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ピーダスンが全グランツール勝利を達成、クラークとデマルキは逃げ切り目前でつかまる|ジロ・デ・イタリア

ジロ・デ・イタリア2023は現地5月11日に第6ステージを行い、序盤からの逃げをフィニッシュ手前でつかまえてスプリント勝負へ。マッズ・ピーダスン(トレック・セガフレード、デンマーク)が競り勝ち、ジロ初勝利と同時に全グランツールでのステージ優勝を達成した。個人総合上位陣には変動がなく、アンドレアス・レックネスン(チーム ディーエスエム、ノルウェー)が首位の証であるマリア・ローザをキープしている。

フィニッシュ目前で逃げ吸収、ピーダスンはアシスト陣の働きに応える勝利

数日間降り続いた雨が上がり、太陽のもとで大会6日目を迎える。162kmのコースはナポリを発着とし、前半に2級山岳、中盤に3級山岳をそれぞれ越える。それからも海沿いのワインディングロードを走り、ナポリのフィニッシュラインへ向かう。星2つの平坦ステージにカテゴライズされるが、クラッシュが相次いだ前日の状況を受けて、各選手のコンディションがどんな状態にあるかが焦点にもなった。

新型コロナウイルス感染が分かったクレモン・ルッソ(チーム アルケア・サムシック、フランス)が未出走。あとはスタートラインにつき、落車で右半身を痛めたレムコ・エヴェネプール(スーダル・クイックステップ、ベルギー)や、前日のフィニッシュ直後の落車で肩に裂傷を負ったアンドレア・ヴェンドラーメ(アージェードゥーゼール・シトロエン チーム、イタリア)らも元気に姿を現した。

リアルスタートから2kmでアレッサンドロ・デマルキ(チーム ジェイコ・アルウラー、イタリア)が飛び出すことに成功すると、フランチェスコ・ガヴァッツィ(エオーロ・コメタ、イタリア)、アレクサンドル・ドゥレットル(コフィディス、フランス)、チャーリー・クオーターマン(チーム コラテック・セッレイタリア、イギリス)が次々と合流。さらにサイモン・クラーク(イスラエル・プレミアテック、オーストラリア)も加わり、5人の逃げが容認される。アレッサンドロ・ヴェッレ(チーム アルケア・サムシック、イタリア)がひとりで追走を試みたりもあったが、のちに集団へと戻っている。

©️ LaPresse

5人は最大で5分のリードを確保。34.4km地点に設けられた1回目の中間スプリントポイントはクオーターマンが、48.8km地点に置かれた2級山岳ポイントはガヴァッツィがそれぞれ1位通過。メイン集団ではタイム差のコントロールが始まるとともに、2級の上りでイネオス・グレナディアーズがペースアップを図ったことで、遅れ始める選手が現れる。10年前にナポリでステージ優勝を飾っているマーク・カヴェンディッシュ(アスタナ・カザクスタン チーム、イギリス)も後退し、最後まで集団復帰はかなわず。やがてアシストたちとともに完走狙いに切り替えている。

©️ LaPresse

半分を過ぎ、3級の上りに入ると、頂上手前でクラークがスピードアップ。これについていけたのはデマルキだけ。2人はそのまま頂上を通過し、テクニカルな下りを経て集団へ向かう平坦路をハイスピードで駆けていく。逃げからこぼれた後の3人はしばらくして集団が追いつき、そのまま吸収されている。

フィニッシュまで30kmほどを残したところで、先頭2人と集団とのタイム差は2分30秒。集団はトレック・セガフレードやバーレーン・ヴィクトリアス、チーム ディーエスエム、アルペシン・ドゥクーニンクがアシスト選手を出しあって追い上げムードを高める。しかし、断然集団が有利と思われた中でも先頭の2人が粘りを見せ、タイム差を一気には縮めさせない。本格的な追い込みが始まる中、残り16kmではプリモシュ・ログリッチ(ユンボ・ヴィスマ、スロベニア)、残り11kmではゲラント・トーマス(イネオス・グレナディアーズ、イギリス)にそれぞれバイクトラブルが発生。一度止まって対処したのち、アシストたちのサポートを受けてどうにか集団へと戻っている。

©️ LaPresse

残り10kmで1分差と、逃げ・集団ともにきわどい情勢に。連続するコーナーをうまく抜ける先頭の2人に対して、集団は追う意思を見せるチームが少しずつ減り、その差がなかなか縮まらない。残り5kmで40秒差。それからは1kmあたり5~6秒単位でタイムギャップが減り、残り1kmのフラムルージュ通過時には15秒差。逃げ切りの可能性が高まってきた。

逃げ巧者らしさを発揮し、最終局面はマッチスプリントでステージ優勝を争うかに思われた2人だったが、最後の最後に来て牽制状態に。クラークの番手をデマルキが押さえたまま、数百メートル進む。猛然と迫る集団を見てデマルキが残り400mから腰を上げたものの、時すでに遅し。残り300mで2人はつかまると、同時にフェルナンド・ガビリア(モビスター チーム、コロンビア)がスプリントを開始。

ただ、この状況で冷静に立ち回ったのがピーダスン。ガビリアをチェックすると、最後の100mで先頭に立つ。ジョナサン・ミラン(バーレーン・ヴィクトリアス、イタリア)らの追い上げをかわし、そのままフィニッシュラインを通過。両手を広げて勝利の瞬間を迎えた。

©️ LaPresse

2019年の世界王者で、現在のプロトンではトップスプリンターの1人として鳴らすピーダスン。3回目のジロ出場で初勝利。同時に、すべてのグランツールでステージ優勝を達成した。

©️ LaPresse

ピーダスンの後ろでは、ミランが2位で入り、パスカル・アッカーマン(UAEチームエミレーツ、ドイツ)が3位。前日勝利のカーデン・グローブス(アルペシン・ドゥクーニンク、オーストラリア)は4位だった。

この日は個人総合上位陣に変動はなく、レックネスンがマリア・ローザをきっちりフィニッシュまで運んでいる。また、新城幸也(バーレーン・ヴィクトリアス)は、前半の2級山岳以降は後ろのグループでレースを進め、ピーダスンから18分25秒差でステージを完了している。

次の第7ステージは、今大会最初の本格山岳。1級山岳グラン・サッソの頂上フィニッシュで、最後の26.4kmは平均勾配3.4%。緩斜面がしばらく続くが、フィニッシュ前2.5kmで急激に勾配が変わり、残り1kmで最大勾配13%に。個人総合争いに変動が出ることも想定される。

ステージ優勝 カーデン・グローブス コメント

©️ LaPresse

「チームが持つリソースをすべて使い果たした。デマルキとクラークをキャッチできたのは幸運だったが、全体的に見れば組織的な追走だったと思う。チームは私を中心に成り立っているので、みんなに対してお礼がしたかったし、今日の結果には満足している。景色も道もとても美しく、レースをしながらでも目に入ってきた。テクニカルなルートで、舗装が整った中を高速で進んだが、海をしっかり眺められた。明日はステージ優勝を狙うような無謀なことはしない。ここ何ステージか無理を強いてきたので、チームを最優先する1日としたい。次にどのステージを狙うかは、ロードブックを見て判断していくつもり。とにかく今は勝ったことを喜びたい」

個人総合時間賞、ヤングライダー賞 アンドレアス・レックネスン コメント

©️ LaPresse

「今夜はよく眠れそうだ。マリア・ローザは特別な気分にさせてくれるし、今日は景色も素晴らしく楽しい1日だった。日々自信がみなぎっていて、集団の中でも良い位置を走らせてもらえるようになった。最後だけペダルに力を込めたが、脚の状態は良い。たくさんの人が応援してくれて、名前よりマリア・ローザとの声掛けは何度も聞いたよ。次のステージで上るグラン・サッソは未経験。勾配やコース状況を確認して明日に備えたい。当面の目標は日曜の個人タイムトライアルまでこのジャージを着続けること。難しいと思うが、できるだけのことはやってみる。ここまで良いレースができているし、イタリアのサイクリングに対する情熱にも感動している」

ジロ・デ・イタリア2023 第6ステージ結果

ステージ結果

1 マッズ・ピーダスン(トレック・セガフレード、デンマーク) 3:44’45”
2 ジョナサン・ミラン(バーレーン・ヴィクトリアス、イタリア)ST
3 パスカル・アッカーマン(UAEチームエミレーツ、ドイツ)
4 カーデン・グローブス(アルペシン・ドゥクーニンク、オーストラリア)
5 フェルナンド・ガビリア(モビスター チーム、コロンビア)
6 マイケル・マシューズ(チーム ジェイコ・アルウラー、オーストラリア)
7 ヴィンチェンツォ・アルバネーゼ(エオーロ・コメタ、イタリア)
8 マリウス・マイヤーホーファー(チーム ディーエスエム、ドイツ)
9 ロレンツォ・ロータ(アンテルマルシェ・サーカス・ワンティ、イタリア)
10 シモーネ・ヴェラスコ(アスタナ・カザクスタン チーム、イタリア)
148 新城幸也(バーレーン・ヴィクトリアス、日本)+18’25”

個人総合時間賞(マリア・ローザ)

1 アンドレアス・レックネスン(チーム ディーエスエム、ノルウェー) 22:50’48”
2 レムコ・エヴェネプール(スーダル・クイックステップ、ベルギー)+0’28”
3 オレリアン・パレパントル(アージェードゥーゼール・シトロエン チーム、フランス)+0’30”
4 ジョアン・アルメイダ(UAEチームエミレーツ、ポルトガル)+1’00”
5 プリモシュ・ログリッチ(ユンボ・ヴィスマ、スロベニア)+1’12”
6 ゲラント・トーマス(イネオス・グレナディアーズ、イギリス)+1’26”
7 アレクサンドル・ウラソフ(ボーラ・ハンスグローエ)ST
8 トムス・スクインシュ(トレック・セガフレード、ラトビア)+1’29”
9 テイオ・ゲイガンハート(イネオス・グレナディアーズ、イギリス)+1’30”
10 ヴィンチェンツォ・アルバネーゼ(エオーロ・コメタ、イタリア)+1’39”
159 新城幸也(バーレーン・ヴィクトリアス、日本)+1:01’24”

ポイント賞(マリア・チクラミーノ)

ジョナサン・ミラン(バーレーン・ヴィクトリアス、イタリア)

山岳賞(マリア・アッズーラ)

ティボー・ピノ(グルパマ・エフデジ、フランス)

ヤングライダー賞(マリア・ビアンカ)

アンドレアス・レックネスン(チーム ディーエスエム、ノルウェー)

チーム総合時間賞

イネオス・グレナディアーズ 68:36’13”

▼ジロ・デ・イタリア2023スタートリスト&コースプレビューはこちら

ジロ・デ・イタリア2023

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PROFILE

福光俊介

福光俊介

サイクルジャーナリスト。サイクルロードレースの取材・執筆においては、ツール・ド・フランスをはじめ、本場ヨーロッパ、アジア、そして日本のレースまで網羅する稀有な存在。得意なのはレースレポートや戦評・分析。過去に育児情報誌の編集長を務めた経験から、「読み手に親切でいられるか」をテーマにライター活動を行う。国内プロチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。国際自転車ジャーナリスト協会会員。

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