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華やかなバスク開幕と国情不安のフランス入国-ツール・ド・フランス-|小玉 凌のツール取材記

気鋭の若手サイクルジャーナリスト、小玉 凌さんがキャリア2回目となるツール・ド・フランス取材に赴いている。熱を帯びる日々のステージとともに進んでいく3週間の旅。レースそのものにとどまらず、その傍らで起こった出来事や、“ここだけの話題”なども日本のファンに向けてレポートする。

その第2回は、大会第2週を終えて、開幕地スペイン・ビルバオへいま一度思いを馳せます。さらには国情が不安定なフランスへの入国まで。

110回目となるツール・ド・フランスがスペイン・ビルバオの地で開幕

本編はレースが進む中で起こったことや、開催地での政情、などさまざまなトピックを交えながらジャーナリスト目線でつづったサイドレポートになってます。

大会第1週を終えたいま、開幕地ビルバオがとても恋しく感じています。改めて、チームプレゼンテーションから第3ステージまでを過ごしたバスク地方での日々を紹介。

-チームプレゼンテーション- 暖かい拍手が巻き起こる

Photo: Ryo KODAMA

チームプレゼンテーションはビルバオ・グッゲンハイム美術館の前で。
バスク・ベレーをかぶったバーレーン・ヴィクトリアスから順に紹介が始まります。

22チーム・176名が登壇。紹介前にツール・ド・スイスで命を落としたジノ・メーダーへの黙祷が行われた Photo: Ryo KODAMA

進行の半分も満たない頃から雨が降り出すと次第に雨足は強まり、気温はとたんに下がります。後半のユンボ・ヴィズマのタームではワウト・ファンアールトが思わず「寒いのは苦手だ」と言葉をこぼしてしまうほど。

Photo: Ryo KODAMA

全ての選手がコールされる頃には雨が上がりますが、少しこたえる気温だったかもしれません……。

ちなみに選手らがかぶったバスク・ベレーは大会から与えられたもので、全てゼッケンナンバーが刺繍されている特別仕様。第1ステージ以降も着用するチームが見られました。

47番はEFエデュケーション・イージーポストのジェームズ・ショー Photo: Ryo KODAMA

-第1ステージ- まず向かったのは

アダムーサイモンのイェーツ兄弟によるワン・ツーフィニッシュが生まれたこの日。グランデパール・ビルバオからパリへの長い旅が始まりました。朝、スタート地点のサン・マメス スタジアムに到着すると我々は早速パドック(チームピット)を訪れます。

Photo: Ryo KODAMA

個人的に気になっていたのが、ツール現場とCOVID-19の関係。

今年のジロ・デ・イタリアでは陽性反応を受けたレムコ・エヴェネプール(スーダル・クイックステップ、ベルギー)が大会からの途中離脱を余儀なくされたように、無視できないポイントです。レース主催者は取材者向けのメッセンジャーツールで頻繁にマスクの着用を促していたので、シビアなのかと思いきや比較的穏やかな様子。UCI(国際自転車競技連合)が設けたプロトコルにはのっとった措置が取られていますが、油断は禁物。

昨年のツールでは陽性者が多数出たことで、2週目以降、選手との距離が大きく設けられています。感染予防対策はチームによって異なっているようですが、とにかくライダーが守られ、無事にレースを終えられることを望みます。

Photo: Ryo KODAMA
チームスタッフは必ずマスクをつけている Photo: Ryo KODAMA

-第2ステージ- 前日のレースを振り返りながら

距離208kmの長旅でありながら平均速度は時速43.7kmを記録。プロトンはビトリア・ガスティスの高台からサン・セバスティアンまであっという間に帰ってきました。

ステージが1つ終わり、ようやくレース内容についての話題がのぼります。

第1ステージを振り返ると、個人総合時間賞の行く末を占う重要な日でした。「白のポガチャル、黄色のアダム、UAEの主役は誰?」「終盤のユンボ・ヴィスマの動きは長いツールを見据えているから?」などなど。

“イェーツ兄弟対決”はアダムに軍配でマイヨ・ジョーヌ。ポガチャルも3位でUAE躍動|ツール・ド・フランス

まだ序盤である故、的を射た話は上がりませんが、UAEチームエミレーツとユンボ・ヴィスマがマイヨ・ジョーヌ争いに絡むと見立てて間違いないでしょう。これから訪れるであろう好勝負に期待が膨らんだ1日でした。

Photo: Ryo KODAMA

-第3ステージ- フランス歓喜の素晴らしい一日だったが

ヴィクトル・ラフェ(コフィディス、フランス)の勝利に沸いた翌日。レキップ紙(フランスのスポーツ新聞)では大きく切り抜かれた彼が表紙を飾ります。

同系列の紙面でもこの勝利が取り上げられますが、これに加えて暴動のニュースが主見出しに。警官が少年の命を奪ってしまった事件をきっかけにフランスの大都市を中心に暴動が拡散しているとのこと。今のところ直接レースに影響は出ていませんが、何らかの形であおりを受けることや、レーススケジュールに変更を及ぼすことも十分考えられます。

第3ステージをもってツールがフランスに入国した手前、レース運営は警戒力を強める必要がありそうです。

Photo: Ryo KODAMA

また、よからぬニュースがもう一つ。

第2ステージの終盤でリリアン・カルメジャーヌ(アンテルマルシェ・サーカス・ワンティ、フランス)のタイヤに大量の釘が刺さったとのこと。4位でフィニッシュしたトーマス・ピドコック(イネオス・グレナディアーズ、イギリス)もスローパンクしていたようで、数選手が許し難い被害を受けています。

Photo: Ryo KODAMA

バスクからフランスへ

実質レースが始まってまだ3日ながら、立て続けに起こる難題に驚いています。

改めて世界最大規模のスポーツイベントであること、そしてその進行がいかに大変であるかを感じています。

バスク地方をつなぐ道では声援とともに白と緑の十字の旗がなびいていました。本拠地に戻ってきたツールが最後まで歓迎され、トリコロール旗がたくさん振られることを祈ります。

Photo: Ryo KODAMA

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Bicycle Club編集部

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ロードバイクからMTB、Eバイク、レースやツーリング、ヴィンテージまで楽しむ自転車専門メディア。ビギナーからベテランまで納得のサイクルライフをお届けします。

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