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小林 海の失敗と復活、そしてチームで獲得した2枚のジャージ|ツアー・オブ・ジャパン

5月19日(木)から5月22日(日)の4日間・4ステージにかけて開催されたツアー・オブ・ジャパン(以下、TOJ)。今年のTOJでは4ステージ中3ステージでチーム右京がステージ優勝、そして総合もチーム右京がワン・ツーという圧勝っぷりを見せつけられる結果となった。前回の記事に引き続き、今回はレーススタート前から総合優勝を期待された小林 海の失敗と復活、そしてマトリックスパワータグというチームの力で獲得した2枚のジャージにスポットを当てて、振り返る。

総合優勝を期待された小林 海の失敗と復活

TOJの開催前日となる5月18日(水)にはオンラインで記者会見が行われ、4名の選手が登場した。この4名の中には、今シーズンJプロツアーで5戦4勝、勝ちを逃した1戦でも2位表彰台と、圧倒的な力を見せている小林 海(マトリックスパワータグ)の姿もあった。

小林はこの会見で「強い選手たちとの競い合うレースを楽しみしています。最後に笑って終われれば」とコメントし、チームとしての自信ものぞかせていた。

しかし小林は第1ステージである信州飯田ステージでいきなり大きな失敗を犯してしまう。ベンジャミン・ダイボール(チーム右京)のアタックや、ネイサン・アール(チーム右京)や増田成幸(宇都宮ブリッツェン)、トマ・ルバ(キナンレーシングチーム)の追走の動きについていけず、アールやダイボールから1分26秒、増田やルバから55秒遅れの10位でのゴールとなり、小林の総合争いはこの時点でかなり厳しくなってしまう。

SNSで「頭が悪い走りをしてしまった」と投稿していたとおり、総合争いとしては取り返しのつかない失敗となってしまった。

富士山では増田を抜いて4位という活躍

この失敗で小林の調子は落ちてきているのではないかと思われたが、翌第2ステージである富士山ステージでは増田を抜いて全体4位、日本人1位でフィニッシュする。

レース後のオンライン取材で「残り3kmぐらいで増田選手をパスしました。遅れていたように見えたのはあえてペースで上っていたためです。標高がどんどん高くなっていくのにパワーは想定以上に出せていました。ただ、想定以上にパワーが出せていたので、もうちょっと速く上れたんじゃないかなと悔しい思いはあります」と回答が返ってきたとおり、見事に前日の失敗を取り返す走りを見せた。

相模原では山岳賞を獲りに勝負に出る

さらにこのステージで山岳賞4位につけた小林は、翌日の第3ステージである相模原ステージでも山岳賞獲得に向けて見事な戦略を見せる。

前日の囲み取材で宇都宮ブリッツェンの宮崎が「山岳賞もわずかながら希望があるので狙っていきたい」とコメントを残したが、小林も同様に山岳賞の逆転を狙っていた。

富士山ステージ終了時点での山岳賞のポイント状況は以下のとおり。

  • 1位:ベンジャミン・ダイボール(チーム右京) 18点
  • 2位:トマ・ルバ(キナンレーシングチーム) 15点
  • 3位:ネイサン・アール(チーム右京) 13点
  • 4位:小林 海(マトリックスパワータグ) 13点
  • 5位:宮崎泰史(宇都宮ブリッツェン) 11点
    ※6位以降は割愛

相模原ステージでの山岳賞ポイントはレース中に3回あり、各回1着通過から順に5点、3点、1点と加算される。最大で15点加算されるため、上記選手全員に山岳賞の証であるレッドジャージを獲得する可能性があった。

小林は1回目のポイントから積極的に取りに行って1着5点を加算すると、2着にダイボールが入り、3着にアールが入る。この時点でダイボール1位は変わらないものの、小林が2位まで上がり、点差も3点まで縮める。

そして2回目のポイント前に小林のチームメイトであるレオネル・キンテロを含む3名の逃げができるが、ポイント前の上りで小林が自らメイン集団を引いてこの逃げを潰し、2回目のポイントも1着通過で5点を加算する。

さらに、この逃げを潰すタイミングで小林はキンテロに対して「レオ(キンテロ)も2着に入ってダイボールのポイントを削ってくれ」と伝え、キンテロはその言葉を受けてしっかりと2着通過し、ダイボールが3着となる。

この2回目のタイミングで小林はダイボールに対して4点差をつけ、小林23点に対してダイボール22点と、わずか1点差ではあるものの、逆転することに成功する。

その後小林のチームメイトであるホセ・ビセンテ・トリビオら8名の逃げ、さらにはレオネル・キンテロら11名の追走集団を行かせ、相模原ステージ終了時点で小林が山岳賞を確定させた。

チームの力で獲得した2枚のジャージ

そして、マトリックスパワータグというチームは小林の復活だけでは終わらなかった。今シーズン、小林はチームメイトのレオネル・キンテロを「相棒」と呼び、Jプロツアーでは5戦全てでワン・ツーフィニッシュを決めている。

キンテロが相模原ステージで2着に入り、ポイント賞トップに立つと、小林は相模原ステージ終了後のインタビューで「明日はレオがポイント賞を獲得できるようにしっかりと動きます」とコメントを残し、「相棒」のためにレースを動かすことを宣言した。

最終ステージとなる東京ステージでは前日の相模原ステージでステージ優勝を上げた岡 篤志(EFエデュケーション・NIPPO デヴェロップメントチーム)とのポイント差がわずか1点という状況でキンテロはスタートする。

マトリックスパワータグはフランシスコ・マンセボやホセ・ビセンテ・トリビオが集団からアタックがかかるたびにチェックに入り、岡にポイントを取らせないような動きを見せる。しかし、集団が逃げを容認せず、1回目の中間スプリント前までにすべての逃げが潰されると、キンテロは岡の後ろにしっかりとついて岡をマーク。そして中間スプリントで選手たちがスプリントを開始すると、岡の後ろからキンテロが差し、点差を3点差に広げる。

さらに6周回目に岡のチームメイトである門田祐輔(EFエデュケーション・NIPPO デヴェロップメントチーム)のアタックをきっかけにできた3名の逃げにキンテロのチームメイトであるホセ・ビセンテ・トリビオが乗る。

トリビオは信州飯田ステージでの6位、相模原ステージでの4位で24点を稼いでおり、残り2回の中間スプリントで門田が岡のために2回とも1着通過するものの、トリビオも2回とも2着で通過し、合計30点で岡を抜いて暫定2位に入る。

ポイント賞ワン・ツーはマトリックスパワータグの選手という状態でレース終盤を迎え、逃げ集団とのタイム差が縮まると、小林がキンテロのために集団先頭に出てスプリントに向けた位置取りを開始する。

そしてゴールスプリントでキンテロがチームメイトの動きにこたえる4位に入り、岡が5位となったため、キンテロがポイント賞を確定させる。

東京ステージ終了後、トリビオは個別取材で「キンテロのため、そして自分もポイント賞で上位に付けているので、岡のポイントを削るために逃げに乗りました。チームで協力した結果です」とコメントしている。チームでブルージャージを獲得した形である。

前日には山岳賞の証であるレッドジャージの獲得に向けてチーム内で協力した結果、小林のレッドジャージ獲得を確定させることができたマトリックスパワータグ。

小林は「望んでいた結果ではない」と語るが、チームで獲得した2枚の特別賞ジャージはある意味望んだ以上の結果となったのではないだろうか。

問:TOJ公式サイト
https://www.toj.co.jp

 

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