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山奥なのに大盛況!奇跡の卵かけごはん 豊岡『但熊』がすごい理由

卵かけごはんという、庶民的な料理で名を馳せる店があるらしい。いまや平日でも150人、休日には300人が訪れる有名店が兵庫県の山奥にあるのを皆さんはご存知だろうか? 今回は、その美味さから奇跡の逸品とも呼ばれるその卵かけごはん、そのワケを紹介しよう。

兵庫県の山奥にポツンと佇む銘店『但熊』

山道を抜け、広がるのどかな田園風景。そこにポツンと立つ看板が『但熊』の目印だ。いまや、全国にファンを持ち、訪れる客は後を絶たない。だが、そこで待ち受けるのは、有名店という風情ではなく、木をふんだんに使った定食屋の如き朴訥とした佇まいの店だ。

店主の苦悩が生みだした卵かけごはん

西垣さんjpg

「この地の高齢化に伴う過疎化を止めたかったんです」

開口一番こう語ったのは『但熊』店主、西垣さんだ。

「このあたりは田んぼばかりでしょう。で、みんな歳をとっていく。なんとかしなくっちゃと思って直売所なんかを作ってはみたものの、人なんて来ないよね。ましてや、自分が作っていた米なんて直売所で売っても、売れるものじゃない。だって重いし、どこでも買えるからね。じゃあ、おにぎりにするかってやってみたら、それはそれでちょっとは売れるんだけど、具の味が勝っちゃって米の味が弱まる。なんのためにやってるのかな、って悩んだね」

現在の盛況ぶりからは想像しづらいが、その誕生は周到に準備されたものではなかったようだ。

「養鶏もやってたもんだから、じゃあ卵かけごはんをやってみようかと思ったんだけど、周りは反対してたよ。でも、ほら、ラーメン屋ってあるでしょ?一品で勝負してる店があるんだから、卵かけごはんもいけると確信したわけ。この卵かけごはんを通じて、大切に育てられた卵や米の美味しさとはどんなものなのかを知ってもらいたいと思って、とにかく新鮮な卵、そして良質な米を低価格(360円/開店当時は350円)で提供したくて、頑張ってきました。このあたりをツーリングするバイカーの人たちの口コミから火がついて、なんとか今でもやってます。卵が小さいと言われば、取り放題にしたりと、不器用かもしれないけど、これからも美味しい卵かけごはんをみなさんにたべていただきたいね」

店主の苦悩と努力が奇跡の卵かけごはんを生みだしたのだ。

卵かけごはんに味噌汁、そして漬物。日本人にとって、これ以上のご馳走があるだろうか
店内で驚かされる光景のひとつが、このかごに入った卵の山だ。これが取り放題だというから本当に驚愕する
定食360円という値段も驚きだ
限られた空間のなかでスタッフが機敏に調理をこなす
「クリタマ」を使ったオムレツも人気メニュー

【すごさの理由1】産みたての卵

卵2jpg

卵かけごはんの美味しさを左右する最も重要な食材は、ほかでもない『卵』だ。但熊の卵は西垣さんが経営する西垣養鶏場から日々届けられる新鮮なもの。西垣養鶏場は、山に囲まれた田園風景のなかに存在する。こうした環境のなかで褐色の卵を産む『ゴトウもみじ』は、西垣さんの父の代から岐阜県にある後藤孵卵場から譲り受けている『ゴトウヒヨコ』を大切に育て、成長させたものだ。飼育する鶏の数を制限するのも、エサにこだわるのもすべては、美味しい卵を生み出すためのこと。但東町栗尾(くりお)でしか作り出せない『クリタマ』と呼ばれるこの卵が人気を集めるのは必然である。

鶏舎内ケージの様子。飼育する鶏の数を制限しているため、窮屈な印象は受けない
産みたての卵。褐色は『クリタマ』の特徴である
西垣養鶏場では餌に抗生物質を一切使用しない。減農薬栽培した遺伝子組換操作をしていないトウモロコシや酸化防止剤不使用の魚粉などをブレンドした自家配合飼料を使用している

クリタマの美味しさについては、すでに述べたが、殻を割った際に現れるこの姿にも触れておきたい。盛り上がりのあるフォルムに艶、これらもクリタマらしさだ。

割った卵jpg

店を訪れた人は、間違いなく但熊のたまごかけごはんの虜に。そんな人のために、近隣の直売所『百笑館』で「たまごかけごはんセット」(1860円)を販売しているのも嬉しい。卵(クリタマ)6 個×2パック(計12個)、米、専用醤油のセットだ。

【すごさの理由2】毎朝ひく出汁で作る味噌汁

味噌汁jpg

但熊の魅力は卵かけごはんだけに留まらない。店を訪れた多くの方が驚く低価格ながら、手抜きがないことは、添えられた味噌汁を口にすれば即座に分かる。この味噌汁、なにを隠そう、出汁は毎朝厨房で引いたものを使っている。出汁入りの調味味噌を使えば、手間も時間も省けるし、なによりそこを非難する人はいないだろう。しかし、これも西垣氏のこだわりのひとつ。美味しい卵を、美味しい米を楽しんでもらうために添える味噌汁にも妥協はできなかったのだ。毎朝、昆布と鰹節で引いた出汁を使った味噌汁。名物を食べるときには、ぜひこの名脇役の存在もお忘れなく。

【すごさの理由3】炊き立ての美味い米

炊きたての米jpg

卵の相方として美味しさを生み出す白飯。この米も西垣さんが生みだしている。もちろんだが、これは卵かけごはんを作り出すための農業ではない。実は養鶏と米作りには関わりがある。良い米を育てるために欠かせない土作り、秋のこの作業に養鶏場と連携し発酵鶏糞を撒くことで、土壌菌が発酵鶏糞をエサに良質な土壌を作り出す。一方、山間での米作りは、流通の便の悪さや、猪などによる被害から、決して効率の良いものではないという。だが、この地で美味しい米を作りたいと願った西垣さんが手間暇かけて育てた米が但熊で提供される。作っている銘柄は『夢ごこち』と『コシヒカリ』。但熊で使っているのは前者。こうしたこだわりにより、クリタマの美味しさを存分に引き出すことができる、美味しい白飯という舞台を提供しているのだ。

業務用としては決して大きくない二升炊き炊飯器で一升四合ずつ炊く。手間はかかっても、こまめに炊いたほうが美味しいという、西垣さんのこだわりが表れている
艶やかな炊き立ての白飯を提供

【すごさの理由4】旨さを加える専用醤油

醤油jpg

西垣さんの卵かけごはんに対する想いは、卵と米、そして名脇役である味噌汁だけにとどまらない。味を加える醤油、ここにも西垣さんはこだわった。そう、オリジナルブレンドの卵かけごはん専用の醤油を作り上げ、店に置いているのだ。その名も『但熊オリジナル たまごかけごはんしょうゆ』。堂々たる名付けである。それもそのはず、この醤油は本醸造醤油をベースとし、かつお、昆布、シイタケからとった出汁を加え、さらに酒、みりんをくわえたもの。繰り返しになるが、この出汁醤油は但熊のオリジナルブレンド。つまり西垣さんの手と舌により調合されたものだからだ。養鶏から卵を熟知し、稲作から米を知り尽くす西垣さんが、最良と考えるクリタマと夢ごこちの融合である但熊の卵かけごはん。そこへかけるべき、両者を活かすための出汁醤油は西垣さんにしか生み出せないだろう。

養鶏場と稲作、どちらも手掛ける西垣さんだからこそ生み出すことができた奇跡のたまごかけごはん。是非一度足を運んでその美味さを味わってみてほしい。

【Shop data】
但熊(たんくま)
住所/兵庫県豊岡市但東町栗尾916
電話番号/0796-55-0901
営業時間/10:00~18:00(L.O.17:30)
定休日/8月14日、年末年始
https://www.eonet.ne.jp/~tankuma/

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buono 編集部

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使う道具や食材にこだわり、一歩進んだ料理で誰かをよろこばせたい。そんな料理ギークな男性に向けた、斬新な視点で食の楽しさを提案するフードエンターテイメントマガジン。

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