コペンハーゲンが湧いた! チームプレゼンテーションに22チーム・176選手登壇|ツール・ド・フランス
福光俊介
- 2022年06月30日
デンマーク・コペンハーゲンの名所・チボリ公園を埋め尽くすほどに集まった大観衆。自国での開幕であることはもちろん、新型コロナ禍を乗り越えて限りなく本来の姿に近い形での開催を祝福していたかのようだった。第109回目となるツール・ド・フランスのチームプレゼンテーションが、現地6月29日に開催された。選手・関係者が集う大会公式イベントとしては、これが全体の皮切り。出場22チーム・全176人がステージに登壇し、これから始まる3週間の長旅へ意気込みを強いものとした。
コペンハーゲンの盛り上がりにヴィンゲゴーが涙
新型コロナウイルス感染拡大にともなって会期を秋に変更した一昨年、東京2020五輪開催の関係で通例より1週間前倒しで行われた昨年。そして今年は、従来の6月下旬開幕が実現。感染症対策といえば、出場チーム・選手にマスク着用や数日おきのPCR検査受検を義務付けた程度。ほぼ、コロナ前のツールに戻ったと言ってもよさそうだ。今年の開幕地は、デンマークの首都・コペンハーゲン。初の北欧開催は、当初2020年に行われる予定だったが、新型コロナの影響を受けたサッカー欧州選手権(UEFA EURO 2020)や東京五輪との開催時期の重複を避けて、2年間の先送りとなっていた。
実質大会全体最初のプログラムであるチームプレゼンテーションは、コペンハーゲン中心部の名所・チボリ公園で行われた。過去2年のような入場制限は一切なく、総面積82717平方メートルの園内には人がぎっしり。市街地に設けられた花道を通って、同園へとやってくる出場選手たちをこの目で見ようと、人々は駆け付けた。
出場する22チームが1チームずつステージへ。自転車王国デンマークだけに、目の肥えたファンも多く、今大会の活躍が期待される選手であれば自然と拍手が大きくなった。
とりわけ会場が盛り上がったのは、地元デンマーク勢の登場時。今大会には7チームから10人がエントリー。デンマークの国の起こりや人々の暮らしに大きな影響を与えたヴァイキングを彷彿とさせる手拍子や歓声で、自国選手たちを後押し。
そんな中、プレゼンが最高潮に達したのは、21番目に登場したユンボ・ヴィスマの登壇時だった。前回大会の個人総合2位、ヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク)が登場するや、「ヴィンゲゴー! ヴィンゲゴー!」の大合唱。これにはさすがのヴィンゲゴーも感涙。マイクを手渡され話をしようとするも、言葉にならずしばし喜びに浸った。
そして、大トリを務めたのは、UAEチームエミレーツ。昨年まで2連覇のタデイ・ポガチャル(スロベニア)も、盛大な歓迎ムードの中でステージへ。ただ、今回ばかりはチームメートのミッケル・ビョーグ(デンマーク)への熱狂度合いが高いとみるや、自身は盛り上げ役に徹して、大きなアクションで観衆をあおった。
ニューデザインキットのお披露目も
ツールといえば、近年はニューデザインのジャージお披露目の場にもなっている。
今年、ツール仕様または新規デザインをジャージに採用したのは、ユンボ・ヴィスマ、ボーラ・ハンスグローエ、EFエデュケーション・イージーポスト、ロット・スーダル、イスラエル・プレミアテックの5チーム。
どれもインパクト大で、開幕後の活躍によって話題がさらに大きくなる可能性は高い。レースをチェックしながら、これらチームの新デザインジャージをしっかり目に焼き付けよう。
▼ツール・ド・フランス2022のチーム&コース情報はこちらへ
SHARE
PROFILE
サイクルジャーナリスト。サイクルロードレースの取材・執筆においては、ツール・ド・フランスをはじめ、本場ヨーロッパ、アジア、そして日本のレースまで網羅する稀有な存在。得意なのはレースレポートや戦評・分析。過去に育児情報誌の編集長を務めた経験から、「読み手に親切でいられるか」をテーマにライター活動を行う。国内プロチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。国際自転車ジャーナリスト協会会員。