycling

ケムナはプロ6年目の25歳。現チームでは3年目で、2020年のツール・ド・フランスでは第16ステージで勝利を挙げている。また、今大会直前のツアー・オブ・ジ・アルプスでも第3ステージで優勝。ともに山岳逃げから勝機をつかんでおり、まさにこれが得意の形といえそうだ。

ステージ2位にはロペス、続いて3位には最終盤に追い込んだレイン・タラマエ(アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ、エストニア)が入線。6位までを逃げメンバーが占め、メイン集団はケムナから2分37秒差でフィニッシュへ。イネオスの牽引が続き、最後はリチャル・カラパス(エクアドル)がスプリントで先着。総合系ライダーを中心に17選手が一団でステージを終えた。

©︎ LaPresse

これらの結果により、マリアローザはロペスに舞い込んだ。この日のスタート時点では総合タイム差1分12秒で47位だったが、一気にジャンプアップ。逃げ切ったうえにメイン集団にもタイム差をつけたことがプラスになって、トップに躍り出た。あと一歩ステージ優勝には届かなかったものの、代わりにつかんだキャリア初となるグランツールのリーダージャージに大喜び。

現時点で、ロペスと個人総合2位に上がったケムナとの総合タイム差は39秒。同じく58秒差でタラマエが続く。メイン集団で終えたイェーツが4位で1分42秒差。総合系ライダーのうち、ギヨーム・マルタン(コフィディス、フランス)やトビアス・フォス(ユンボ・ヴィスマ、ノルウェー)が4分以上遅れ、デュムランやニバリと同じく上位戦線から姿を消している。

11日に行われる第5ステージは、カターニアからメッシーナまでの174km。中間地点を前に2級山岳がそびえ、この手前の緩やかな上り基調も含めると40km近いクライミングになる。頂上からフィニッシュまでは約100kmあり、上りで遅れた場合にその後の下りと平坦でリカバリーできるかがポイント。主催者発表の難易度は星2つだが、実際のレースは果たしてどうなるだろうか。

ステージ優勝、山岳賞 レナード・ケムナ コメント

©︎ LaPresse

「大人数の逃げグループに入ることを狙っていた。最後の10kmは逆風で、得意とする急な上りではなかったので正直自信はなかった。ロペスの動きに注意しながら、全力を尽くした。勝ててとてもうれしい。長い距離を一緒に逃げ続けた彼が、マリアローザを手にしたと知って喜ぶ姿が印象的だった。その意味ではお互いにハッピーだ。

今大会で総合成績を目指すことはないが、将来的な目標にはなるかもしれない。あと2回ステージ優勝を狙えるチャンスがあると思うし、チームリーダーのサポートもしないといけない。私にはやるべきことがいくつもあるんだ」

個人総合時間賞、ヤングライダー賞 フアン・ロペス コメント

©︎ LaPresse

「上りについて把握していなかったので、スポーツディレクターからの情報が頼りだった。最もハードなところでトライするよう言われていて、それを実行できた。オルダーニを追っていた時は調子の良さを実感していたし、自信もあった。マリアローザに手が届いたことに気づいたのはフィニッシュしてから数分後。スペイン人がこれを着るのはアルベルト・コンタドール以来だと聞かされ、とても光栄だ。この瞬間を楽しみたい」

ジロ・デ・イタリア2022 第4ステージ結果

ステージ結果

1 レナード・ケムナ(ボーラ・ハンスグローエ、ドイツ) 4’32’11”
2 フアン・ロペス(トレック・セガフレード、スペイン)ST
3 レイン・タラマエ(アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ、エストニア)+0’34”
4 シルヴァン・モニケ(ロット・スーダル、ベルギー)+2’12”
5 マウリ・ファンセヴェナント(クイックステップ・アルファヴィニル、ベルギー)ST
6 ハイス・リームライゼ(チーム ユンボ・ヴィスマ、オランダ)+2’31”
7 リチャル・カラパス(イネオス・グレナディアーズ、エクアドル)+2’37”
8 ロマン・バルデ(チーム ディーエスエム、フランス)ST
9 ペリョ・ビルバオ(バーレーン・ヴィクトリアス、スペイン)
10 ジョアン・アルメイダ(UAEチームエミレーツ、ポルトガル)

個人総合時間賞(マリアローザ)

1 フアン・ロペス(トレック・セガフレード、スペイン) 14:17’07”
2 レナード・ケムナ(ボーラ・ハンスグローエ、ドイツ)+0’39”
3 レイン・タラマエ(アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ、エストニア)+0’58”
4 サイモン・イェーツ(チーム バイクエクスチェンジ・ジェイコ、イギリス)+1’42”
5 マウリ・ファンセヴェナント(クイックステップ・アルファヴィニル、ベルギー)+1’47”
6 ウィルコ・ケルデルマン(ボーラ・ハンスグローエ、オランダ)+1’55”
7 ペリョ・ビルバオ(バーレーン・ヴィクトリアス、スペイン)+2’00”
8 ジョアン・アルメイダ(UAEチームエミレーツ、ポルトガル)ST
9 リッチー・ポート(イネオス・グレナディアーズ、オーストラリア)+2’04”
10 ロマン・バルデ(チーム ディーエスエム、フランス)+2’06”

ポイント賞(マリアチクラミーノ)

マチュー・ファンデルプール(アルペシン・フェニックス、オランダ)

山岳賞(マリアアッズーラ)

レナード・ケムナ(ボーラ・ハンスグローエ、ドイツ)

ヤングライダー賞(マリアビアンカ)

フアン・ロペス(トレック・セガフレード、スペイン)

チーム総合

ボーラ・ハンスグローエ

 

▼【保存版】ジロ・デ・イタリア2022スタートリスト&コースプレビューはこちら

ジロ・デ・イタリア2022

 

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PROFILE

福光俊介

福光俊介

サイクルジャーナリスト。サイクルロードレースの取材・執筆においては、ツール・ド・フランスをはじめ、本場ヨーロッパ、アジア、そして日本のレースまで網羅する稀有な存在。得意なのはレースレポートや戦評・分析。過去に育児情報誌の編集長を務めた経験から、「読み手に親切でいられるか」をテーマにライター活動を行う。国内プロチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。国際自転車ジャーナリスト協会会員。

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