ガラムマサラ_イメージ

自家製ガラムマサラでカレーをレベルアップする!

ガラムマサラとは

インドで生まれた最強のミックススパイス

「スパイスとハーブの芸術」と称されるカレー。その出来を左右するといわれるのが、ミックススパイス「ガラムマサラ」だ。

家庭や店によってスパイスのチョイスや配合は千差万別。店によっては門外不出のレシピとされることもある。和食でたとえれば出汁のような、料理の全体の印象を決める重要なポジションといえるだろう。

ガラムマサラ_イメージ2

ガラムマサラは北インドで最もポピュラー

基本のスパイスとして知られているガラムマサラは、インド全域というより実は北インドで最もポピュラーなミックススパイスだ。その味わいは、料理人の数だけあるといわれている。

ちなみに日本で名店と呼ばれているインド料理店の中にはインド北西部、パンジャブ地方の料理を供する老舗レストランも多い。北インド料理の特徴であるスパイス配合へのこだわりの象徴ともいえるガラムマサラや、パンジャブ地方が発祥のナンやタンドリーチキンなどに代表されるタンドール料理の認知度が日本では高いのは、そうした背景がある。

現地では、基本のマサラも自家製でホールスパイスを調合するところから始まる。カルダモンやクミン、コリアンダーシードなど10種類以上ものスパイスを調合したマサラは、カレーの核であり、店やそれぞれの家庭ならではの味わいを表現してくれるのだ。

ガラムマサラの使い方

ガラムマサラは、大手スパイスメーカーからそれぞれ発売されており、香辛料の専門店も独自ブレンドを販売している。手軽に手に入るものの、どう使ったらよいのか分からないという人も多いのではないだろうか?主な使い方を見ていこう。

(1)カレーのベース作りに

肉や野菜など具材を入れて煮込む前のベースづくりの段階で他のスパイスとともに投入する。もちろんガラムマサラだけでカレーにはならない。玉ねぎやニンニク、ショウガを炒め、ガラムマサラのほかターメリックなど各種スパイスを加え、さらにトマトや乳製品を加えて煮込み、ベースを作っていくのが基本の流れだ。

参照:【永久保存版!】カレー好きなら覚えておきたいスパイスの基本方程式!

(2)カレーの仕上げに。カレーにかけるのも有効!

人によって投入のタイミングは様々だが、具材を入れて煮込む段階で投入する方法も。パウダーは香りが飛びやすいので、香りを大事にしたい場合に特に有効だ。

そして意外と知られていないのが、普段の家のカレーにプラスするという方法。ルウを使った家のカレーが激変するのでぜひ気軽に試してみてほしい。本格的なスパイスカレーも煮込んで時間が経ってしまうと香りがどんどん飛んでしまう。そこでガラムマサラを数匙投入し、風味の豊かさを取り戻すというわけだ。

市販品を超える香りと風味!ガラムマサラの作り方

基礎知識を確認したところで、さっそくガラムマサラを作ってみよう。
必要なものは、ホールの各種スパイスとフライパン、ミルのみ。
スパイスは、香りの抜けていない鮮度・保存状態の良いものが望ましいのは言うまでもない。

料理研究家・渡辺玲さんに教わった配合・レシピ

ここでまず基本的なガラムマサラの作り方を押さえておきたい。教えてくれたのは料理研究家の渡辺玲さんだ。
渡辺玲さん 渡辺 玲
クッキングスタジオ『サザンスパイス』主宰。カレーについての執筆、講習、メニュー開発など幅広く活躍中。『スパイスの黄金比率で作るはじめての本格カレー』(ナツメ社)など著書多数。

【ガラムマサラの配合】
クミンシード……大さじ4
コリアンダーシード…大さじ2
シナモンスティック…大さじ1
クローブ…大さじ1
カルダモン…大さじ1
フェンネルシード…大さじ1
ブラックペッパー…大さじ1
ベイリーフ4枚

【ガラムマサラの作り方】
フライパンを極弱火にかけ、全体が乾燥するまで約3分乾煎りする。粗熱が取れたらミルサーやミキサーで挽いて、粗い状態で完成。約半年間保存できる。
ガラムマサラ深煎り ガラムマサラ仕上がり

渡辺さんのガラムマサラはこれで完成! しかし渡辺さん曰く、スパイスの比率にひとつの正解はないという。
「スパイスの魅力は、その自由さ。基本の構成を理解したら、あとは足したり引いたり、好みでアレンジを加えて、“自分のスパイス”を考えるのを楽しんで下さい」とのこと。

タイプ別4ブレンド

自由にブレンド、といってもそれぞれのスパイスの特性がつかめていない状態でのチャレンジは不安が大きい。

「スパイスは3種類以上を掛け合わせることで、互いの凸凹を補完し合うマスキング効果を生み出せます。様々な配合を試して、使い勝手の良い、自分好みのブレンドに辿り着いて欲しいですね」と語る『香辛堂』店主勝又聖雄氏が、配合の妙が味わえる4種類のガラムマサラを提案してくれた。これらをヒントに、自分好みのバランスを探してみよう!

1. 辛さゼロの基本ブレンド

手持ちのスパイスの種類が少なくても作れてしまう、オーソドックスなガラムマサラは様々なカレーのベースとして活躍する。こちらも辛味成分はブラックペッパーのみ。
基本のブレンド 基本のブレンド_配合

2. クセの少ない初心者向けブレンド

ミックススパイスの良さを楽しめる、クセの少ない初心者向けブレンド。ブラックペッパーが少々ピリッとするだけで唐辛子系の辛味はなく、子どもからお年寄りまで楽しめる。
初心者向けブレンド 初心者向けブレンド_配合

3. マニア向け本格派ブレンド

辛味と香り、どちらも楽しみたいならこちら。カイエンペッパー入りで辛さは強め。さらに、香り自慢のスパイスたちが織り成す芳香で、食欲が刺激されまくること請け合い。
マニア向けブレンド マニア向けブレンド_配合

4. 魚好きに!爽やかブレンド

こちらは魚介系カレーにおすすめ! フェンネルが入ることにより、食材の臭みを中和してくれるのだ。チリフレークなどの唐辛子系スパイスは、好みの分量で調節しても良し。
魚好きブレンド 魚好きブレンド_配合

あの人、あの店のブレンドを知りたい!

「自分でこだわりのブレンドを見つけるなんて面倒!てっとり早く名店の味を手に入れたい!」という方、あるいは「あれこれ試しすぎて混乱してしまった!」という方のために、スパイスの達人シャンカール・ノグチ氏と、伝説の名店『ルソイ』のブレンドを紹介しよう。

シャンカール・ノグチ氏の仕上げ用ブレンド

「東京カリ~番長」の貿易主任であり「東京スパイス番長」所属のシャンカール・ノグチ氏。スパイスに関する著書なども多数手がけ、All Aboutではカレーガイドも務める。新たなスパイス料理を求め、毎年メンバーとともにインドを訪れているというノグチ氏が仕上げ専用ブレンドカレーの仕上げで使っている、香り豊かなブレンドだ。

【材料】
クミンシード……16g
グリーンカルダモン……6g
クローブ……6g
ブラックペッパー……4g
メース……4g
アジョワンシード……3g
ローリエ……5枚
シナモン……1本

【作り方】
クミンシード、アジョワンシードはフライパンで弱~中火で乾煎りする。香りが立ち、焦げ茶色に色付いたら火を止め、粗熱をとる。電動ミルで他のスパイスと合わせパウダー状になるまで粉砕する。

今は無き伝説の名店『ルソイ』名店の秘伝ブレンド

インド北西部パンジャブ地方の家庭料理で人気を博していた『ルソイ』では、16種類ものスパイスを料理人の感性でブレンド。

【材料】
クミン……小さじ2
コリアンダーシード……小さじ2
マラティ……小さじ1
ロングペッパー……小さじ1
シナモン……小さじ1
カルダモングリーン……小さじ1
カルダモンブラック……小さじ1
アジョワン……小さじ1
メース……小さじ1
ドライジンジャー……小さじ1
ブラックペッパー……小さじ1
ベイリーフ……小さじ1
フェノン……小さじ1
ナツメグ……小さじ1
マスタードシード……小さじ1
クローブ……小さじ1/2

【作り方】
全てのスパイスをフライパンに入れ、香りが立つまで乾煎りし、電動ミルでパウダー状になるまで粉砕する。

プロのレシピと自家製ガラムマサラで料理してみよう!

自分でガラムマサラを作ったら、香り豊かなうちに使いたい。さて、どう使おうか?

最も手軽な使い方になるが、普段のカレーの仕上げに少量加えるだけでも圧倒的な違いを感じられるだろう。でも、せっかくガラムマサラを作ったのなら本格的なスパイスカレーに挑戦したくなるというもの。スパイスカレーのベースには基本的にガラムマサラが必要になるが、ここではそのなかでもとくにガラムマサラの風味がキーとなる3つのレシピを厳選して紹介する。それぞれのガラムマサラの配合にこだわりが見えるので、そちらもぜひ参考に。

アルベンガンのレシピ by ルソイ

ルソイのアルベンガン_イメージ 自家製ガラムマサラを作ったら、ぜひ試してほしいのが北インドの家庭料理アルベンガン(ジャガイモ「アル」とナス「ベンガン」の汁気の少ないカレー)だ。

1998年に目黒にオープンし、北インド・パンジャブ地方の本格的なカレーが食べられる店として在日インド系の人々にも愛された『ルソイ』。その後惜しまれつつ閉店したが、当時編集部が教えてもらったアルベンガンのレシピを紹介しよう。ナスとジャガイモの野菜の甘みに自家製ガラムマサラがアクセントを加えるのを感じられるだろう。パンジャブ地方独特のスパイスを使った風味豊かで刺激的なカレーを、地元の味そのままに再現したい。

【材料】1人分
ナス……5個
ジャガイモ……中2~3個
紫玉ねぎ……中1玉
トマト……1玉
ショウガ、ニンニク……各1片
香菜(ざく切り)……適量
クミンシード……大さじ1 1/2
塩……大さじ1
ギー……大さじ2 ※

(A)
ターメリックパウダー……大さじ1/2
カイエンペッパー……大さじ1/2
パプリカパウダー……大さじ1/2
自家製ガラムマサラ……大さじ1/2
塩……大さじ1/2弱
香菜、青唐辛子(各みじん切り)……各適量

(B)
ショウガ(千切りを水にさらす)……適量
香菜(葉をざく切り)……適量

※ギー(Ghee)はインドを中心とした南アジアで古くから作られてきた、炒め物や菓子作りに用いる食用のバターオイルの一種。発酵無塩バターを煮詰めた純粋な乳脂肪で、独特の香ばしい香りが特徴だ。店ではインドから取り寄せた高級品の缶詰を使用している。調理油としての他、焼きたてのナンに塗って食べても美味しい。

1. 中火でフライパンを熱し、ギーを大さじ2入れる。みじん切りにしたニンニクを入れ、焦げないよう回しながら香りを出す。
2. クミンシードとみじん切りにした玉ねぎを加え、玉ねぎがこんがりと色づくくらいまでさらによく炒める。
アルベンガン手順2 3. ざく切りにしたトマト1個を入れる。少量の水(分量外)を加えて強火で炒める。
4. Aのスパイス類をフライパンに入れて炒め、水を大さじ1(分量外)加える。
アルベンガン手順04 5. 中火程度でしばらくスパイスを炒めて香りを出し、トマトが形を留めないくらいまで炒める。
6. 短冊切りにしたジャガイモと、水を大さじ1程度(分量外)加え、煮込む。
アルベンガン手順06 7. ざく切りにした香菜を加え、水を足しながら焦げないように煮詰めていく。火加減は最初強火、あとは弱火で。
8. 2cm幅程度に切ったナスを加え、中火で絡める。さらに香菜を加え、蓋をして蒸し焼きにする。
アルベンガン手順08 9. 3分程したら蓋を取り、ナスがしっとりしていたら、最後に強火にして水気を飛ばす。皿に盛って、仕上げにBを飾る。
アルベンガン手順09

ポイント1:ルソイのオリジナルガラムマサラ

上でも紹介した『ルソイ』オリジナルの「ガラムマサラ」は、クミンとコリアンダーが多めなのが特徴だ。季節やスパイスの状態で分量を微妙に調整すると良い。

ポイント2:最後は弱火で蒸し煮にする

最後の仕上げは弱火で蒸し煮にナスを入れてスパイスを絡ませたら、炒めすぎずに弱火で蒸し煮にする。ナスやジャガイモの形を崩さず、水分の蒸発を防ぐためには、この調理法が一番。ナスも、トマトの汁気とスパイスの溶け出したオイルを程良くまとうことができる。

マトンカレーのレシピ by シャンカール・ノグチ

マトンカレー ガラムマサラを特に多用するインド北西部、パンジャブ地方では、バターやクリーム、山羊のチーズ、ヨーグルトなどの乳製品をよく使って、濃厚な味に仕上げたカレーが特徴的。チキンだけでなく、他にもマトンカレーがよく食べられているのだという。マトンを使ったカレーの定番がこちら。深みのある辛さで食べた瞬間毛穴がブワッと開く快感を得られるだろう。

【材料】 10人分
玉ねぎ……13玉
生姜……50g
ニンニク……50g
サラダ油……400ml
シナモン……2本
マトン……2.5kg
カイエンペッパー……20g
パプリカパウダー……30g
ガラムマサラ……30g
ターメリック……30g
塩……40g
トマト……3個
フライドオニオン……50g
ミートマサラ……30g
フェヌグリーク……30g
パクチー……2束
生姜……1片
青唐辛子……2本

【作り方】
1. 玉ねぎをざく切りにし、フードプロセッサーでペーストにする。
2. 鍋に油を温め、シナモンを入れて香りが移るまで加熱する。
マトンカレーの手順2 3. ニンニクと生姜、水(分量外200cc)をフードプロセッサーにかけ、2に入れる。
4. 油に色がついたら、1と水(分量外200cc)を入れて20分程炒める。
マトンカレー手順04 5. 4にマトンを入れて炒める。
6. 5にAを入れて、30分程炒める。
マトンカレー手順06 7. マトンに火が通っているかを確認する。
8. 火が通っていたらトマトをピューレにし、7に入れさらに弱火で15分程煮込む。
マトンカレー手順08 9. 水気がなくなったら、フライドオニオンを入れる。
マトンカレー手順09 10. 水(分量外1L)を入れ、煮込む。
11. 10にミートマサラ、フェヌグリークを入れる。
12. 刻んだパクチー、生姜、青唐辛子を入れたら完成。
マトンカレー手順12

オリジナルガラムマサラがポイント!

このレシピで使用されるスパイスは以下のとおり、全部で19種類!

・コリアンダーシード
・クローブ
・グリーンカルダモン
・クミン
・カイエンペッパー
・アジョワン
・フェンネル
・フェヌグリーク
・パプリカパウダー
・ナツメグ
・ターメリック
・ジンジャー
・シナモン
・ロングペッパー
・メース
・ミートマサラ
・マスタードシード
・ベイリーフ
・ブラックカルダモン

ここで使用したオリジナルのガラムマサラは、材料にある19種のスパイスの中から16種を調合したものだ。季節によって分量は微妙に変化するが、クミンとコリアンダーが多めでカルダモンは2種類を使い分けるのが特徴だ。スパイスを入れたボウルを火にかけ、香りを立たせてからミルで挽いて使用する。ピリリとした味わいが刺激的。

キーマカレーのレシピ by MOKUBAZA

MOKUBAZAキーマカレー 元々はバーだったが、ランチのキーマカレーが評判を呼び都内有数の人気店となった『MOKUBAZA』。名物キーマカレーは、オーナー宮本氏が食品会社研究所出身スタッフとともに作り上げた、素材の旨味とスパイスで実現した重層的かつ優しい味わいだ。宮本氏に教えてもらった家庭用アレンジのレシピで、「夜に食べても胃もたれしない」名作カレーを再現してみよう!

『MOKUBAZA』のキーマカレーを作ろう

ガラムマサラだけじゃない!おすすめミックススパイス

ここまでガラムマサラの魅力をみてきたが、優秀なミックススパイスはもちろん他にもある。
単品スパイスがうまく使いこなせず賞味期限を迎えてしまうというのは実はよくある、もったいない話だ。ミックススパイスにして、手軽にソースに混ぜたり料理の仕上げにかけたりして、スパイスを楽しんではどうだろう?
番外編としてスパイス専門店『香辛堂』に教わった、世界のミックススパイスの配合をお届けする。スパイスの世界の広大さを感じていただけることと思う。

五香粉(ウーシャンフェン)

中華料理ではおなじみの「五香粉」だが、5種類というではなくたくさん入っているという意味。オリエンタルで華やかな香りが、肉や魚料理、炒め物に深みを与えてくれる。
五香粉イメージ 五香粉配合

ピクリングス Pickling

ピクルスのためのブレンドで、これに野菜と水、酢、砂糖、塩を一緒に煮込むと、本格的なピクルスが手軽に作れる。辛味のあるスパイス中心でホールのまま使用する。
ピクリングスイメージ ピクリングス配合

エルブ・ドゥ・プロヴァンス Herbes de Provence

プロヴァンス地方の伝統的なミックス・スパイスで、肉や魚の臭み消しとして重宝される。爽やかな香草のみをブレンドし、これひとつでフレンチ調の料理に仕上げることができる。
エルブ・ド・プロバンスイメージ エルブ・ド・ブロバンス配合

【DATA】
●香辛堂
住所:東京都目黒区自由が丘1-25-20
電話:03-3725-5454
営業時間:11:00~19:00
定休日:水曜日、第4木曜日(不定休あり)
URL:http://koushindo.net/

(出典:『Spice Complete』『スパイスカレーの教科書』)

SHARE

PROFILE

buono 編集部

buono 編集部

使う道具や食材にこだわり、一歩進んだ料理で誰かをよろこばせたい。そんな料理ギークな男性に向けた、斬新な視点で食の楽しさを提案するフードエンターテイメントマガジン。

使う道具や食材にこだわり、一歩進んだ料理で誰かをよろこばせたい。そんな料理ギークな男性に向けた、斬新な視点で食の楽しさを提案するフードエンターテイメントマガジン。

buono TOPへ

No more pages to load