ネイサン・アールが富士山を独走し勝利、総合リーダーを獲得|ツアー・オブ・ジャパン
Bicycle Club編集部
- 2023年05月26日
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5月21日から28日の8日間にかけて開催されているツアー・オブ・ジャパン2023(以下、TOJ)。大会6日目となる5月26日は第6ステージとして富士山ステージがふじあざみラインで開催された。
レースは序盤からリーダージャージを着る岡 篤志や富士山ステージでの優勝候補筆頭であるネイサン・アール擁するJCL TEAM UKYOがペースをコントロールすると、つづら折り区間からのベンジャミン・ダイボール(ヴィクトワール広島)のペースコントロールによって集団の人数がどんどんと減っていく。
残り4km地点でダイボールとアールの2名が先頭と、去年と同じような展開になると、今年はアールがアタックして単独先頭に。
ダイボールもアールが見える位置で走りはするものの、アールをとらえることはできず、約30秒差でアールが逃げ切り、独走でステージ優勝を飾るとともに、総合でもリーダーの座を獲得した。
総合争いが大きく動くクイーンステージ・富士山ステージ
5月21日から28日の8日間にかけて開催されているツアー・オブ・ジャパン2023。
大会6日目となる5月26日は第6ステージとして富士山ステージがふじあざみラインで開催された。今年の富士山ステージは道の駅すばしりからふじざさみラインを上る11.4kmのショートステージでの開催。しかし、ふじあざみラインは平均勾配10%、最大勾配22%と国内屈指のヒルクライムコースとして知られる。
ステージとしての距離は短くなったものの、その存在感は例年どおり変わらず、クイーンステージとして今年も日本一の山・富士山が総合争いを大きく左右することが予想された。
リーダーチームであるJCL TEAM UKYOがコントロール
前日の信州飯田ステージを終え、16チーム・84名の選手が富士山ステージのスタートラインにつく。
レースがスタートすると、序盤の直線区間ではモハマド・ヌル・アイマン・モフド・ザリフ(トレンガヌ・ポリゴン・サイクリングチーム)がアタックするも、メイン集団はチーム右京がペースをコントロールし、すぐに吸収。
その後も直線区間ではチーム右京のコントロールが続く。
直線区間を終え、残り8km地点あたりからのつづら折り区間に突入すると、昨年の富士山ステージ覇者であるベンジャミン・ダイボールが先頭に立ってペースを作りながら集団の人数を減らしていく。
コース中盤の馬返ポイントの時点で先頭が5名に絞られると、残り4km地点でアールとダイボールのマッチレースからアールが単独でアタックし、アールが単独で先頭に立つ。
アールがクイーンステージを制すとともに総合リーダーの座も獲得
ダイボールからアールの背中は見える位置にいるものの、その差を詰めることができず、ある種の行き詰まり状態が続く。
アールはそのままのペースでダイボールとの差が広がりもせず、かといって縮まりもしない形で進み、ダイボールに対して34秒のタイム差でステージ優勝を決める。
富士山ステージスタート時の総合リーダーである岡 篤志(JCL TEAM UKYO)とは3分51秒の差がつき、総合リーダーの座は岡からアールへとチーム内で移動することとなった。
2位にはダイボールが入り、3位には5名の先頭集団に残っていたドリュー・モレ(キナンレーシングチーム)が、4位にはスプリントも得意なオールラウンダーのベンジャミ・プラデス(JCL TEAM UKYO)が入り、そして中盤にちぎれたように見えていた小林 海(マトリックスパワータグ)が今年も周りのペースに惑わされずに走ったことで日本人最上位となる5位でフィニッシュを決めた。
JCL TEAM UKYOの選手が総合成績で1位、3位、4位を占める中、ダイボールは47秒差で2位につける。明日の相模原ステージでダイボールがJCL TEAM UKYOの牙城を崩し、総合逆転を狙うのか注目が集まる。
また、3位から7位の選手までのタイム差は44秒と非常に僅差となっている。上位7名のうち、JCL TEAM UKYOの選手が3名、ヴィクトワール広島の選手が3名、キナンレーシングチームの選手が1名と、UKYOと広島の選手が多く占めているだけに、ダイボールの総合と合わせてキンテロやベトルスが総合表彰台に向けた動きを見せるのか、総合争い最終日となる相模原ステージでの各チームの動きに注目だ。
山岳賞ポイントは兒島とキンテロの差が3点にまで縮まる
6位にはレオネル・キンテロ・アルテアガ(ヴィクトワール広島)が入る。
キンテロは昨年のツール・ド・熊野では山岳コースである丸山千枚田・札立峠で先頭集団に最後まで残り、スプリントでステージ優勝を挙げているだけに決して上れない選手ではないが、昨年ステージ3位に入っているトマ・ルバ(キナンレーシングチーム)よりも1つ上の順位でフィニッシュすることは予想できていなかった。
この結果を受け、キンテロは山岳賞ポイントを5ポイント獲得。山岳賞リーダーである兒島直樹はノーポイントで終わったため、その差が3ポイントにまで縮まった。
明日の相模原ステージでは2級山岳としてのポイントが3回設定されており、仮にキンテロがすべて1着、兒島が2着となると1ポイント差で逆転ということになる。ここまで逃げ続けてポイントを獲得し続けてきた兒島が山岳賞ジャージを守るか、キンテロが後半3連戦で山岳賞ジャージを逆転するか、はたまた富士山ステージで上位に入ったアールやダイボール、カーター・ベトルス(ヴィクトワール広島)らが山岳賞ジャージを獲得しようと動いてくるのか、明日は総合争いとともに山岳賞争いにも注目だ。
後半ステージの様子はこちら
リザルト 第6ステージ 富士山ステージリザルト
ステージリザルト
1位:ネイサン・アール(JCL TEAM UKYO) 40分14秒
2位:ベンジャミン・ダイボール(ヴィクトワール広島) +34秒
3位:ドリュー・モレ(キナンレーシングチーム) +1分19秒
4位:ベンジャミ・プラデス(JCL TEAM UKYO) +1分23秒
5位:小林 海(マトリックスパワータグ) +2分4秒
6位:レオネル・キンテロ・アルテアガ(ヴィクトワール広島) +2分17秒
個人総合成績
1位:ネイサン・アール(JCL TEAM UKYO) 12時間59秒5秒
2位:ベンジャミン・ダイボール(ヴィクトワール広島) +47秒
3位:岡 篤志(JCL TEAM UKYO) +1分7秒
4位:ベンジャミ・プラデス(JCL TEAM UKYO) +1分15秒
5位:ドリュー・モレ(キナンレーシングチーム) +1分34秒
6位:レオネル・キンテロ・アルテアガ(ヴィクトワール広島) +1分46秒
ポイント賞総合成績
1位:ルーク・ランパーティ(トリニティ・レーシング) 72ポイント
2位:岡 篤志(JCL TEAM UKYO) 60ポイント
3位:カーター・ベトルス(ヴィクトワール広島) 53ポイント
山岳賞総合成績
1位:兒島直樹(チームブリヂストンサイクリング) 29ポイント
2位:レオネル・キンテロ・アルテアガ(ヴィクトワール広島) 26ポイント
3位:カーター・ベトルス(ヴィクトワール広島) 18ポイント
新人賞総合成績
1位:リアム・ジョンストン(トリニティ・レーシング) 13時間2分8秒
大会公式サイトhttps://www.toj.co.jp
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