熟成酒と最高の相性。発酵食のアテはいかが?
buono 編集部
- 2017年07月04日
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今、静かなブームがきている「日本酒の熟成酒」。ワインやウイスキーばかりでなく、寝かせて「熟成」を楽しむ日本酒があるのだ。味に深みが増した熟成酒に合わせるには、同じく時を重ねた発酵食がぴったり。話題の熟成酒と、ともに堪能したいとっておきのアテレシピを、発酵食の第一人者に伺った。
「熟成酒には発酵食」のワケ
年月を費やし、深みとまろみが増した『円熟の酒』、熟成酒。奥行きのある味わいをゆったりと楽しみたいこの酒には、同じく時間をかけて生み出された『発酵食』を合わせたい。
発酵を広める第一人者である「kamose」代表・伏木暢顕氏は、「熟成酒は時間をかけて寝かせることで、落ち着きが生まれ、優しい味わいとなります。熟成酒に見合うアテとなれば、やはり麹を活かした発酵食ということになるでしょう」と語る。
「熟成酒はグイグイと呑むものではありませんね。作られた時と同様、ゆっくりと時間をかけて味わっていただきたい。発酵食も然り。麹の働きにより、旨味や甘みが増した発酵食は、深い味を堪能できる点が魅力です」
ここでは3種の熟成酒をピックアップ。それぞれに合わせる最高のアテを、伏木氏に教えていただくとしよう。
八海山 雪室貯蔵三年
「八海山らしい淡麗さが感じられる1本です。熟成酒デビューは打ってつけでしょう。酸味や出汁と愉しんでください」
【アテ その一】こはだ握り
作り方
1.開いた小肌(10尾)の背びれと尾びれを切り落とし、0.8%の塩をあてる。
2.本みりん(80g)を30秒煮切り、酢(120g)と合わせる。
3.1を2できつめ(20時間)に〆る。
4.野沢菜の根(150g)をみじん切りし、柚子胡椒(15g)、古代米甘酒(200g)を合わせる。
5.3の小肌を4に入れ、冷蔵庫で60時間漬け込む。
6.1合の白飯を固めに炊き、酢(13g)、塩(3g)、古代米の甘酒(20g)で酢飯を作る。
7.漬け込んだ小肌を6とともに握り、4の具材を小肌に飾る。
【アテ その二】へしこ澄まし
1.へしこは3枚におろして焼き、ほぐす(骨を取り除く)。
2.1をフライパンでじっくりと煎り、フードプロセッサーにかける。さらにフライパンでじっくり煎り、風通しの良い場所で一晩乾燥させる。
3.昆布と鰹でひいた出汁1.5リットルにへしこ1匹分の中骨を入れて1時間煮出す。塩を足して味を整える。
4.器にへしこを盛り、3の出汁を注ぎ、わさび(適量)をのせる。
北雪 超大辛口佐渡の鬼ころし「音楽酒」
「ワインでいえばフルボディのような重厚感のある酒です。甘みが増したさよりと素麺の揚げものは、この酒だから負けず、合うのです」
【アテ その一】さよりの素麺揚げ
1.さより(1尾)を三枚におろし、皮を剥ぎ、塩をあてる。
2.皮目にさらしをあて甘酒(適量)を薄く塗り、冷蔵庫で8時間漬ける。
3.三つ葉(適量)の葉をさよりで挟み、小麦粉を薄くはたいて卵白にくぐらせる。1 センチぐらいに折った素麺(適量)を絡ませて180度の油で揚げて出来上がり。
熟露枯 大吟醸ヴィンテージボトル 2015年
「米の甘みと熟成感は3本のなかでも随一。米に合わせる感覚で、魚卵やトロが合わせて、ゆっくりと時間をかけて堪能を」
【アテ その一】発酵魚卵の白和え
1.塩漬けすじこ(200g)を濃厚な醤油もろみ(80g)に入れ、冷蔵庫で120時間漬け込む。
2.とびこ(100g)は、たまり醤油(90g)に入れ冷蔵庫で48時間以上漬け込む。
3.三つ葉(適量)は葉を取り除き茎だけを湯がいておく。
4.絹豆腐(一丁)、白練り胡麻(20g)、うどん出汁(50ml)をフードプロセッサーで合わせる。
5.三つ葉を一番下に敷き、すじこをのせ、4をかけて完成。
【アテ その二】中トロなます
1.ニンジン(適量)はかつら剥きしてから、千切りし、0.3%の塩と0.2%の砂糖をあてる。
2.20分休ませる。
3.古式みりん(40g)を30秒煮切り、酢(60g)、小ぶりな柚子の皮(1/3個分)、同じく柚子の果汁(1/2個分)を合わせる。
4.水気を良く絞ったニンジンを3の液に漬けて、半日おく。
5.塩をした中トロ(2切れ)の上に4のニンジンをのせる。
熟成酒と発酵食は「『時』を費やすことでしか生み出せない両者だからこそ、相性が抜群」なのだと、伏木氏はいう。
「楽しみ方もゆっくりと時間をかけること。大人のオトコにこそ、このペアリングを堪能してほしいですね」
教えてくれた人
伏木暢顕
kamose代表。イタリアン、和食など料理の道を究めること20余年、麹の力に惚れ込み、独学で麹・発酵を極める。現在は発酵食文化を国内外に発信している。
(記事協力:伊勢丹新宿店)
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PROFILE
buono 編集部
使う道具や食材にこだわり、一歩進んだ料理で誰かをよろこばせたい。そんな料理ギークな男性に向けた、斬新な視点で食の楽しさを提案するフードエンターテイメントマガジン。
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