BRAND

  • FUNQ
  • ランドネ
  • PEAKS
  • フィールドライフ
  • SALT WORLD
  • EVEN
  • Bicycle Club
  • RUNNING style
  • FUNQ NALU
  • BLADES(ブレード)
  • flick!
  • じゆけんTV
  • buono
  • eBikeLife
  • HATSUDO
  • Kyoto in Tokyo

STORE

  • FUNQTEN ファンクテン

MEMBER

  • EVEN BOX
  • PEAKS BOX
  • Mt.ランドネ
  • Bicycle Club BOX

ヒンドレーが独走で首位、ヴィンゲゴーがポガチャル引き離す|ツール・ド・フランス

ツール・ド・フランスはピレネー山脈へ。162.7kmで争われた第5ステージは、今大会1つ目の超級山岳コル・ド・スデや、1級山岳コル・ド・マリー・ブランクなどを上る本格山岳ルート。フィニッシュ前約20kmでアタックを成功させたジャイ・ヒンドレー(ボーラ・ハンスグローエ、オーストラリア)が独走に持ち込み、逃げ切りに成功。ステージを取るとともに、マイヨ・ジョーヌにも袖を通している。また、ヨナス・ヴィンゲゴー(ユンボ・ヴィスマ、デンマーク)のアタックにタデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ、スロベニア)がついていけず、両者の間に1分以上の差が生まれている。

大人数の逃げに潜り込んだヒンドレー

ここまで丘陵地や平坦路を進んできたプロトンだが、大会5日目にして本格山岳ステージを迎えることとなった。ツールではおなじみのポーの街を出発し、ピレネーの麓にあるラランスを目指す162.7km。中間地点で超級山岳コル・ド・スデ(登坂距離15.2km、平均勾配7.2%)に達し、3級の上りを挟んで、最後は1級山岳コル・ド・マリー・ブランク(7.7km、8.6%、最大勾配13.6%)を登坂。頂上に近づくにつれて勾配がハードになるのが特徴だ。頂上通過後の18.5kmはテクニカルなダウンヒルと平坦路。3年前にもほぼ同じルートが採用されており、そのときはポガチャルが勝っている。

© A.S.O. / Pauline Ballet

スタートに並んだのは172選手。前日のステージでクラッシュに巻き込まれた選手のうち、ルイスレオン・サンチェス(アスタナ・カザクスタン チーム、スペイン)が鎖骨を、ジャコポ・グアルニエーリ(ロット・デスティニー、イタリア)が肋骨をそれぞれ骨折。このステージの出走を断念している。

パレード走行ののちリアルスタートが切られると、アタックが多発。ピエール・ラトゥール(トタルエナジーズ、フランス)がしばらく1人逃げの状態になるが、完全にリードを得るところまでは至らない。集団のペースも速く、ファビオ・ヤコブセン(スーダル・クイックステップ、オランダ)が早々に遅れ始める。また、マティアス・スケルモース(リドル・トレック、デンマーク)が落車するが、すぐにバイクに戻っている。

© A.S.O. / Pauline Ballet

出入りの激しい流れが続く中、ポガチャルが前をうかがう素振りも。スタートから30kmほど進んだところで、ワウト・ファンアールト(ユンボ・ヴィスマ、ベルギー)やジュリアン・アラフィリップ(スーダル・クイックステップ、フランス)らを含んだ30人以上のグループが先行を開始。集団が割れるような形で、大人数の先頭グループが組まれることになった。

© A.S.O. / Pauline Ballet

最大で36人に膨らんだ先頭グループ。ここにワウトやアラフィリップのほか、ヒンドレーらも入って先を急ぐ。メイン集団はリーダーチームのUAEチームエミレーツがコントロールを担って2分程度のタイム差を保つ。

48.8km地点に設定された中間スプリントポイントに向けては、先頭グループからワウトやマッズ・ピーダスン(リドル・トレック、デンマーク)、ヴィクトル・カンペナールツ(ロット・デスティニー、ベルギー)が抜け出して上位通過を目指す。そこにブライアン・コカール(コフィディス、フランス)も加わり、狙いどおり1位通過に成功。2位にピーダスンが続き、ポイント加算をしている。

© A.S.O. / Pauline Ballet

やがてコル・ド・スデを上り始めると、先頭はワウトとカンペナールツの2人に。数十秒差で他の逃げメンバーが続き、頂上前2.5kmでワウトらに合流。同時に先頭メンバーのシャッフルがあり、ヒンドレー、ジュリオ・チッコーネ(リドル・トレック、イタリア)、フェリックス・ガル(アージェードゥーゼール・シトロエン チーム、オーストリア)、クリスツ・ニーランズ(イスラエル・プレミアテック、ラトビア)が前へ。そこからさらにガルがアタックして、単独で頂上を通過。山岳ポイント20点を獲得し、バーチャルで山岳賞トップに立った。一方、メイン集団は3分ほどのタイム差となるが、淡々と進行。ポガチャルがバイク交換をしているが、走りに影響はなく、問題なく集団に復帰している。

© A.S.O. / Pauline Ballet

その後の下りと平坦で多くの選手が先頭に復帰。フィニッシュまで60kmを残したところで先頭グループは17人。残り53kmでニーランズがアタックし独走を始めると、さらに13kmほど進んだところでワウトとアラフィリップも飛び出して、2番手パックを形成した。

ニーランズは3級山岳をトップ通過し、少しおいてワウトとアラフィリップが合流。先頭は3人になり、他の逃げメンバーとは約20秒差。この時点でメイン集団とは3分25秒差。UAEチームエミレーツのペースコントロールによってその差は2分台に縮まるが、前の選手たちの逃げ切りの可能性が少しずつ高まっていく。

© A.S.O. / Pauline Ballet

大きな局面は、この日最後の上りであるコル・ド・マリー・ブランクで起きた。残り20kmに前後して先頭がシャッフルし、ヒンドレーがガルが最前線へ。さらにヒンドレーがアタックして独走に持ち込むと、後ろとの差は広がる一方。

© A.S.O. / Pauline Ballet

その後ろでも決定的なシーンが起き、セップ・クス(ユンボ・ヴィスマ、アメリカ)の引きでメイン集団が破壊されると、追随できたのはヴィンゲゴーとポガチャルだけ。タイミングを計ったかのようにヴィンゲゴーがアタックすると、ポガチャルがついていけない。勢いづくヴィンゲゴーとは対照的に、ポガチャルは抑え役に回ったクスにピッタリマークされ、頂上通過後の下りでもスピードに乗せきれない。上りで一度は遅れたアダム・イェーツ(UAEチームエミレーツ、イギリス)ら総合系ライダーが含まれるグループに追いつかれ、一緒に遅れの回復を目指した。

快調に飛ばし続けたヒンドレーは、一番にフィニッシュ地ラランスへとやってきた。総合成績がかかっていることもあり、最後まで集中して走っている様子だったが、フィニッシュラインが見えてくると満面の笑顔。ツール初勝利を決めた。

27歳のヒンドレーは、意外にもこれがツール初出場。昨年はジロ・デ・イタリアで個人総合優勝を挙げ、グランツールレーサーとして確たる地位を築いているが、これまでは山岳の比重を優先しツールは回避していた。ただ、今回はタイムトライアルの比重が低めになり、山岳での争いがメインとあって、初のツール参戦を決めた。そこで勝利を収めたばかりか、このステージを終えての個人総合首位にも。マイヨ・ジョーヌに袖を通し、喜びを隠そうとはしなかった。

© A.S.O. / Pauline Ballet

後ろも熾烈を極め、マリー・ブランクでポガチャルを引き離したヴィンゲゴーは、下りで逃げ残りの選手たちを次々パス。チッコーネやエマヌエル・ブッフマン(ボーラ・ハンスグローエ、ドイツ)らのマークを受けながらも前を目指し続け、ヒンドレーとのタイム差を30秒台に。2番手を走っていたガルも捕まえ、最後は4人で最終局面へ。ここはチッコーネが先着したが、ヴィンゲゴーはヒンドレーから34秒差でのフィニッシュ。

そこからさらに1分4秒差でやってきたのが、ポガチャルらのグループ。スケルモースやアダム、サイモン・イェーツ(チーム ジェイコ・アルウラー、イギリス)ダヴィド・ゴデュ(グルパマ・エフデジ、フランス)、カルロス・ロドリゲス(イネオス・グレナディアーズ、スペイン)といった総合系ライダーと一緒にフィニッシュラインを越えた。

© A.S.O. / Pauline Ballet

これらの結果から、十分なリードとマリー・ブランク頂上に置かれたボーナスタイム8秒などを重ねたヒンドレーが個人総合でトップに立ち、猛追したヴィンゲゴーは総合タイム差47秒で2位に。チッコーネが1分3秒差の3位に続き、ポガチャルは1分40秒差の6位。マイヨ・ジョーヌでスタートしたアダムも5位に落とし、ジャージを失った3年前の再現となってしまった。

総合成績の大シャッフルが起きた1日を終え、次もピレネーの山岳ステージ。6日に行う第6ステージは、タルブからコトレ・カンバスクまでの144.9kmで、今大会1つ目の山頂フィニッシュ。中盤以降の上級山岳が立て続けに出てきて、超級山岳トゥールマレーでは標高2115mまで上がる。31kmに及ぶダウンヒルをこなして、最後の1級山岳コトレ・カンバスクは登坂距離16kmで、平均勾配5.4%。突如急勾配が出てくるような変化に満ちた上りで、攻略は一筋縄ではいかないだろう。

ステージ優勝、個人総合時間賞 ジャイ・ヒンドレー コメント

© A.S.O. / Pauline Ballet

「逃げに乗ることは予定になく、アドリブのようなものだった。今日はレースを楽しみたかったし、そのとおりに走ることができた。できるだけ総合タイムを稼ぎたいと思っていて、ステージ優勝も狙っていった。本当にマイヨ・ジョーヌが手に入るだなんて思いもよらなかったよ。ツールは初出場で、とてもやる気に満ちている。十分なトレーニングを積んで、それを今大会で発揮したいと思っていた。間違いなく、この1勝が大きな自信になるだろう」

ツール・ド・フランス2023 第5ステージ結果

ステージ結果

1 ジャイ・ヒンドレー(ボーラ・ハンスグローエ、オーストラリア) 3:57’07”
2 ジュリオ・チッコーネ(リドル・トレック、イタリア)+0’32”
3 フェリックス・ガル(アージェードゥーゼール・シトロエン チーム、オーストリア)ST
4 エマヌエル・ブッフマン(ボーラ・ハンスグローエ、ドイツ)
5 ヨナス・ヴィンゲゴー(ユンボ・ヴィスマ、デンマーク)+0’34”
6 マティアス・スケルモース(リドル・トレック、デンマーク)+1’38”
7 ダニエル・マルティネス(イネオス・グレナディアーズ、コロンビア)ST
8 タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ、スロベニア)
9 ダヴィド・ゴデュ(グルパマ・エフデジ、フランス)
10 カルロス・ロドリゲス(イネオス・グレナディアーズ、スペイン)

個人総合時間賞(マイヨ・ジョーヌ)

1 ジャイ・ヒンドレー(ボーラ・ハンスグローエ、オーストラリア) 22:15’12”
2 ヨナス・ヴィンゲゴー(ユンボ・ヴィスマ、デンマーク)+0’47”
3 ジュリオ・チッコーネ(リドル・トレック、イタリア)+1’03”
4 エマヌエル・ブッフマン(ボーラ・ハンスグローエ、ドイツ)+1’11”
5 アダム・イェーツ(UAEチームエミレーツ、イギリス)+1’34”
6 タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ、スロベニア)+1’40”
7 サイモン・イェーツ(チーム ジェイコ・アルウラー、イギリス)ST
8 マティアス・スケルモース(リドル・トレック、デンマーク)+1’56”
9 カルロス・ロドリゲス(イネオス・グレナディアーズ、スペイン)ST
10 ダヴィド・ゴデュ(グルパマ・エフデジ、フランス)

ポイント賞(マイヨ・ヴェール)

ヤスペル・フィリプセン(アルペシン・ドゥクーニンク、ベルギー)

山岳賞(マイヨ・アポワ)

フェリックス・ガル(アージェードゥーゼール・シトロエン チーム、オーストリア)

ヤングライダー賞(マイヨ・ブラン)

タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ、スロベニア)

チーム総合時間賞

ユンボ・ヴィスマ 66:50’39”

SHARE

PROFILE

福光俊介

福光俊介

サイクルジャーナリスト。サイクルロードレースの取材・執筆においては、ツール・ド・フランスをはじめ、本場ヨーロッパ、アジア、そして日本のレースまで網羅する稀有な存在。得意なのはレースレポートや戦評・分析。過去に育児情報誌の編集長を務めた経験から、「読み手に親切でいられるか」をテーマにライター活動を行う。国内プロチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。国際自転車ジャーナリスト協会会員。

福光俊介の記事一覧

サイクルジャーナリスト。サイクルロードレースの取材・執筆においては、ツール・ド・フランスをはじめ、本場ヨーロッパ、アジア、そして日本のレースまで網羅する稀有な存在。得意なのはレースレポートや戦評・分析。過去に育児情報誌の編集長を務めた経験から、「読み手に親切でいられるか」をテーマにライター活動を行う。国内プロチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。国際自転車ジャーナリスト協会会員。

福光俊介の記事一覧

No more pages to load