BRAND

  • FUNQ
  • ランドネ
  • PEAKS
  • フィールドライフ
  • SALT WORLD
  • EVEN
  • Bicycle Club
  • RUNNING style
  • FUNQ NALU
  • BLADES(ブレード)
  • flick!
  • じゆけんTV
  • buono
  • eBikeLife
  • Kyoto in Tokyo

STORE

MEMBER

  • EVEN BOX
  • PEAKS BOX
  • Mt.ランドネ

ヤスペル・フィリプセンが初優勝! 終盤はマチューが好アシスト|ミラノ~サンレモ

ロードレースシーンは春のクラシックシーズンへ。伝統と格式ある“モニュメント”のひとつであるミラノ~サンレモが現地3月16日に行われ、勝負どころポッジオで抜け出した12人がそのまま優勝争いへ。最後はスプリントでヤスペル・フィリプセン(アルペシン・ドゥクーニンク、ベルギー)が先着。初のモニュメント制覇を果たした。

288kmの長丁場、留目夕陽が初出場

今回で115回目を迎えた伝統の一戦は、開催地イタリアでは春を意味する「ラ・プリマヴェーラ」との愛称を持つ。どのワンデーレースよりも長い300km近いレース距離が特徴で、6時間以上走った末に勝者が決まる。

© LaPresse

かつては大集団でのスプリント勝負か、終盤の丘越えで絞られた人数から勝者が出るかが見どころとされたが、近年は後者が多い傾向にある。前回はマチュー・ファンデルプール(アルペシン・ドゥクーニンク、オランダ)、前々回はマテイ・モホリッチ(バーレーン・ヴィクトリアス、スロベニア)がともに独走勝利。特にモホリッチは、レバーひとつでサドル高を変えられるMTBに多く用いられる「ドロッパーシートポスト」を採用していたことで大きな注目を集めた。

© LaPresse

288kmに設定された今回は、連覇を目指すマチューやモホリッチはもちろん、タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ、スロベニア)も3度目の参戦。EFエデュケーション・イージーポストは留目夕陽がメンバー入りし、この3日前に行われたミラノ~トリノを制しているアルベルト・ベッティオル(イタリア)を支えることになった。

© LaPresse

ポガチャルらのアタック決まらず、スプリント決戦はフィリプセンに軍配

リアルスタートから20kmほどで11人が先頭グループを形成。メイン集団はアルペシン・ドゥクーニンクやリドル・トレックがアシストを出して、淡々とペーシング。前とは2~3分のタイム差を保って、レース中盤まで進行させた。途中、留目がカルロス・カナル(モビスター チーム、スペイン)と接触したが、ともに大事には至らずに集団へと戻っている。

© LaPresse

イタリアン・リヴィエラのリグーリア海岸沿いに出ると、集団は少しずつペースアップ。スタートから200km地点を過ぎ、さらに30kmほど進んだところから始まる丘陵区間では、ポガチャル擁するUAEチームエミレーツが一気にスピードを上げる。これで、優勝経験のあるアレクサンダー・クリストフ(ウノエックスモビリティ、ノルウェー)や、ヨーロッパチャンピオンジャージを着るクリストフ・ラポルト(ヴィスマ・リースアバイク、フランス)らが遅れてしまった。

© LaPresse

数人の逃げを前線に残しつつ、メイン集団は要所のひとつであるチプレッサ(登坂距離5.6km、平均勾配4.1%、最大勾配9%)へ。ここもUAEチームエミレーツが引き続け、逃げとのタイム差は急速に縮小。集団の人数も50人いるかどうかまで絞り込まれた。

最終登坂のポッジオ(3.7km、3.7%、8%)に向かっては、リドル・トレックがペーシング。序盤から逃げていた選手たちをすべて捕らえて、勝負は完全にメイン集団に残ったメンバーのものとなる。チューダープロサイクリングを先頭に、運命のポッジオへと突入した。

上り始めてしばらくは数チームによる主導権争いが見られたが、ティム・ウェレンス(UAEチームエミレーツ、ベルギー)が先頭に立つと、再びポガチャルも前方へ。これをマチューやベッティオル、フィリッポ・ガンナ(イネオス・グレナディアーズ、イタリア)、マッズ・ピーダスン(リドル・トレック、デンマーク)らがチェック。そして、勾配が最も厳しくなる頂上手前1kmのポイントで、ポガチャルがアタックした。

© LaPresse

ただ、徹底的にポガチャルをマークする選手たちがすぐに反応し、リードを与えない。頂上手前200mで再びポガチャルが仕掛けたが、少し間を置いてダンシングを始めたマチューが下りに入ってから追いつき、他のメンバーも続々と合流した。

12人までに絞り込まれた優勝争い。下り終える直前でモホリッチがアタックすると、これもマチューが捨て身の追走。残り1.2kmで追いつくと、代わってマッテオ・ソブレロ(ボーラ・ハンスグローエ、イタリア)抜け出し、さらにカウンターでトーマス・ピドコック(イネオス・グレナディアーズ、イギリス)が飛び出した。

ここもマチューが追走し、ヤスペル・ストゥイヴェン(リドル・トレック、ベルギー)もピーダスンを引き上げながら上がってくる。最終ストレートに入り、フィニッシュまで数百メートルでピドコックをつかまえると、優勝をかけたスプリントがついに始まった。

フィニッシュに向かって右側からピーダスン、逆サイドからマイケル・マシューズ(ジェイコ・アルウラー、オーストラリア)が加速し、さらにマシューズの脇からはフィリプセンが伸びてくる。一瞬コース脇のバリアーに押し寄せられかけたフィリプセンだったが、強引にスプリントラインをこじ開けてマシューズに並ぶ。両者がハンドルを投げてフィニッシュラインを通過すると、写真判定の結果フィリプセンの優勝が確定した。

© LaPresse

レーススピードは史上最速の46.11km/h

フィリプセンとマシューズの差はわずか5cmほど。勝ったフィリプセンはポッジオを越えた後に、数十m先行しポガチャルのチェックに入っていたマチューと無線で交信。調子が良かったこともあり、スプリント勝負したい旨を伝えていたという。それを受けてアシストに回ったマチューは、最終盤でのモホリッチやソブレロのアタックを猛追。フィリプセンを勝利に導いた。

© LaPresse

さすがに最終局面は「どうなるか不安で怖さしかなかった」というフィリプセンだが、ここ一番でのスピードと勝負強さはピカイチ。マチューとのホットラインはこれまで何度も成功させており、昨年のツール・ド・フランスでのスプリント勝利量産や、パリ~ルーベでのワン・ツーフィニッシュ(マチューが優勝し、フィリプセンは2位)といった大きな成果を上げてきている。

あと一歩及ばず2位だったマシューズは、フィニッシュ前50mでアイウェアが外れるトラブルがありながらも表彰台を確保。3月に入り体調を崩したことで、パリ~ニースを回避。この大会にギリギリ間に合わせて臨んでいた。優勝できなかったことを悔やみつつも、「自分の走りには誇りを持っている」と胸を張った。

スプリント力の高い2人に続いたのがポガチャルだった。3回の出場では、5位・4位・3位とひとつずつ順位をアップ。ポッジオでの再三のアタックには、「僕のようなクライマーがハードな展開にするのは難しかった」と、厳しいマークに遭いながらのレースを振り返った。どうしても優勝したいレースにミラノ~サンレモを挙げ、「また挑戦する」と宣言。「今度は2位じゃなくて何としても優勝する」と述べて、大会を去った。

© LaPresse

留目はフィリプセンから4分40秒差の94位でモニュメント初完走。EFエデュケーション・イージーポストはエースのベッティオルが5位に入っており、アシストとして上位進出に貢献している。

なお、今回は平均レーススピードが46.11km/hと、昨年マークされた45.773km/hの最速記録を更新。ポガチャルはポッジオ登坂で5分39秒の区間新記録をマークするなど、プロトンのスピード化を象徴するレースにもなった。

ミラノ~サンレモ2024 結果

1 ヤスペル・フィリプセン(アルペシン・ドゥクーニンク、ベルギー) 6:14’44”
2 マイケル・マシューズ(ジェイコ・アルウラー、オーストラリア)ST
3 タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ、スロベニア)
4 マッズ・ピーダスン(リドル・トレック、デンマーク)
5 アルベルト・ベッティオル(EFエデュケーション・イージーポスト、イタリア)
6 マテイ・モホリッチ(バーレーン・ヴィクトリアス、スロベニア)
7 マキシム・ファンヒルス(ロット・デスティニー、ベルギー)
8 ヤスペル・ストゥイヴェン(リドル・トレック、ベルギー)
9 ジュリアン・アラフィリップ(スーダル・クイックステップ、フランス)
10 マチュー・ファンデルプール(アルペシン・ドゥクーニンク、オランダ)
94 留目夕陽(EFエデュケーション・イージーポスト)+4’40”

SHARE

PROFILE

福光俊介

福光俊介

サイクルジャーナリスト。サイクルロードレースの取材・執筆においては、ツール・ド・フランスをはじめ、本場ヨーロッパ、アジア、そして日本のレースまで網羅する稀有な存在。得意なのはレースレポートや戦評・分析。過去に育児情報誌の編集長を務めた経験から、「読み手に親切でいられるか」をテーマにライター活動を行う。国内プロチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。国際自転車ジャーナリスト協会会員。

福光俊介の記事一覧

サイクルジャーナリスト。サイクルロードレースの取材・執筆においては、ツール・ド・フランスをはじめ、本場ヨーロッパ、アジア、そして日本のレースまで網羅する稀有な存在。得意なのはレースレポートや戦評・分析。過去に育児情報誌の編集長を務めた経験から、「読み手に親切でいられるか」をテーマにライター活動を行う。国内プロチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。国際自転車ジャーナリスト協会会員。

福光俊介の記事一覧

No more pages to load